八巻秀先生
2024年の8月に公認心理士・臨床心理士の八巻秀先生がお亡くなりになられました。
といっても、
僕は八巻先生のことをほとんど存ぜず、
今年の2024年2月に開催されたオープンダイアローグ の入門講座に参加した際、
初めてお会いし、
お会いしたのはその時の1度だけです。
オープンダイアローグ は、
1980年代、フィンランドの西ラップランドにある精神科のクリニックで始まった対話によるケアの方法で、
主に統合失調症の改善に効果があると言われています。
フィンランドでの状況は分かりませんが、
日本では精神医療だけではなく、
教育や福祉、ビジネスの現場など、
幅広い領域で普遍的に活かせる方法として注目されています。
そして、
オープンダイアローグを紹介している斎藤環先生が「ひきこもり」の専門家であることもあり、
「ひきこもり」界隈でも注目されていて、
よく知られています。
僕がオープンダイアローグ に興味を持ったきっかけは、長年のあいだ抱えている視力矯正の不具合を改善するために有効だと考えたからでした。
視力矯正の不具合を改善するために専門家の方々と対話的な関係を築き、その不具合を改善するための活動や研究をしたい、
と考えていました。
その具体的な方法を探している時にオープンダイアローグと出会いました。
オープンダイアローグの発想は、
当事者と専門家と関係者の人たちが対等な立場で、
その当事者が抱えている問題を解決するための対話を行う、
というものだと、
僕は解釈しています。
その発想にヒントを得て、
視力矯正の不具合を改善するために専門家の方々と対話的な関係を築き、その不具合を改善するための活動や研究をしたい、
という想いを実現したいと考えました。
その件についてはまた別の記事に譲りますが、
結局、視力矯正の不具合の改善にオープンダイアローグを活かす道は見つからず、
それでも何となく色んな対話会や勉強会には参加し続けていました。
その過程で、
あるオープンダイアローグの対話会でご一緒していた方(以下Aさん)と偶然ひきこもりの家族会でもお会いし、
そこで意気投合して、
いくつかのひきこもり家族会でオープンダイアローグを行うことになりました。
Aさんとは数ヶ月の間、
都外も含めたいくつかの家族会で実践したり、
研修に参加していて、
八巻先生が浅井伸彦先生と共同で主催されたオープンダイアローグ の入門講座に参加したのは、
そのような活動をしていた頃でした。
その講座は浅井先生と八巻先生の対談を中心に進行されていましたが、
内容はかなりコアなもので、
お二方の熱い思いが伝わってくる対談でした。
質疑応答の時間に質問をさせて頂いたこともあり、
対談終了後、
質問させて頂いたお礼も兼ねてご挨拶したいと思い、声を掛けさせて頂きました。
その際、
「良い質問をして下さってありがとう」
と八巻先生はおっしゃって下さいました。
(確かポリフォニーについての質問をしたのだと思います)。
そして、
今、ひきこもりの家族会でオープンダイアローグ をしていると言うと、
「それは素晴らしい活動をされておられますね」
と、おっしゃり、
もう一度、
「それは素晴らしい活動をされておられる」
とおっしゃっいました。
その言葉は特別珍しい表現ではなかったかもしれませんが、
その時の八巻先生の優しく深みのある声と話し方が、とても印象に残っています。
更に、
八巻先生との会話の中で、
僕が見学に行ったことのある沖縄の不登校やひきこもり支援を行っている団体でも講演をされるなど、
日本全国で数多くの公演や対話実践をされていることを知りました。
そんな話をしているうちに、
何となくまたどこかで教えを乞う機会があるかもしれないなと思い、
またどこかでご一緒させて頂くかもしれませんが、その時はよろしくお願いいたしますのようなことをお伝えしました。
その僕の言葉も快く、暖かく、受け止めて下さいました。
実際に、
今後、
ひきこもり家族会などでオープンダイアローグ をしているうちに、
どこかでご一緒する機会があるのではないかと、直感的に感じていました。
きっとこの方は、
僕らの活動を応援して下さるのではないかと感じていました。
その半年後、
Twitterで八巻先生の訃報を目にしました。
半年前の2月の講座の時は全くそのような気配は感じられず、
オープンダイアローグへの熱い想いと、
いつかどこかでご一緒する機会があるだろうな、
という未来の光景がずっと心の中にあったので、
その知らせを聴いて、
とてもショックを受けました。
今回このような記事を書こうと思ったのは、
先日、定期的に参加している1週間の振り返りのジャーナリングをしている際、
ノートに八巻先生やオープンダイアローグについて書いたのがきっかけでした。
noteに八巻先生やオープンダイアローグについて書いたのは、
ジャーナリングの終わりの方の時間、
書くことに集中し切って没頭している頃でした。
諸事情により家族会でのオープンダイアローグ 活動は一時的に辞めてしまい、
大変恐縮ながら、心理学の本が苦手なこともあり、八巻先生のご著書も拝読したことがないのですが、一時的に辞めてしまった活動や実現しなかった未来の光景のその方向性に、
僕は自分が進みたい道や実現したい未来の姿を見出しているのかもしれません。
八巻先生、心よりご冥福をお祈りいたします。
(関係者の皆様、もし失礼な表現がありましたら、大変申し訳ありません)