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2024ミュージカル「この世界の片隅に」

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ミュージカル「この世界の片隅に」の記事を集めています
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【観劇感想】ミュージカル「この世界の片隅に」

水戸市民会館にて、ミュージカル『この世界の片隅に』を観劇させていただきました。

ずっとずっと観たかった作品です。
東京公演でスケジュールの都合が合わず、茨城公演に行きました。

観劇のきっかけは、こうの史代さんの作品のミュージカル化、普段よく拝見している昆夏美さんのご出演、ナカサチさんの衣装、そしてアンジェラ・アキさんの音楽。

『火垂るの墓』が怖くて戦争を題材にしたものから徹底的に逃げていた小

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ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(10)最終回

ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(10)最終回

東京公演を大絶賛で終え、カンパニーは全国ツアーへ!
さあ、このnoteも今日が最終回。千秋楽です。

ボーカルキャプテン。地方へは私たち歌唱指導は同行できないので「ボーカルキャプテン」というシステムがあるんです。これはキャストの中に「ボーカルキャプテン」というポジションを設け、そのキャプテンがみんなをまとめたり、問題点を改善してゆくシステムです。男性ボーカルキャプテンは浦野十郎役の川口竜也さん、女

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ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(9)

ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(9)

稽古場での稽古の後半では、まさかの! ワークショップの時の(4)前半や(5)後半で書いたような台本と音楽の大工事が依然として行われておりました〜っ!!いや、あれ以上だったかもしれません…(^^;)。新作ならではの、葛藤と激闘。でもすべては「お客様により良い作品を届けたい」という思いから。それぞれの散らばった思いは、徐々に同じ方向を向き…舞台稽古の日を迎えました。

指揮モニターと舞台構造。稽古場で

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【寄り道その3】ミュージカル『この世界の片隅に』Belter音月桂さん

【寄り道その3】ミュージカル『この世界の片隅に』Belter音月桂さん

なかなか寄り道が終わらない笑

CHIBIさんの活き活きとした記事が面白くてついつい引用させていただいてます。なかなか寄り道が終わらない苦笑

「ベルター桂」の誕生?また新しい言葉を覚える。

書かれていること、全て分かります。だって音月桂さんは「1000人に1人の奇跡の声帯」の持ち主とBWの製作チームに称賛された人ですから。”男声”を出せる強みをここでも活かしていました。
「♪自由になれー」のク

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ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(8)

ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(8)

今日はちょっと長文でマニアックです。
もちろん今作に出演されたキャスト達はプロのミュージカル俳優として訓練を積んできている方達なので「歌が上手い」「歌える」のは大前提としてあるんですよ。それは私以上にみなさんがご存知だと思うんですが(^^;)

ですが、今回は日本のミュージカルではまだ新しい「ナチュラルな、喋り声の延長に歌があるようなスタイル」の表現を目指していたため、俳優の皆さんには今までやった

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ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(7)

ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(7)

書き始めたら思いのほか大作になってしまったこのnoteですが(^^;)今日も訪れてくれてありがとうございます。オーディションのことなど、他にも書きたかったエピソードはあるのですが割愛しつつ(涙)本稽古の話へと進みます!

本稽古開始。2024年3月から本稽古がいよいよ開始。最初の期間は、まず「歌稽古」です。ワークショップに参加していた役者達も居ましたが、多くのキャストはここからがスタート。そのため

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ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(6)

ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(6)

アンジーのもう一つの新しい試み今回のミュージカルを作るにあたって、アンジーの新しい試みは他にもありました。それはミュージカルのために制作した楽曲をリアレンジし、自らが歌唱するNEW ALBUMを作ることです。これは「アーティスト」アンジェラ・アキにとって12年ぶりのオリジナルアルバムですが、同時に「ミュージカル作家」としての1stアルバムになります。

(ちなみに、こういったスタイルの音源が制作さ

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ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(5)

ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(5)

いつも読んでくれてありがとう!俳優たちの驚愕のスキルも本当に賞賛されるべきものなんですが、彼らの取り組み方は我々の人生にも学びとして活かせるんじゃないか?と思っとります。私たちもこの時のミュージカル俳優のように、何があっても臨機応変に柔軟に面白がって生きたいと思いませんか?
というリスペクトを込めて!

とあるミュージカル俳優の一日(前編)の続きです。

とあるミュージカル俳優の一日(後編)(➉の

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ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(4)

ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(4)

やばい、このペースで書いていてはいつまで経っても千秋楽に辿り着かんので(^^;)2023年1月に行われたワークショップについては駆け足で!…と、言いたいところなんですが。

とにかくミュージカル俳優たちは凄い!音楽力、演技力はさることながら、瞬時に変化に対応してゆく臨機応変力!!私がワークショップで目の当たりにした「ミュージカル俳優の素晴らしく高い能力」それをどうにかみなさんに伝えたいので、こちら

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ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(3)

ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(3)

相方のジュンコ先生と。そんなこんなでこの
「まだ世の中に出ていない、完成されていない」
作品の歌唱指導を引き受けることになったんですが、

何せミュージカルの仕事は未体験ゾーンの私。
歌唱指導そのものは出来ても、その他の舞台のセオリーや段取り、稽古の流れやスケジュールなどあまりに知らないことが多すぎて不安なため、助手を黒崎ジュンコちゃんにお願いしました。

彼女はVOICEGYMのWEB制作や事務

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【寄り道その2】ミュージカル「この世界の片隅に」歌唱指導CHIBIさんのnoteより

【寄り道その2】ミュージカル「この世界の片隅に」歌唱指導CHIBIさんのnoteより


かたすミュの素晴らしさは3つある

1つはもちろん作品の力。2つ目は楽曲の力。3つめは作品と楽曲の魅力を最大限観客に伝えることが出来るキャストの力。
(本当は舞台美術も入れたいのですが全ツでは日生劇場と同じ美術が使えなかった点もあるのでいったん外しておきます)

紹介させていただくCHIBIさんの記事は連載になっているので(1)の後の(2)を心待ちにしていました。

歌唱指導としてCHIBIさん

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ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(2)

ミュージカル「この世界の片隅に」~歌唱指導の視点から~(2)

今回の作品で実現したいこと。アンジーが続けて話してくれたのは、
彼女が「今回の作品で実現したいこと」でした。

その時に話を聞きながら慌ててメモをとったのがコレです。

最近のアメリカのミュージカルは

Hip Hopで物語を綴ってゆく
「ハミルトン」だったり、

声を作らず、スピーチに近いトーンで歌う
「ディア・エヴァン・ハンセン」だったり

シンガーソングライターSara Bareillesが

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【寄り道】ミュージカル『この世界の片隅に』自由の色の歌詞はなぜ変わった?

【寄り道】ミュージカル『この世界の片隅に』自由の色の歌詞はなぜ変わった?

8月14日。江波を探究していた先輩からの疑問

お仕事の先輩が凄まじい探究心で本日江波を探索(ご実家が広島なので)。すずさんが恐らく”波のうさぎ”を描いた場所はココと思われる・・・・とかとか沢山画像をDMで送ってもらい、9月の広島・呉旅行がますます楽しみに。

なんと江波山にこんなステキなフレンチレストランがあるとのこと。絶対行きますw

そして先輩からの疑問が。
『自由の色』の歌詞がアンジェラ・

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「この世界の片隅に」出演者、宝塚OGのSNSを見て思ったこと

 広島原爆の日、「この世界の片隅に」に出演された平野綾さんや村井良太さんが広島でこの作品を演じたからこその投稿をしていらっしゃいました。こういった作品に出演した以上、役を生きるだけでなくある程度平和や反戦のメッセージを発信していく覚悟も持ってほしいと今作の出演者に期待していたので、平野綾さんや村井良太さんの投稿を見て少しホッとしたような気持ちがしました。「この世界の片隅に」のパンフレットは、全体的

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