柴崎友香著『かわうそ堀怪談見習い』
2024年夏。
暑い……というか、もはや熱い。
古来より日本の「納涼」の定番のひとつに「怪談」があるが、こう熱く……もとい暑くて(現在の夜の気温は、恐らくかつての「夏の昼間」よりはるかに高いだろう)は、幽霊も出る気が起こらないのではないだろうか。
現実の幽霊は酷暑にやられているかもしれないので、「怪談話」で暑気払いしてみようと思い立ち、柴崎友香著『かわうそ堀怪談見習い』(角川文庫、2020年。以下、本作)を手にしてみる。
たまたまデビュー作の恋愛小説がヒットし、同じような