安心して家族を預けたいと思える施設を、どう知るのか?ここだったら働きたいと思える施設を、どう感じさせるのか?その答えがココにあります!!
KAiGO PRiDE WEEK DAY-4「介護におけるブランディング」2024年2月20日(火曜日)
介護業界におけるブランディングの重要性とその実践
介護業界において、ブランディングの重要性が高まっています。このコンセプトは、施設やサービスが目指すべき将来像を定め、その目標に向かってどのような取り組みを行うべきかを考えるためのものです。ブランディングを通じて、施設は「安心して家族を預けたい場所」や「働きたいと思える職場」を目指すことができます。今回のパネルディスカッションでは、介護業界でブランディングをどのように実践していくかについて、特別養護老人ホーム弦巻の家の施設長である藤巻圭祐さん、世田谷ホームヘルプサービスの管理者永嶋千秋さん、そして一般社団法人KAiGO PRiDEの代表理事でクリエイティブディレクターのマンジョット・ベディ氏から貴重な意見を聞く機会を得ました。
藤巻さんは、新しく開所したばかりの施設の施設長として、福祉の仕事への情熱と先輩から受けた影響を語り、介護の仕事が持つ魅力とそれを継続する動機について話しました。
一方、永嶋さんは、多数の訪問介護の経験から得た、生き方や亡くなり方に関する深い学びを共有し、訪問介護の重要性を強調しました。
マンジョット氏は、介護業界における課題をクリエイティブな解決策で克服しようとする取り組みを紹介しました。
彼らの話からは、介護業界におけるブランディングが単に外部へのイメージ作りに留まらず、施設やサービスの質を向上させるための内部からの取り組みであることが明らかになりました。また、ブランディングは、施設が目指すべき理想の形を明確にし、それに向かって職員が一丸となって努力するための指針を提供します。
本ディスカッションは、介護業界が直面する様々な課題に対し、ブランディングを通じてどのようにポジティブな変化をもたらせるかを示唆しています。将来的には、ブランディングを積極的に行うことで、介護施設がより魅力的な場所になり、より多くの人々が介護職を選択するきっかけとなることが期待されます。これにより、介護業界全体のイメージ向上とともに、職員のモチベーションや職場環境の改善にも寄与することでしょう。
介護業界におけるブランディングの本質とその実現方法
ブランディングとは、単にサービスや商品の外向きのイメージ作りを超え、目標達成のための一連の行動プロセスを指します。この過程において、自己の位置(現在地)と目指すべき目標(ゴール)を明確にし、その間に必要なアクションを定義することが重要です。
マンジョット氏はブランディングの専門家として、日常生活におけるさまざまなシチュエーションを例に挙げ、ブランディングの概念を易しく説明しました。朝起きて、その日の目的に合わせて服装を選ぶ行為から、恋愛における目標達成のための努力まで、目標を持ち、それに向けて計画的に行動するプロセス自体がブランディングであることを示しました。この行動のプロセスを通じて、最終的に「信頼」や「信用」といったブランドの価値を構築することができます。
コミュニケーションにおいても、「なぜ(Why)」、「何を(What)」、「どのように(How)」の3つの質問が常に存在しますが、人々が最も共感し、動かされるのは「なぜ」、つまり行動の動機や目的です。企業や組織が、自らの行動やサービスの背後にある「なぜ」を明確にすることで、深いレベルでの共感と信頼を築くことができます。
介護業界においてブランディングを行う際には、単に施設やサービスの機能をアピールするだけではなく、その提供する価値やサービスがなぜ必要なのか、どのような社会的貢献を目指しているのかを明確に伝えることが求められます。目標設定、プロセスの定義、そしてその全体を通じて構築される信頼こそが、介護業界における真のブランディングの本質です。
介護サービス提供者は、自らの「なぜ」を見つけ、社会的な課題解決に向けた独自の価値提案を明確にすることで、他とは異なるブランドを築き上げることができます。これにより、施設やサービスは、ただの介護提供者から、利用者や社会にとって真に価値ある存在へと変貌を遂げることでしょう。
介護業界における内発的ブランディング戦略の重要性
介護業界でのブランディングの取り組みとして、内側からの価値創造に焦点を当てる必要性が強調されました。一般的にブランディングというと、競合他社との差別化や市場での位置づけを意識した活動が思い浮かびますが、介護業界においてはもっと根本的なアプローチが求められます。その核心は、「働く人々が幸せになること」に重きを置くことです。
特別養護老人ホーム「弦巻の家」の例を通じて、職員が毎日楽しみながら働ける職場環境の創出が、ブランディングの一環として重要であることが示されました。具体的には、職場の家具や設備にこだわり、職員および利用者が快適に過ごせる空間を設計することで、外向きのイメージ作りだけでなく、内部からの満足感を高めることが重視されています。
このような内発的なブランディング戦略は、単にサービスの質を向上させるだけでなく、組織全体としての信頼と信用の構築に寄与します。介護業界においては、サービス提供者自身が仕事に対して持つ熱意や満足度が、直接サービスの質に反映されるため、職員が自分たちの職場に誇りを持ち、幸福を感じることができる環境の整備が極めて重要です。
また、ブランディングの成功は「なぜこの仕事をしているのか」という根本的な問いに対する明確な答えを持つことから始まります。自組織の存在理由と将来的な目標(パーパス)を明確にし、それに向けた行動計画を内側から構築していくことが、真のブランディングへの鍵となるのです。このアプローチは、単に市場での競争力を高めるだけでなく、業界全体のイメージ改善にも繋がり、介護業界の持続可能な発展に寄与することでしょう。
介護業界におけるブランディングとICTの活用
介護業界でのブランディングとICT(情報通信技術)の活用は、サービスの質の向上と業務効率化において重要な役割を担います。訪問介護の現場からの報告によれば、介護業界における人材不足と高齢化社会の進展は、サービス提供において大きな課題となっています。これに対応するため、ICTの活用が業務効率化とサービスの質の向上に役立っています。
訪問介護サービスでは、利用者の自宅を訪問し、生活のサポートを提供します。このサービスは、利用者の状況に応じた柔軟な対応が求められ、そのためにはスタッフ間の情報共有が不可欠です。ICTを活用することで、スタッフはスマートフォンを通じてリアルタイムで情報を共有し、サービス記録をデジタルで管理することが可能になりました。これにより、紙の記録用紙に代わり、効率的かつ正確な情報共有が実現しています。
また、ICTの導入によって、スタッフの業務負担が軽減され、サービス提供における時間と労力が最適化されています。スマートフォンを利用したシステムは、訪問記録の即時入力やスケジュール管理を容易にし、紙の記録用紙の煩雑さを解消しました。これにより、訪問介護の品質が向上し、利用者および家族からの信頼を得ることができています。
しかし、ブランディングの観点からは、介護サービスの質だけではなく、そのサービスをどのように外部に伝えるかが重要です。良質なサービスを提供しても、その内容を効果的に外部に発信しなければ、社会全体の認識やイメージの改善にはつながりません。SNSやホームページを通じた情報発信は、介護施設がどのような価値を提供しているかを広く伝え、社会における介護業界のポジティブなイメージ形成に貢献します。
介護業界におけるブランディングとICTの活用は、単にサービスの質を向上させるだけではなく、介護業界全体の価値と社会的地位の向上に寄与する重要な取り組みです。これらの技術と戦略を活用することで、介護業界はより良い未来に向けて進化し続けることができるでしょう。
介護業界におけるブランディングの新たな展開
介護業界におけるブランディングの重要性について、革新的な取り組みとその必要性が議論されました。介護サービスの現場からは、職員の幸福と利用者の満足を中心に据えたブランディング戦略の成功事例が紹介され、テクノロジーを活用した効率化やコミュニケーションの改善が強調されました。特に、訪問介護サービスにおけるICTの活用は、サービスの質の向上と業務の効率化に大きく寄与していることが示されました。
さらに、ブランディングにおいては、感動よりも共感を得ることの重要性が指摘されました。共感を生むブランディングは、時間とともにその価値が増すことが特徴であり、介護業界におけるサービスの質や職場環境の改善へと直結します。また、ブランディングの成功には、組織の目指すゴールとその理由(WHY)の明確化が不可欠であり、これが組織全体の一致団結と外部への正確なメッセージ発信に繋がることが強調されました。
介護業界においても、ブランディングを通じたポジティブなイメージの構築と、それによる業界全体の活性化が可能であることが示されました。これは、外部への発信力強化だけでなく、内部からの価値創造にも目を向け、職員と利用者双方の幸福を追求することが重要であるというメッセージを伝えています。
結果として、これらの取り組みは、介護業界に新たな可能性をもたらし、より魅力的な分野へと変革することに寄与するものになるのです。