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よろしく愛して

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実りがない人生ならば、 長期展望にどんな意味があるのでしょうか。 どんな時でも、しょうがない人でありたい、 そんなしょうがない人を愛していたい。
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2018年10月の記事一覧

吉祥寺の吉祥寺っぽくない美容師

吉祥寺の吉祥寺っぽくない美容師

吉祥寺の一角に佇む、かつて通い詰めていたお気に入りの美容室で髪を切ってもらった。一年ぶりである。いつも担当してくれていた店主は僕のことを覚えてくれていた。「久しぶりだね」と店主は不器用な笑顔を浮かべ、僕を迎えてくれた。

オシャレな街でオシャレな内装で若いスタッフたちに囲まれながら、相変わらず僕たちは漫画の話しかしなかったし、相変わらず店内の雰囲気に不釣り合いとも言えるほどの不愛想な表情で、彼は僕

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君は異邦人だった

君は異邦人だった

君は異邦人だった。孤独だった。染まり切れない周りの空気感が歯がゆかった。人と同じが羨ましかった。きっと、自分の居場所がどこにもないような気がしていただろう。

僕は、地方特有の「こうでなくてはいけない」という同調圧力に嫌気が刺して地元を飛び出してきた口だ。つまり、生まれ育った土地に居てもどこか、異邦人である様な疎外感を抱いていた。

東京は良い。まるでみんながみんな異邦人であるようだ。むしろ、この

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「夢語らざるモノ食うべからず」なラーメン屋

ハーバード大学のそばにある【yume wo katare】というラーメン屋では、食事の後、誰でも【夢を語る機会】が与えられるらしい。また、次に夢を語る人のためにラーメンの代金を店に託すことができる、という制度もあるみたいだ。

このお店、いまアメリカでとてつもなく繁盛しているのだと、ある授業で教授が言っていた。

また「今早稲田大学にこのラーメン屋ができても、誰も来ないですよね」とも教授は言った。

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だから、君は辛くていい

だから、君は辛くていい

先日一緒に飲んだ女の子が言っていた。

自己肯定度と承認欲求の乖離が、私を辛くさせているのだ、と。自分はこの程度の人間だけど、もっと認められたい、もっと見て欲しい。その満たされない想いが私を辛くさせている、と。

言い換えれば、自認と理想のギャップ、ということになると思うんだけど、その構図ってどんな感情にも由来しているんじゃないかな。

例えば寂しさ。

例えば悲しみ。

嬉しい時だって、楽しい時

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