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書籍レビュー

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#ファンタジー

書籍レビュー『小悪魔アザゼル18の物語』アイザック・アシモフ(1988)「語り」で描かれるブラックジョーク

書籍レビュー『小悪魔アザゼル18の物語』アイザック・アシモフ(1988)「語り」で描かれるブラックジョーク


「小悪魔アザゼル」が生まれた経緯作者のアイザック・
アシモフについては、
以前、この記事に詳しく書きました。

SF 界の「ビッグ3」と称される
作家の一人でした。

そんな大作家ですが、
私自身はアシモフの作品を
はじめて読みました。

しかも、著者自身の
前書きによると、
本作は著者の作品の中では、
異質な作品のようです。

本作の執筆に至った経緯は、
'80年にとある雑誌から
ミステリー小

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書籍レビュー『アルケミスト 夢を旅した少年』パウロ・コエーリョ(1988)ひたむきな主人公の探究心が読者の心を打つ

書籍レビュー『アルケミスト 夢を旅した少年』パウロ・コエーリョ(1988)ひたむきな主人公の探究心が読者の心を打つ

ブラジルから生まれた
世界的な大ヒット作本作は'88年にブラジルで出版され、
'93年にアメリカで出版された後に、
67か国語に翻訳され、
世界で3000万部売れた大ヒット作です。

内容は羊飼いの少年が
宝物を追い求めて旅をする
物語になっています。

ファンタジーの世界を
ベースにしていますが、
自己啓発の要素も強い作品です。

王様と出会い、
少年の壮大な冒険がはじまるスペインの羊飼いだった

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書籍レビュー『怪物はささやく』パトリック・ネス(2011)3つの物語と1つの真実

書籍レビュー『怪物はささやく』パトリック・ネス(2011)3つの物語と1つの真実

早世の作家が手掛けた原案本作の原案者、
シヴォーン・ダウドは、
'06年に作家デビューを果たし、
2つの作品を出版しましたが、

'07年に乳がんのため、
47歳の若さで
お亡くなりになりました。

死後、'08年に発表された
『ボグ・チャイルド』で、
イギリスの児童文学賞・
カーネギー賞を受賞しています。

本作は、そんな彼女が
生前に残した5作目の
メモを元に書かれた作品です。

このメモを作

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書籍レビュー『旅のラゴス』筒井康隆(1984~1986)ワクワクが止まらない冒険譚

書籍レビュー『旅のラゴス』筒井康隆(1984~1986)ワクワクが止まらない冒険譚

※2500字以上の記事です。
 お時間のある時に、
 お付き合いいただけると嬉しいです。

筒井康隆と私筒井康隆は、
’60年代から活躍する作家で、

星新一、小松左京と並び、
日本の SF 御三家と称される
大家です。

彼の代表作
『時をかける少女』(’67)は、
何度も映像化しているので、
ご存知の方も多いのではないでしょうか。

’60年代に書かれた作品が、
何十年経っても映像化されるのが

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書籍レビュー『短くて恐ろしいフィルの時代』ジョージ・ソーンダーズ(2005)争うことがバカらしくなる

書籍レビュー『短くて恐ろしいフィルの時代』ジョージ・ソーンダーズ(2005)争うことがバカらしくなる

独裁者フィルの時代note では現在、読書感想投稿コンテスト
「読書の秋2021」が開催中です。

課題図書に指定されていた全84冊のなかで、
もっとも興味を引き付けられたのが本作でした。

紹介文にある
「熱狂的な演説で民衆を煽る独裁者フィル」
「国民が6人しかいない小国をめぐる
 奇想天外かつ爆笑必至の物語」
という一文が興味をひきます。

タイトルと装丁も簡潔で素晴らしいです。

読みはじめ

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