「ロック」と対比したものは「クラシック」ではないよ
少し前のこちらの記事↓
について、以下のような感想を目にしました。
これについて、残念ながら僕の意図が伝わっていなかったのかな、と思った点を反論してみようと思います。
それは、
あの記事で僕がロックと対比させたのは「クラシック」ではない。
ということです。
僕が対比させたのは、「アンサンブル的な"ポップス"」と「泥臭いルーツミュージック的なギターサウンド」であって。
単純にそれを「クラシック vs ロック」と読まれてしまうと、僕がnoteで書いてきたことが全く伝わっていない、正反対の結論になってしまうのです。それこそ「ありがちな結論」でしかないわけで。
あの記事は、その1つ前の記事 からの続きの文章なのですが、一貫して書いていたのは「クラシック史」と「ロック史」の間にあるポップスの系譜を明らかにして接続する、ということで。
何度も貼った図をもう一度貼りますけども。
そこで「アンサンブル、オーケストラ」と書いて示した音楽のことをイコールで「クラシック」と勝手に読み替えられてしまうと、それはクラシック正史に対して全く無知な、ロック側からの視点でしかないな、と思ってしまいます。
ギターサウンドに対して、僕が例で貼った「当時は"都会的"とされていたが今では古臭く感じてしまうアンサンブル的な音楽の例」はこれですよ。
これのどこがクラシックやねん。笑
こういうとんでもない誤認知を避けたいから、わざわざポピュラー音楽史だけでなく、クラシック正史もちゃんと範囲に入れて書いてきたというのに。
ロックが登場した当時、クラシック界は既にシェーンベルクも通過し、ジョン・ケージの『4分33秒』も通過して、前衛芸術・実験音楽ブームの真っ只中。むしろサブカルチャー的なロック精神と親和性が高いくらいです。
そんな中で、ラテン音楽、ジャズ、ミュージカル、映画音楽、シティブルースなど、「クラシック史からもロック史からも馬鹿にされて弾圧されてしまった音楽史」を掘り起こして書いているというのに、その部分が伝わっていないというのは少し残念です。
あと、僕は別に無茶苦茶難しい研究をして常識はずれな結論を導き出そうみたいには考えていなくて、それぞれの界隈でバラバラに語られているものを並列にする、ということをやってきただけなんです。
それを「無茶苦茶難しい音楽史の研究」と感じたうえ、ロックの範囲の言及になった途端「ありがちな結論」だと感じるのは、ロック史以外の分野に無理解であり、ロック史にのみ詳しいからではないですか?
僕はロック史に独占されがちな「ポピュラー音楽史」をロックから解放させようとしているのと同時に、クラシック史についても、ドイツ的な「正史」の視点と、そうではない視点を対比させて脱構築してきたつもりなんですがね。
ロック史より前の部分をひとまとまりに「クラシック」として的外れな批判をしてしまう前に、クラシック史の部分における僕の問題提起もロックファンの方々にも認知してもらえればありがたいな、と思ってしまいました。
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