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筋肥大を目的としたトレーニングボリュームの基本概念。MV・MEV・MAV・MRV…?

筋肥大するためには、トレーニングボリュームが大切です。
筆者のnoteでも、トレーニングボリュームの重要さは何度も説いてきました。

トレーニングボリューム=重量×回数×セット数

しかし、多すぎるトレーニングがいいかというとそうでもありません
オーバーワークになったり、怪我をするリスクもありますし、筋トレできる時間が無限にある人もなかなかいないでしょう。

では最適なトレーニングボリュームはどのようにして見つければいいのでしょうか。
今回は、【トレーニングボリュームの基本概念】についてお話しします。


●トレーニングボリュームを測る上での基本概念

トレーニングボリュームを測る上で大切な4つの概念があります。

MV(Maintenance Volume):筋量維持ボリューム
MEV(Minimum Effective Volume):最小効果的ボリューム
MAV(Maximum Adaptive Volume):最大適応ボリューム
MRV(Maximum Recoverable Volume):最大回復ボリューム

ここからは、この4つの概念が
・それそれ何を意味するのか
・どのようにして測るのか
・どんな目的がある人におすすめか

について詳しく解説していきます。

※特に注記がない限り、この記事での「セット数」は一週間での合計値を指します。


MV(Maintenance Volume):筋量維持ボリューム


何を意味するのか

MVは、筋量を維持するためのボリュームを意味します。

トレーニング未経験者であれば、筋量を維持するためのセット数は当然0セットになります(加齢などによる影響は加味しません)。

逆に経験者であれば、4-6セットになることが多いようです。
脚や背中などの大筋群ではMVが6セット程度と多くなり、腕やカーフなどの小筋群では4セット程度になります。
感覚的にも、一部位に対して1種目を3セットしかできない場合、筋量を維持するのはなかなか難しいと思います。


・どのようにして測るのか

筋量と筋力は相関関係にあるため、同じレップ数で使用重量が落ちない程度のボリュームがMVだといえます。


どんな目的がある人におすすめか

当然ながら、MVでは筋肥大は起きません
忙しくてトレーニングができない時期、また怪我などで激しいトレーニングができない時期などは、MVを目安にトレーニングをすれば最低限維持だけはできます。


MEV(Minimum Effective Volume):最小効果的ボリューム


何を意味するのか

MEVは、筋肥大できる最低限のボリュームを意味します。

あくまで「最低限」なので、バキバキ筋肥大するというよりは長いスパンでゆっくりと筋肥大をするイメージです。
その代わり、トレーニングとしてはそこまできつくはありません。


・どのようにして測るのか

トレーニングボリュームと筋肥大は相関関係にあるので、MVよりはトレーニングボリュームが増えます
しかし、どのくらいのトレーニングボリュームが適切かは個人差があり、身体の強さや食事量、生まれつきの回復力などに左右されます。

MEVを見つけるのはかなり大変で、セット数を増やさないまま一定ボリュームで2ヶ月トレーニングを行い、使用重量の変化を確認する必要があります。
2ヶ月後に使用重量が増えなかったらMV、増えていればMEVと判断します。


どんな目的がある人におすすめか

数年トレーニングを続けていて使用重量の伸びが止まってきた人、自分のトレーニングを観察できる程度の経験がある人におすすめです。

正直4年5年とトレーニングをしてくると、劇的な筋肥大や使用重量の向上は見込めなくなってきます。
そのままトレーニングに全力を注ぐのも素敵ですが、トレーニングに人生を賭けられる人でない限り、賢くコスパよくトレーニングするのも大事かと思います。


MAV(Maximum Adaptive Volume):最大適応ボリューム


何を意味するのか

MAVは、最も筋肥大の結果が出るボリュームを意味します。

MAVはトレーニングの度に変わっていきます

私たちの身体は刺激に順応してしまうため、常に前回より重い/多いトレーニングをしなければいけません。
これを漸進性過負荷の原則といいます。

トレーニングの効果を出すためには、常に前回よりもボリュームを増やす必要があります。
逆にこの理論に基づくと、一度やったトレーニングをもう一度やっても筋肥大はしないということになります。

なので、MAVはトレーニングの度に増えていくのです。


・どのようにして測るのか

MAVはMEVとMRVの中間地点です。
まずはMEVとMRVを見つけ、その間のボリュームでトレーニングしましょう。

例えばMEVが5セットでMRVが20セットの場合、6-19セットのうちどこかがMAVになります。

ここで最初から15セットでスタートしてしまうと、漸進性過負荷の原則によってセット数を増やしていかなければならず、すぐにMRVである20セットを迎えてしまいます
すると疲労が溜まったり怪我しやすくなったり、すぐにオーバーワークになるリスクがあります。

そのため、できるだけMEVに近いボリュームからトレーニングサイクルを組むのがいいでしょう。
つまり、このケースでMAVを目指す場合は6セットから始めることになります。


どんな目的がある人におすすめか

筋肥大を目指す人は全てMAVを狙うのがセオリーになります。


MRV(Maximum Recoverable Volume):最大回復ボリューム


何を意味するのか

MRVは、身体が回復できる最大のボリュームを意味します。

MRVを超えるトレーニングボリュームでトレーニングしても、筋肥大は起きません。
つまり、MRVを超えるトレーニングボリュームは全てやり過ぎ、オーバーワークになります。

「プロのボディビルダーじゃないのにそんなに追い込めないよ!」と思うかもしれませんが、意外とそうでもありません。

例えばトレーニング初心者のMRVは非常に低いです。
なぜなら、筋量が多くない上に、漸進性過負荷の原則の基準となるボリュームがまだ小さいから。

普段運動していない人は、ちょっとハイキングやフットサルしたくらいで筋肉痛になるでしょう?
それと同じで、トレーニング初心者はそもそもMVが0セットなので、1セットでもやればMEVに達することができます。

にも関わらず、筋トレYouTuberの真似をして「今日は胸の日!」と言って3種目3セットずつやってしまったりすると簡単にMRVを超えてしまいます。
オーバーワークを防ぐためにも、よっぽどベテランのボディビルダー以外は、やはり分割法ではなく全身法がおすすめです。


・どのようにして測るのか

MVと同様の方法です。
同じレップ数で使用重量が落ちない程度のボリュームがMRVだといえます。

トレーニングしなさすぎでも使用重量は落ちるし、トレーニングしすぎでも使用重量は落ちるということですね。


どんな目的がある人におすすめか

気付かないうちにボリュームが増えすぎてオーバーワークになって発達しない初心者や、一回のトレーニングに2時間など必要以上に時間を欠けてしまっている上級者は意外と多くいそうです。

MRVという概念を知っておくだけでも、オーバーワークを予防することができます。


●まとめ

・トレーニングはやりすぎもやらなさすぎもよくない
・漸進性過負荷の原則に則って、負荷を毎回上げていこう
・基本的にはMAVを狙おう
・MAVはMEVとMRVの間
MEVとMRVはトレーニングしながら測っていく


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