見出し画像

対話を通して人は成長する アカデミーハウスシニアディレクター山口大学小川仁志教授に聞く「自己成長のための対話のススメ」【アカデミーハウス特別インタビュー】

こんにちは、アカデミーハウス3期生の光田です。
9月21日 KDDI維新ホールで、23年度第1回哲学カフェが行われました。

哲学カフェの様子

哲学カフェとは
一つのテーマについて、対話を通じて自分の考えを吟味する場。
司会を務めるファシリテーターが問い投げかけ、それについて様々な人の意見を聞きながら考えをめぐらせます。
1990年代初めにフランスの哲学者マルク‧ソーテが哲学を一般の人々にもっと身近に感じてもらうために、アカデミックな環境から出て、カフェなど公の場で哲学的な対話を行ったのが始まりと言われています。

今回の対話のテーマは「疑う」
50名近く集まり、大いに盛り上がったイベントを後に、ファシリテーターである小川仁志先生にお話を伺いました。
哲学的対話を通して私たちが得られるものは?......
(文/インタビュー:光田早織 写真/バナー/記事監修:山中菜摘)

ファシリテーター(英: facilitator)とは、
会議など議論や意見交換の行われる場で、参加者たちの話の内容を整理したり、意見が活発に出るように発言を促進したりする進行役のことをいう。
議論の決定権は持たず、中立的な立場で討論が円滑に行われるようにする世話役を担う。

Weblio辞書より


小川仁志(おがわひとし)
1970年、京都府生まれ。哲学者・山口大学国際総合科学部教授。
京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。博士(人間文化)。
商社マン(伊藤忠商事)、フリーター、公務員(名古屋市役所)を経た異色の経歴。
徳山工業高等専門学校准教授、米プリンストン大学客員研究員等を経て現職。
大学で課題解決のための新しい教育に取り組む傍ら、
全国各地で「哲学カフェ」を開催するなど、市民のための哲学を実践している。
また、テレビをはじめ各種メディアにて哲学の普及にも努めている。
NHK・Eテレ「世界の哲学者に人生相談」や「ロッチと子羊」では指南役を務めた。
最近はビジネス向けの哲学研修も多く手がけている。専門は公共哲学。
著書も多く、ベストセラーとなった『7日間で突然頭がよくなる本』や『ジブリアニメで哲学する』、『不条理を乗り越える』、『前向きに、あきらめる』等をはじめ、これまでに100冊以上を出版している。YouTube「小川仁志の哲学チャンネル」でも発信中。
公式HP http://www.philosopher-ogawa.com/

哲学カフェとは皆が平等になる場所

Q .哲学カフェとはどのような場所なのでしょうか。

哲学カフェは、1つのテーマについて、じっくりと時間をかけて対話するというイベントです。そのためには、ファシリテーションする人が必要で、その進行役を私がやっているということですね。

哲学カフェ3つのルール
①誰にでもわかる言葉を使う②全否定しない③人の話をよく聞く
の下に対話が進められていく


Q .今回、「疑う」というテーマで対話をしてきましたが、テーマを決める上で重視することは何ですか。


テーマを決めるポイントは、今、世の中でみんな何に関心があるだろうか、あるいは、今、みんなで論じておくべきと私が思うことを挙げています。

個人的な関心ではなく、みんなにとってこのテーマが大事と思ったものを選ぶようにしています。
もう1点は、選んだテーマが普段わざわざ集まって、いろいろな立場の人が世代を超えて論じることはないだろうというものに敢えてするようにしています。
今、立場を超えて、一緒に考える場というのがないんですよ。会社の会議とか、地域の集会で集まる機会はありますが、自分の属している場所を抜け出して、世の中に生きる1人の人間として対話に参加する機会ってなかなかないんです。
だから、哲学カフェでは、別に名前も言ってもらわないですし、職業も年齢も聞かないんです。本当に1人の個人として、どう思うのかということを考えてもらう場なんですよ。
だからこそ、テーマもその上でみんなにとって重要なことって何だろうっていうことを常に考えていますね。

対話を重ねて自分の考えを吟味していく

Q .対話するとはどういうことですか。

対話というのは、ただ意見を言うことでもなく、聞くことでもなくて、実は考える場なんです。
何のために対話するかって、 複数の人が意見を交わすっていうことですが、自分1人では、考えが進まないから、人の意見とか視点を借りて考えるわけです。対話とは、やはり考える場なんですよね。
かつて古代ギリシャでソクラテスが始めたように、1人で考えず、会話することで自分の考えも広がっていく。正に哲学的対話そのものなんですよね。

Q.先生がファシリテーションする上で、大事にされていることは何ですか。

みんながフラットな状態で意見が言える場づくりですが、それでもなかなか意見って出ないんですよ。私が、指名してもいいんですが、それでは哲学カフェは成り立たないんです。対話の目的自体、自分の考えを吟味するということであり、意見を言い合う場ではないからですね。

手を挙げて自身の意見を共有していく


対話を通して人は成⻑する

Q .哲学カフェやアカデミーハウスは、価値観の違う中でみんなが対話していくのがテーマですが、人の成⻑にとって対話とはどんな意味がありますか。

哲学カフェに参加するアカデミーハウス生

人というのは、自分の意見を持って生きてますが、その中には自分でも気が付かない思い込みもあります。それは、経験に基づいたものでしょうが、その枠に留まっていては、人は成⻑はしないんですね。
その枠を抜け出すためには、枠の外にこんなことがあるよって誰かが教えてくれないといけなくて、それを教えてくれるのが対話相手なんです。
対話相手は、こっちもあるよ、あなたの枠だけじゃないんだよと教えてくれる。それを知って、自分の枠から出ることが成⻑なんだと思うんですよ。では、枠から出たらどうなるかというと、対話した人の相手の枠と1つになって、枠がまた1つ大きくなる。
正に成⻑していますよね、自分の枠が。それってすごく楽しい行為だと思うんですよ。
自分の枠と相手の枠が重なって枠枠(ワクワク)する。(一同拍手笑)

Q .小川先生の考える人の成⻑とは、どんな状態のことですか。

成⻑するということは、ワクワクすることだと思うんですよ。自分が変わるからワワクするんですよね。人生っていうのは、何も変わらないとつまらないものですよ。やはり人は変化を望むもので、世の中の変化も突き詰めると自分が変わることなんですね。
私たちは生きる上で、何を楽しみに生きているかというと、自分が変わること、つまり成⻑なんですね。子供達もそうですが、できたっていう喜び、あれが人を前に進ませるんですね。だからできなかったら嫌にもなってくる。全然変わらない自分に、嫌気がさしたりしますよね。
でも、人間っていうのは、諦めないんですよ。変わろうと思って努力し続ける。1人ではななかなか変われない人がいたとして、人は人生に行き詰まったら、誰かに相談するように、哲学カフェに集まっている人たちも、もしかしたら、変わりたい思って集まって来ているんじゃないですかね。


Q .なかなか変われないことに悩んでいる人もいるかと思います。自分が変わろうとする上で必要なことは何でしょうか。


自分を変えるって、対話を通じて自分が変化させていくんだ、成⻑していくんだっていうことを意識しないとなかなかできないんですよ。
だから、学校っていうものがあるんだと思います。学校とは、他者との交流を通じて、自分の成⻑に繋げていく、そういう道筋を教えて導いてくれるところだと思うんですね。
今は、学校を出たら終わりということはなく、変化の激しい時代ですから、常に学び成⻑し続けないといけません。
今はリカレント教育も広がってますが、成⻑できない人のためにやはり手を差し伸べる必要があって、学校だけではなく私のようなファシリテーターが、街の中で哲学カフェを開いて、人の成⻑を手助けするこれも1つの方法ですよね。

リカレント教育 「リカレント(recurrent)」とは
「繰り返す」「循環する」という意味で、リカレント教育とは、学校教育からいったん離れて社会に出た後も、それぞれの人の必要なタイミングで再び教育を受け、仕事と教育を繰り返すことです。日本では、仕事を休まず学び直すスタイルもリカレント教育に含まれ、社会人になってから自分の仕事に関する専門的な知識やスキルを学ぶため、「社会人の学び直し」とも呼ばれ
ます。

政府広報オンラインより

アカデミーハウス生に小川仁志先生が期待していること

Q .現在入居しているアカデミーハウス生に期待することは何ですか。

今、入居して半年経つと思いますが、シェアハウスに住んでいると、一緒に過ごす時間が濃密になってきますよね。残り時間が少なくなればなるほど、1分1秒を大切にして日々過ごして欲しいと思っています。
アカデミーハウスは、通常1年、最大2年の限られた時間の中で、どれだけ自分が変われるかということを自分に課す場所だと思うんです。
そのことを意識していい意味で焦ってもらいたいですね。ずっと居る場所ではないですから、グループワークも、何より個人としてもある程度の答えを出さなければならないと思いますね。自分がどれだけ変われるかを意識して、残り半年経った時に、自分が入居した時と比べて全く違う自分になっていられるよう、これからの時間を過ごしてもらいたいですね。

漫然と過ごしているのとそうでないのとでは成⻑の度合いは全く変わってきますから、筋トレのように、鍛え るべきところを意識して、いつまでに何をと決めてやらなければならないと思います。筋トレのように⼈ト レしてもらいたいですね。

Q .世の中には変化することを好まない‧恐れている人もいると思いますが、そういった人たちをアカデミー生が巻き込んでいくには何をすべきでしょうか。

変わることが、とても楽しいということを伝えるのが⼤事ではないでしょう か。
積極的でなく、安全圏や、日々のルーティンの中にいると、驚くこともないと思うんです。アカデミーハウス生には、外部に向けて驚きの機会を与えてもらいたいですね。ちょっと変わったことをして、みんなに驚いて変わるきっかけを与えてもらいたいですね。


(終わり)

次回、哲学カフェは12月1日(金)19時30分~KDDI維新ホール会議室で開催予定です。テーマは「みんな」とは?乞うご期待ください!

詳細はこちら

【アカデミーハウス中間報告会開催決定!】

詳細はこちら

4月に入所してから半年間の活動を振り返り、これまでの活動と、これから取り組む地域課題解決について、皆様に報告する予定です。
現在、各チームでグループワークを行いながら、シニアディレクターの小川先生に指導を仰ぎながら、急ピッチで発表準備を進めています!
ぜひ、3期生が取り組む地域活性化のためのチャレンジをひとりでも多くの皆様に聴いていただきたいと思います。
只今、中間報告会観覧申込み受付中ですので、多数のお申し込みをお待ちしております。

【アカデミーハウスYouTubeチャンネルを開設しました!】

アカデミーハウス3期生のメンバーが、もっと社会に広くアカデミーハウスのことを知ってほしいという思いから、YouTubeチャンネルを開設しました。シェアハウスでの共同生活や、人材育成プログラム、PBL活動などにおいて、日々感じていることや、自分達の思いを自由に発信していますので、ぜひ、ご視聴ください!百聞は一見にしかずです!よろしくお願いいたします。


アカデミーハウスについて

地域の次世代リーダーが住まう、居住型キャリア開発型シェアハウスです。
「自律」「実践」「時間の共有」をテーマに掲げ、予測できない事柄や未来の社会情勢に立ち向かえる次世代のリーダーを育むための共同生活空間です。共に暮らし、共に学び、共に成長する、PBL活動や地域貢献活動等を行う中で、ここでしかできない経験、自己研鑽を目指します。

アカデミーハウス資料請求・見学・体験会開催中

アカデミーハウスにご興味がある方は、いつでも見学や、体験ができますので、以下をサイトをご覧ください。↓↓↓








この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?