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短編小説集

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生まれ故郷にひとり置き去りにした息子に十年ぶりに再会した母は…『waving』。他。
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記事一覧

短編小説 『愛のつながり』

瀬川は書斎の引き出しの中から茶封筒を取り出すと、紐を解き、綴られた原稿をそっと手に取りま…

鯱寿典
1年前
110

短編小説『よろず屋 龍琥 この世の毒』

江戸神田界隈の路地裏の一角に〈なつめ屋〉の暖簾を掲げる小店の小間物屋があった。 表向きは…

鯱寿典
3年前
118

短編小説 『waving』

そのひとは、笑みを浮かべていました。大きく手を振りながら、少年に向かって大声で何かを叫ん…

鯱寿典
3年前
125

短編小説 『waving 再会 』前編

ふるさとでの、あの夏の日の母との別れから、五年の月日が流れていました。 昭人は、高校三年…

鯱寿典
3年前
104

短編小説 『waving 再会 』後編

母がとなりで寝息をたて始めたのを見とどけると、 昭人は感慨深く、今日一日のことを思い返し…

鯱寿典
3年前
100

短編小説 『waving 響子』前編

「昭人、響子はもうそこに着いたかしら」 昭人が受話器を取ると、一週間ぶりに聴く懐かしい母…

鯱寿典
3年前
101

短編小説 『waving 響子』後編

翌朝、響子が目を覚ますと、猫のラックは響子のからだに身を寄せてまだスヤスヤ眠っていました。 その姿を見ると思わず笑みが溢れます。 「可愛い......」 その視線に気づいたのか、ラックはゆっくりと目を開けると、響子の顔を見上げ、声にならない声で短く「ミャー」と、一声鳴きました。 響子が朝風呂に入ろうと大浴場に向かうと、ラックも後をついて来ます。 響子が浴衣を脱いでいる間に、もう先陣をきって、湯船のなかで気持ち良さそうに、クルクルと猫かきを披露しています。 『本当にお

短編小説 『ママはひとりぼっち?』第一話

「ママは、さみしくないの?ひとりぼっちで......」僕は、とっても不安で聞いた。 「大丈夫。…

鯱寿典
3年前
102

短編小説『ママはひとりぼっち?』第二話

「ママ! 何やってんの?そんなところで」 ママが、浴槽に浸かっている冬馬を黙って見つめて…

鯱寿典
3年前
101

短編小説 『ママはひとりぼっち?』第三話

「冬馬、久しぶり。これお土産」 ママの妹、優子から冬馬が手渡されたのは、幸福堂のイチゴの…

鯱寿典
3年前
82

短編小説 『ママはひとりぼっち?』第四話

今夜は地元の花火大会です。 ママが冬馬に言って父、光太郎を花火大会に連れ出していました。…

鯱寿典
3年前
76

短編小説 『ママはひとりぼっち?』最終話

冬馬のいない家で、ママと光太郎は久しぶりに二人きりの夜を過ごしました。ベッドの中で、今で…

鯱寿典
3年前
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掌編小説「白い朝の記憶」

午後十時三十分過ぎ、ディナーの客もすっかりひけた頃、白樺の木でつくられた年代物の店の扉が…

鯱寿典
3年前
95

短編小説 「青い夜の喧騒」

午後十時三十分過ぎ、ディナーの客もすっかりひけた頃、白樺の木でつくられた年代物の店の扉が開かれると、俺の女友達の響子が、恋人の隆明と一緒にやって来た。 店の中で一日中流れ続けるロシア民謡が、外へと逃げ出した。 「公平さん助けてくれない?お願いします」 相変わらずの美形の顔に、困惑の色を浮かべて、響子があいさつもそこそこにすがるように言った。 「助けてくれ、お願いします。って、どういうこと?」 隆明が、息急き切って言葉を続ける。 「ヤマが、大変なことに」 「ヤマが