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JW702 滝と淀姫

【景行征西編】エピソード73 滝と淀姫


第十二代天皇、景行けいこう天皇てんのう御世みよ

西暦88年、皇紀こうき748年(景行天皇18)7月。

景行天皇こと、大足彦忍代別尊おおたらしひこおしろわけ・のみこと(以下、シロ)の一行は、還幸かんこう(天皇が帰宅すること)とめいって、筑紫ちくし(今の九州)の巡幸じゅんこう(天皇が各地をめぐること)をおこなっていた。 

筑紫行幸参加者名簿

シロ「して、われらは、何処いずこまいっておるのじゃ?」 

タケ「まぁ、まずは、海をのぞみなされ。」 

シロ「う・・・海にござりまするか?」 

タケ「大王おおきみよ・・・。なにが見えまする?」 

シロ「このさとは、たいらかなは、すくのうござるが、海幸うみさちが豊かで、りておりまするな・・・。」 

たっちゃん「・・・となると、さとに名を付けねばなりませぬな。」 

シロ「うむ。では、これより、豊足たらいむらと言うが良い。」 

そこに、邑人むらびとがやって来た。 

邑人むらびと(へ)「そのなまって、託羅たらさとになったんや。」 

邑人むらびと(と)「二千年後の佐賀県太良たらちょう多良たらの周辺をしますぞ。」 

地図(豊足村→託羅郷→太良町多良)

シロ「そうか・・・。では、あの山に登ろうぞ。」 

小左おひだり「なにゆえ、そうなりまするか?」 

リトル(7)「そこに、山が有るからではないか?」 

シロ「そういうことではない。あの山には、神がおわすであろう。それゆえ、登るのじゃ。」 

ワオン「神をまつり、このをヤマトに組み込むことをことげなさるのですな?」 

シロ「そういうことじゃ。」 

おやた「ちなみに、あの山は、多良岳たらだけにござりまする。」 

地図(多良岳)

こうして「シロ」は神に報告し、ついでに、滝で手を洗った。 

シロ「おお! なんと素晴すばらしき滝じゃ。」 

邑人むらびと(へ)「大王おおきみが、滝で手を洗ったので、こののち、御手水おちょうず権現ごんげん創建そうけんされたんや。」 

御手水権現(鳥居)
御手水権現(拝殿)
御手水権現の滝

リトル(7)「権現ごんげん? 権現とはなんじゃ?」 

えっさん「権現ごんげんとは、ほとけさまが神様の姿すがたをして現れた状態にあらしゃいます。」 

リトル(7)「ほとけさま?」 

タケ「五百年後にやって来る、異国とつくにの神じゃ。」 

リトル(7)「異国とつくに!?」 

シロ「して、鎮座地ちんざちは?」 

ルフィ「キキキッ!」 

タケ「ふむ・・・。佐賀県太良たらちょう糸岐いときもうしておるぞ。」 

邑人むらびと(と)「神殿の裏の滝が、手を洗った滝と伝わっとります。」

地図(御手水権現)

そして、一行は、さらに進んでいった。 

シロ「こ・・・これは!?」 

モロキ「如何いかがなされましたか?」 

シロ「このような、きよがあるとは・・・。ここに、行宮かりみやを建てようぞ。」 

いっくん「そうなります?」 

野見のみ「して、二千年後の地名でもうせば、何処いずこになりまするか?」 

シロ「長崎県松浦まつうら志佐町しさちょう浦免うらめんじゃ。」 

地図(長崎県松浦市志佐町浦免)

もち「ちょっとってくんないください行宮かりみやが、建てられたんやったら、その後、やしろになったんやないか?」 

百足ももたり「その通りにござる。淀姫よどひめ神社じんじゃとなりましたぞ。」 

淀姫神社(注連柱と拝殿)

シロ「祭神さいじんは、われか?」 

真白ましろ「ワンワン!」 

タケ「ふむ・・・。大王おおきみと、豊玉姫とよたまひめこと『トト姉ちゃん』と、淀姫命よどひめ・のみこと三柱みはしらまつられておるそうじゃ。」 

リトル(7)「淀姫よどひめ?」 

舟木ふなき「まだ、産まれておりませぬ。」 

シロ「産まれていない?」 

ナッカ「聞いておどろいてくださいよ。淀姫よどひめっていうのは、神功じんぐう皇后こうごうの妹なんすよ。」 

いっくん「神功じんぐう皇后こうごう?」 

ナッカ「十四代目の大后おおきさきっす。」 

リトル(7)「十四代目?! のちの話ではないか!」 

舟木ふなき「そ・・・そうですな。きっと、合祀ごうしされたのではないかと・・・。」 

夏花なつはな「しばし、おちくだされ。合祀ごうしされたほうが、社名になっておるのは、如何いかなることで?」 

舟木ふなき「ロ・・・ロマンではないか?」 

リトル(7)「うわっ! 出たっ! ロマン!」 

とにもかくにも、行宮が築かれたのであった。

つづく

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