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ヘルスケア起業実録

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起業後の試行錯誤の過程を実録として記載しています
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医師ファーストな薬剤アプリを目指して。医師向け薬剤比較アプリ「イシヤク」ができるまで

医師ファーストな薬剤アプリを目指して。医師向け薬剤比較アプリ「イシヤク」ができるまで

皆さん、こんにちは。
医療機関向けにメルプWEB問診という、WEB問診サービスを開発している内科医の吉永です。

メルプWEB問診は、紙問診と電子カルテの運用の場合に、紙問診を毎回スキャンして転記するという、当たり前のようにやっていた作業を「あれ?この作業必要なのかな?この事務作業が減れば、もっと患者さんの悩みに時間を割けるのに」と感じたことがきっかけで開発したサービスです。

おかげさまで、現在

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【イシヤク】専門医コメント機能リリースに至るまで。40名強の専門医の先生方にご協力いただきました。

【イシヤク】専門医コメント機能リリースに至るまで。40名強の専門医の先生方にご協力いただきました。

皆さん、こんにちは。

医師向け薬剤比較アプリ「イシヤク」を開発している内科医の吉永です。
今回は、11/9にアップデートしました「専門医コメント」機能のリリースに至るまでのストーリーを書きたいと思います。

イシヤクとは?イシヤクは、医師が忙しい外来診療で、薬剤の特徴や同効薬間での比較をパッと確認したい時に使えるアプリというコンセプトに開発したサービスです。詳しくは下記をご覧ください。

7月の

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イヤホン型脳波測定デバイスの着想から一旦クローズまで

イヤホン型脳波測定デバイスの着想から一旦クローズまで


はじめに

今回、約1年半くらい進めていた、睡眠の質を自動で改善するイヤホン型脳波デバイスの開発を一旦終了することにしました。完全に諦めたわけではなく、特に電極周りの技術革新を待ちつつ、また良きタイミングで参入しようと思います。

着想からクローズに至るまでの紆余曲折を記すとともに、耳からドライ電極で脳波を手軽に測定するにあたって、必要となりそうなハードウェア面での設計に関して、今後開発する方が

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【メルプのリアル】第1話:共同創業者兼CTOとの出会い。実は中高の先輩だった

【メルプのリアル】第1話:共同創業者兼CTOとの出会い。実は中高の先輩だった

こんにちは、吉永和貴(かず)です。
研修医が終わって医師3年目で、医療機関向けのWEB問診サービス「メルプ」を創業し、約3年後に約200クリニックにサービスを導入した0→1終了のタイミングで2020年に株式会社JMDCに売却しました。その後、グロースフェーズに入り、現在1500以上の医療機関にサービスを導入いただいています。

この連載noteでは、当時ビジネスを全く知らなかった私が、初めて医療業

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【メルプのリアル】第2話:チーム解散して何者でもない感:浪人の時のどん底よりはマシ!?

【メルプのリアル】第2話:チーム解散して何者でもない感:浪人の時のどん底よりはマシ!?

第1話はこちら>

10名程度のチームを解散して、0からの船出へお薬管理サービス「flixy」のコンテスト後

さて、医学生時代に医療系アプリ開発コンテストで出会った現CTOの片岡ですが、当時私は医学部6年生、片岡は大学院の最終学年ということで、来年からはお互いに就職することを決めていました。コンテストで優勝したお薬管理IoTサービス一本でやっていくという思いまではなく、空いた時間に少しずつ進めよ

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【メルプのリアル】第3話:医療機関向けの検索・予約・口コミサービスで、何が考慮漏れだったのか?

【メルプのリアル】第3話:医療機関向けの検索・予約・口コミサービスで、何が考慮漏れだったのか?

第2話はこちら>

それでは、当時(2016年)に3人で考えていた、下記の主に3つの大きなサービスに関して、今振り返ってみて、考慮が漏れている点や実現可能性などを記載していきたいと思います。

案1)医療機関向け予約・口コミサービス:medYelp当時作成していたパワポのスライドがあったので、原文ママ掲載したいと思います。

病院検索と予約の課題

現状でもいくつかの病院検索サイトはあるが、見にく

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【メルプのリアル】第4話:友人が立ち上げたクリニックの現場で感じた紙問診の課題

【メルプのリアル】第4話:友人が立ち上げたクリニックの現場で感じた紙問診の課題

第3話はこちら>

さて、事業サービスのアイデアとして、医療機関の検索予約サービス、医師のバイトのダイレクトマッチングサービスなど他にいくつか出ていましたが、3人で話し合ったWEB問診のサービスをやることに決まりました。

MIZENクリニック豊洲の勤務で感じたこと開業当初のクリニックに非常勤医師としてサポート

自分の現場の課題間が大きく、熱量高くサービス開発できそうだと思ったからというのが大き

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【メルプのリアル】第5話:創業者間株式割合どうする?

【メルプのリアル】第5話:創業者間株式割合どうする?

第4話はこちら>

事業立ち上げに関するお金周り創業者間株式割合どうする?

事業アイデアもいくつか出たものの、WEB問診サービスで行こうと決まり、創業者間株式割合を決めることに。前のお薬管理IoTサービスの時に、最後の方は法人化していたので、すでに100%私資本の法人はあったのですが、今回また0から別事業を行うことになったので、片岡・水上にも出資してもらうことにしました。

さて、創業したてのこ

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【メルプのリアル】第6話:1億円のバリュエーションに対して20%のシェア、、、

【メルプのリアル】第6話:1億円のバリュエーションに対して20%のシェア、、、

第5話はこちら>

VCとの投資検討に関する打ち合わせ知識の差により丸め込まれそうに

さて、事業アイデアもWEB問診に決まり、自己資本金300万円でサービス開発を始めました。前のお薬IoTサービスの時に繋がった投資家の1人が、面倒見よく声をかけてくださっていたので、事業をピボットしたことも連絡したところ、ぜひ聞かせててということで事業アイデアをプレゼンしました。

事業アイデアに関しては、WEB

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【メルプのリアル】第7話:LINEチャットボットベースの予約問診サービスを作ってしまう。

【メルプのリアル】第7話:LINEチャットボットベースの予約問診サービスを作ってしまう。

第6話はこちら>

プロダクトアウトの弊害チャットボットの未来という本を読み、、、

さて、片岡もフルコミットしていただくことになり、これで開発スピードも上がることになったわけですが、肝心のサービスはというと、最初はLINEのチャットボットベースの医療機関の予約・オンライン問診サービスを作っていました。
これには、色々と理由があるのですが、3人でどのようなUI/UXのサービスを作ろうかと案出しした

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【メルプのリアル】第8話:医療業界特化のテレアポ業者に頼むも、、、

【メルプのリアル】第8話:医療業界特化のテレアポ業者に頼むも、、、

第7話はこちら>

テレアポ開始まずはテレアポと思い、業者を探す

さて、LINEのチャットボットベースでの予約・問診サービスでプロトタイプを作ったわけですが、売れるかどうか確かめてみようと思い、最初に思い浮かんだのがテレアポでした。

ただ、今までにテレアポをやったことがなかったので、ネットでリサーチしたところ、医療特化のテレアポ代行業者が見つかりました。

サイトには

と記載があったので、

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【メルプのリアル】第9話:飛び込み営業したら、まずは専門医取れと言われ、、、

【メルプのリアル】第9話:飛び込み営業したら、まずは専門医取れと言われ、、、

第8話はこちら

飛び込み営業をしたところ医療機関への飛び込み営業の難しさ

さて、医療特化のテレアポ業者に頼むも、1件も成約に至らなかったわけですが、同時に飛び込み営業も行っていました。

やっぱりダメでしたね。
テレアポと同様、基本的には医療機関側ですでに、営業お断りがマニュアル化されているので、受付の時点でお断りされてしまいました。あと、受付の方にサービスの説明含めて要件を1言2言で伝えなけ

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【メルプのリアル】第10話:売れない理由を分析せず、総花アプローチへ

【メルプのリアル】第10話:売れない理由を分析せず、総花アプローチへ

第9話はこちら

PMFまでの紆余曲折メルプはPMF(Product Market Fitの略。顧客が満足する商品を、最適な市場で提供できている状態)達成までに、サービスを開発してから1年弱かかっているのですが、今回はその中でも、総花的なアプローチに舵切りをして泥沼にハマった部分を記載します。

総花アプローチで泥沼にハマる

さて、LINEチャットボットをベースとして、医療機関の予約・問診サービ

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【メルプのリアル】第11話:100記事作成してコンテンツマーケによるインバウンド施策へ

【メルプのリアル】第11話:100記事作成してコンテンツマーケによるインバウンド施策へ

第10話はこちら

どうやってメルプを売れば良いか?5000万円で営業マンを10人採用したらなんとかなる?

さて、飛び込み営業やテレアポをしても全く契約に結びつかず、途方に暮れて、どうやったら売れるんだろう、そもそもどうやったら商談の場に立てるだろうと悩んでいました。

キャッシュも尽きてきていたので、同時に投資家周りもしていると、とあるVCからは

「1億円資金調達して、そのうちの半分の500

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