鈴村 泰

医学博士、第一種情報処理技術者、元皮膚科専門医、元漢方専門医。 現在はセミリタイア。

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医学博士、第一種情報処理技術者、元皮膚科専門医、元漢方専門医。 現在はセミリタイア。

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ORCiD:0009-0005-2021-4596 【論文】 1.COVID-19 ワクチン有害事象の統計解析における注意点 2.厚生労働省による COVID-19 ワクチン有害事象の関連性認定に関する考察 3.厚生労働省による COVID-19 ワクチンと脳・心血管疾患における関連性認定の考察 4.Analysis of the Association Between BNT162b2 mRNA COVID-19 Vaccination and Deaths Within

    • 米山隆一氏のレプリコンワクチンについての発言をファクトチェック

      米山隆一氏は、原口一博氏の主張を批判した際に、 Xにおいて次のように発言 しています。 今回は、この発言をファクトチェックしてみます。 結論から言いますと、この発言は事実に反しています。 その根拠を順を追って説明してみます。 まず、 薬剤の有効性・安全性を調べるプロセス は、次のようなものです。 レプリコンワクチンであるコスタイベ は、第Ⅲ相臨床試験が終了し、 医薬品として承認された段階です。 ここで重要なことは、 第Ⅲ相臨床試験の主たる目的は、薬剤の有効性を

      • コロナワクチン接種群と未接種群との死亡率の単純比較では結論は出ない

        「コロナワクチン接種後死亡の症例報告が多いこと」や「死亡事例の救済認定数が多いこと」という事実のみで薬害とすることは 適切ではありません。 薬害とするには、コロナワクチン接種群の死亡率と未接種群のそれとを比較をすることが必須です。 ここで重要なことは、接種群と未接種群の死亡率を単純に比較しただけではエビデンスとは認められないという点です。 バイアスの補正をしなければエビデンスとは認められないのです。 生データでは、バイアス補正が困難な場合が多いため、 特に注意が必要です。

        • 札幌市におけるコロナワクチン接種後死亡事例の全数調査分析 (後編)

          前編の論考は、接種1~2回目のデータの分析でした。 後編では、接種3回目以降のデータについて分析してみます。 まず、札幌市のデータより接種人数の推移のグラフを作成してみました。 このグラフより、分析する各期間を決めました。 2022年1月~4月(接種3回目)に接種を受けた後に死亡した全年齢の人のデータよりグラフを作成しました。 なお、死亡者数には季節的変動(冬は死亡者が増加)がありますので、過去のデータを用いて補正してあります。 接種後0日~30日では、接種後31日~

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        • 札幌市におけるコロナワクチン接種後死亡事例の全数調査分析 (後編)

          札幌市におけるコロナワクチン接種後死亡事例の全数調査分析 前編

          コロナワクチン接種後死亡事例の偶発性を調べる場合には、報告バイアスが問題となります。 報告バイアスを回避する方法の一つが 事例の全数調査 です。 藤江成光氏が札幌市に情報公開を請求したことにより、 同市のコロナワクチン接種後死亡の一定期間の全事例のデータが入手可能 となりました。 私も札幌市に請求して同じPDFデータファイルを入手できました。 今回は、このデータの分析です。 このような貴重なデータを入手できたことについて、藤江成光氏にはこの場を借りてお礼申し上げます。

          札幌市におけるコロナワクチン接種後死亡事例の全数調査分析 前編

          全頭脱毛症の「No treatment」 療法

          ※本稿は、2014年11月に私設ホームページで公開した論考の転載です。 ネットの掲示板で、「全頭脱毛症は、治療せず放置した方がよい」という主張を読んだことがあります。ブログでも、「無治療がベストの治療」という記述をみたこともあります。現在の西洋医学では、大学病院の皮膚科ですら、全頭脱毛症の治癒率は決して高くはなく、満足のいく治療が提供できているとは言えません。特に、幼児の全頭脱毛症の治療は、困難を極めます。どれだけ治療を続けても、一向に改善しなければ、そのような結論にたどり

          全頭脱毛症の「No treatment」 療法

          誰も知らない著作権法第48条

          ※本稿は、2016年5月に私設ホームページで公開した論考の転載です。 去年、某国立大学医学部附属病院の研修医セミナーにて、当院が著作権を有する皮膚病写真の無断使用が発覚しました。某医療関係者専用の商用Webサイトで、その研修医セミナーの概略が写真つきで報告されたため、著作権侵害が判明しました。附属病院に対して抗議の手紙を送付したところ、院長より謝罪の手紙が送られてきました。手紙には、著作権法第48条違反と、商用サイトに無断で写真を提供したことについての謝罪が書いてありました

          誰も知らない著作権法第48条

          コリン性蕁麻疹の漢方治療と、発疹の多様性

          ※本稿は、2015年1月に私設ホームページで公開した論考の転載です。 2012年に当サイトにて、コリン性蕁麻疹の解説を発表しました。その後、徐々にこの疾患で当院を受診する患者さんが、増えてきました。抗ヒスタミン薬(または抗アレルギー薬)単独では、あまり効果がありません。漢方薬を併用しますと、ほとんどの場合、良好にコントロールできるようになります。また、その発疹には多様性があることも判ってきました。 典型的な皮疹は、点状膨疹ですが、それ以外に、「鳥肌状」、「皮疹なし」、とな

          コリン性蕁麻疹の漢方治療と、発疹の多様性

          水イボのイソジン療法は、なぜ有効なのか?

          ※本稿は、2020年5月に私設ホームページで公開した論考の転載です。 今回は、水イボのイソジン療法の有効性について考えてみたいと思います。 私は有効だと思っていますが、この有効性については、皮膚科医のなかでも、意見が分かれています。 患者さんは、イソジン液(ポビドンヨード外用液10%)には抗ウィルス作用がありますので、有効と考える人が多いようです。 私はこの考えには、否定的です。イソジン液の抗ウィルス作用が有効なのは、皮膚の表面に付着したウィルスに対してのみだと考えられます

          水イボのイソジン療法は、なぜ有効なのか?

          メタボ健診は、財政再建の役には立たない。              ――とんでも医学の話では、ありません――

          ※本稿は、2020年3月に私設ホームページで公開した論考の転載です。 「予防医学で、財政再建は可能か?」が、今回のテーマです。  「予防医学を推進すると、医療費を削減することが可能である」という話は、比較的よく聞く話です。 しかし、東京大学教授 康永秀生 先生は、「予防医療で医療費を減らせない」(日本経済新聞、2017)と主張されています。この主張は、一般的には、あまり知られていないように思われます。 その主張を要約しますと、   メタボ健診などの予防医学は、短期

          メタボ健診は、財政再建の役には立たない。              ――とんでも医学の話では、ありません――

          皮膚科医はディスプレイに、こだわるべきである

          ※本稿は、2021年6月に私設ホームページで公開した論考の転載です。 前々回は、照明の重要さについて解説しました。 今回は、ディスプレイの重要性について解説します。 皮膚科医は、色を大切に扱うべきですから、ディスプレイにも、こだわりを持つべきです。 現実には、安易な選択がなされています。 同じJPEG画像でも、ディスプレイにより、見え方は少しずつ異なります。 安物のディスプレイは、色温度が高めで、青みが強い傾向があり、階調性もあまり良好ではありません。 見栄えをよくするため

          皮膚科医はディスプレイに、こだわるべきである

          皮膚科医は、色について、もっと勉強しなければならない

          ※本稿は、2021年4月に私設ホームページで公開した論考の転載です。 私が皮膚科医局に入局した頃のお話です。 ある日、医局会で病院での皮膚科の診察室のあり方について議論していました。 新設の病院で皮膚科の診察室が、窓が北向きの部屋に配置されそうになったため、 医局より要望を出して、日当たりの良い南向きの部屋に変更してもらったという話でした。 発疹を観察するには、十分な太陽光が必要だと考えた訳です。 その頃、色に関して十分な知識がなかった私は、なるほどと感心して聞いていました

          皮膚科医は、色について、もっと勉強しなければならない

          全頭脱毛症は、遺伝します。     ―――ただし、遺伝性疾患ではありません??―――

          ※本稿は、2020年3月に私設ホームページで公開した論考の転載です。 遺伝する脱毛症としては、男性型脱毛症と先天性乏毛症が有名ですが、全頭脱毛症および円形脱毛症も、遺伝することが判明しています。  私が実際に治療した全頭脱毛症の患者さんのなかには、親子例の4例、兄弟例の3例が存在します。 全頭脱毛症は、比較的珍しい疾患であり、これだけ家族内発症があれば、どう見ても何らかの遺伝があるのは、間違いありません。 日本皮膚科学会の、ホームページにおいても、円形脱毛症の遺伝につい

          全頭脱毛症は、遺伝します。     ―――ただし、遺伝性疾患ではありません??―――

          ネイリンカプセル(爪白癬治療薬)の謎 --爪水虫治療の黒歴史は繰り返される--

          ※本稿は、2021年1月に私設ホームページで公開した論考の転載です。 2009年に、 爪白癬(爪の水虫)のパルス療法について、私は問題提起をしました。 1年後の治癒率が公開されていないという大問題があったのでした。 個人のホームページの問題提起であっても、それが世の中を動かすことは、確かにあります。 この問題提起の後、新しく発売された爪白癬の治療薬は、例外なく治癒率が公開されるようになりました。 当時、ネットでこの問題を指摘した人は、一人もいませんでした。 皮膚科医のなかに

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          爪白癬パルス療法の謎 --爪水虫の治療に潜む闇--

          ※本稿は、2009年12月に私設ホームページで公開した論考の転載です。 2008年12月、水虫の内服治療薬であるグリセオフルビンが生産終了となりました。ジェネリック品も含めて、すべて生産終了です。グリセオフルビンは、1錠の薬価は約11円と大変安価な薬剤であり、コストパフォーマンスの高い薬剤でした。水虫の内服治療薬は、主に爪白癬(爪の水虫)に使用します。  薬価が非常に低い薬剤ですので、製薬会社はこの薬剤を生産してもあまり利益が出なかったようです。厚生労働省は、製薬会社の利

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          漢方薬の副作用:頻尿と尿閉

          ※本稿は、2020年5月に私設ホームページで公開した論考の転載です。 漢方薬の副作用としては、軽微なものとしては下痢などの胃腸障害、重大なものとしては、間質性肺炎、肝機能障害などがあります。 あまり知られていない副作用に、頻尿と尿閉があります。頻尿の方は、内服してから数か月後~数年後に生じる場合があります。 漢方薬の副作用と考えず、泌尿器科で頻尿としての治療を受けてしまう場合があり、特に注意が必要です。 私が実際に診察した症例を、ご紹介します。 内服して数年後に、頻尿が

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