JW591 母親が分からない
【垂仁経綸編】エピソード13 母親が分からない
第十一代天皇、垂仁天皇の御世。
西暦3年、皇紀663年(垂仁天皇32)7月6日。
大后の日葉酢媛(以下、ひばり)が薨去した。
そして、陵が完成した。
垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(以下、イク)と共に「イク」の妃にして「ひばり」の妹たち、そして、大連や大夫たちが、解説をおこなうのであった。
イク「ついに、完成したんだね。」
ニック「そうですぅ。その名も、狭木之寺間陵やで。」
マー「遺跡としての名前は、佐紀陵山古墳になるみたいね。」
バタ子「古墳が造られた場所は、何処になるの?」
カーケ「奈良県奈良市の山陵町なんだぜ。」
あざみ「隣にも、古墳が有るけど、これは、誰の御墓なの?」
ちね「成務天皇の陵やで。」
あざみ「えっ? 誰?」
くにお「大王の孫になりまする。十三代目ですな。」
イク「ぼ・・・僕の孫? 僕の御墓じゃないの?」
武日「ちなみに、今回は、ちゃんとした前方後円墳やじ。後付けではないっちゃ。」
オーカ「エピソード587で紹介した、倭彦様の陵のことにあらしゃいますな?」
武日「じゃが。あっちは、丸い部分が後付けやったんやじ。」
とにもかくにも、大后の陵が完成したのであった。
そして、二年の歳月が流れた。
西暦5年、皇紀665年(垂仁天皇34)春。
ここは、纏向珠城宮。
大筒木垂根王(以下、タルタル)が、娘を連れて参内している。
娘の名は、迦具夜比売(以下、かぐや)と言った。
タルタル「読者のみなさん、お久しぶりです。エピソード430以来の登場にござりまするぞ。」
かぐや「そして、私が『かぐや』です。」
イク「よく来てくれたね。」
タルタル「して、如何なる理由があって、お召しになられましたかな?」
イク「うん。『かぐや』を妃にしたいと思って・・・。」
タルタル「えっ? 我の娘を?」
イク「いいかな?」
タルタル「断る理由が、何処にございましょう。良かったな? 『かぐや』よ。」
かぐや「はい。ちなみに、私は『かぐや姫』のモデルとされています。『古事記』において、名のみの登場となっておりますのに、名前が一緒だからって、モデルも何も有ったモンじゃないと思うんですけどね。」
イク「もでう?」
かぐや「そして、一人息子を産んじゃいましたよ。」
タルタル「我の孫、袁那弁王にござりまするぞ。『なべっち』と呼んでやってくだされ。」
イク「そこは、僕の皇子として、紹介して欲しいんだけど!」
なべっち「読者のみなさん、お初にお目にかかります。僕が『なべっち』やで。よろしゅうな。」
かぐや「よろしくと言っても『古事記』のみの登場で、特に事績も書かれてないんですけどね。」
やべっち「えっ? おかん? 僕って、名前のみの登場なん? ホンマ?」
かぐや「ホントのことですよ。」
タルタル「大王! 何とか、してくださりませ!」
イク「何とかって言われても・・・(;^_^A」
こうして『なべっち』が産まれたのであった。
彼は活躍することが出来るのであろうか・・・。
そんなことを言っていたら、妃の真砥野媛こと『マー』がやって来た。
マー「大王? 私も、子供が出来たことになりました。」
イク「えっ? ちょっと待って? 『マー』は『記紀』において、子供を産んでないよね?」
マー「そうです。なので、養子を取ることに致しました。」
かぐや「えっ? オリジナルキャラを作るのですか?!」
マー「そんなわけないでしょ。実は・・・大王の皇子に、母親が分からない子がいるのよ。円目王って言うんだけど・・・。」
イク「そ・・・そんな子がいたんだ・・・。」
タルタル「御自分で作っておいて、忘れておられますのか?!」
イク「ご・・・ごめんなさい。」
マー「と・・・とにかく、円目王は、私が育てることにしました。」
やべっち「ほな、紹介します。円目です!」
円目「お初にお目にかかりまする。義母上様。よろしく御願い致しまする。」
マー「よろしくね。」
こうして、新たな皇子が誕生したのであった。
つづく
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