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まだ「追い込む」とか言ってるの?RPEを使って最短で筋肥大する方法

筋トレで「今日は追い込んだわ~」とか「デカくならない奴は追い込みが足りないんだ!」とか言いますよね。

「追い込み」って、何でしょうか?
限界までやること?それとも限界を超えてやること?

「追い込み」って、本当に筋肥大に効果的なんでしょうか?
追い込むのが筋肥大に最高の方法なの?逆に追い込まないと絶対に筋肥大しないの?

今回は、【RPE】という概念を紹介します。
追い込むことが本当に必要なのか、もっと効率が良い方法はないのか、疑問に思っている方は、RPEを学んで、ご自身のトレーニングに活かしてみてください。


●「追い込み」の問題点①定義が曖昧

皆さん、毎回のトレーニングで追い込んでいますか?
「筋トレする人ってドMだよね」とよく言われるように、追い込むこと、歯を食いしばって限界に挑戦することが筋トレだ!という価値観を持っている人は多いと思います。

冒頭にもお話しましたが、そもそも「追い込み」とは何でしょうか。
トレーニング用語では「オールアウト」なんて言ったりもしますが、

・きつい、もう挙げられないと思うまでやること
・Failure(正しいフォームで挙げられなくなる)まで行うこと
・チーティングや補助を使って限界を超えて行うこと

だいたいこの3つに分けられるのではないでしょうか。
どれも間違いではありませんが、問題は「定義が曖昧なこと」

トレーナーやフィットネスインフルエンサー等が
「毎回のトレーニングではきっちり追い込みましょう!」
と言っても、「追い込む」の認識がバラバラでは、発信側の思った通りに受信側が受け取っていないことになります。

どうなるかというと、発信側は「このレベルの人ならスクワット100kg10レップ3セットくらいが最適だろうな」と思っていても、
受信側が90kgが限界だと思ってしまったり、逆に5セットも6セットも行ってしまうと、当然思ったような成果が出ないことになってしまいます。


●「追い込み」の問題点②成果と比例しない

これはトレーニングだけではなく、他のことにも言えることだと思いますが、、、
その「追い込み」は、最大の成果を出せるものですか?

あなたは何のために追い込むのでしょう。
成果を出すためですよね?
筋トレの目的は、追い込むことではなく、筋肥大することのはずです。

では、その成果から逆算して最適な方法を考えられていますか?

例えば野球界では、
「ピッチャーは投げ込みをして肩を作るんだ」派と
「肩は消耗品だからそれを考えてメニューを組み立てるんだ」派の
終わりのない論争が繰り広げられています。

どちらの言い分もわかりますが、プロ野球の世界は成績で評価されます。
練習しないで20勝するピッチャーは年俸が上がりますが、
めちゃくちゃ走り込んで投げ込んで0勝のピッチャーはクビです。

それでも、「俺たちの時代はめちゃくちゃ走り込んで投げ込みをしたんだ!今の選手は甘い!」と喚き散らすおじさまはどの世界にもいるのです。

もちろん、走り込んで投げ込んでなおかつ20勝できればいいのですが、プロですら「めちゃくちゃ走り込んで投げ込む」ことが目的になってしまい、思ったような成績が残せない選手がたくさん出てくることが問題になっているのでしょう。

またビジネスにおいて、日本人の労働生産性が低いことは社会問題になっています。
労働生産性が低いとは、「労働時間が長い割にGDP(国内総生産)が低い」ことを指します。

こちらも
「遅くまで会社に残って残業している人が偉い」
「(いくら営業成績が良くても)早く帰る奴はサボっている」
という根性論が根底にあるような気がしてなりません。

その残業は、会社の利益に貢献できていますか?
その時間で、会社が残業代を払うだけの価値を生み出せていますか?

日本社会は、
動機が純粋で一生懸命頑張れば、結果が最悪でもOK。
逆に動機が不純ならみんなの利益になっても怒られる。

という根性論的な文化が根強い気がします。

メジャーリーガー達は個人の裁量で練習しますし、欧米諸国の労働生産性は日本よりはるかに高いです。

これはトレーニー達にとっても他人事ではありません。
皆さんも、「長くてきついトレーニングをしているのに筋肥大しない」ことは避けたいですよね。
誰でも最短で効率良く筋肥大したいと思うでしょう。

話が逸れましたが、過程ではなく結果にコミットしようよということです。


●限界まで行うことと筋肥大は関係ない

そんな想いを代弁するかのように、
「限界まで行う群」と「限界の直前で止める群」に分けてトレーニングすると、筋肥大効果に差はでるのか?
を調べた研究がありました。

結果として、
「限界の直前で止める」、つまり追い込まないほうが筋肥大する
という結果が得られました。
(かといって、あまりに負荷が弱いトレーニングでも意味がないことが別の研究で明らかになっています。)

限界まで追い込むことは、身体に必要以上のダメージを与えて回復を遅らせることが示唆されています。
更にケガのリスクも上がり、時間を無駄にするなど、思った以上にデメリットがありそうです。

では、追い込まないで筋肥大するにはどうしたらいいのでしょうか。


●RPEとは

前段が長くなりましたが、、、
我々には「追い込む」ことに代わる定量的な指標が必要で、それには以下の2要素が求められます。

・定義が明確である
・筋肥大に直結する

その指標が「RPE(Rating of Perceived Exertion)」
直訳すると、「主観的運動強度」

RPEは、10段階で主観的に運動強度を把握する方法です。
トレーニングセットを行った際の主観的な強度を計測して、下記の定義に当てはめたものがRPEになります。

RPE10…もう1レップもできない(限界)
RPE9.5…もう1レップもできないが、重量を上げても同じレップができそう
RPE9…あと1レップならできる
RPE8.5…あと1レップならできるし、重量を上げても同じレップができそう
RPE8…あと2レップならできる
RPE7.5…あと2レップならできるし、重量を上げても同じレップができそう
RPE7…あと3レップならできる

例えば、100kgでベンチプレスを10レップ3セット行い、最後のセットが終わった時点でもう2レップできそうな場合は、RPE8になります。

RPEは、普段のトレーニングの強度を測るためにも使えますが、RPEをベースにトレーニングの強度を決めることもできます。
その際は、レップ数・セット数・RPEを先に決め、そこから重量を設定します。

まずは普段のトレーニング内容をRPEで評価することから始め、RPE法に慣れてきたらRPEベースで重量を設定していきましょう。


●RPEの利点①コンディションに左右されない

トレーニングの強度をHRM (Highest Repetition Maximum、最大挙上重量)で決める方法もありますが、HRMでは、疲労の管理ができないという弱点があります。

HRM(以降、”MAX”とする)はコンディションに左右されます
パワーリフターなどは、数ヶ月のトレーニングサイクルを組み、大会時にコンディションのピークを迎えてMAXに挑戦します。

コンディションがベストのときの記録をベースにして、高強度のトレーニングを数ヶ月行うメニューを組むのは無理があります。
高強度のトレーニングを行っているときは身体に疲労が溜まっており、その時期にベストの記録を出すことは難しいからです。

その点RPEはそのときのコンディションによって変動するため、柔軟に安全に重量設定を行うことができます。

これはフィットネス-疲労理論を理解していないとしっくりこないと思いますが、そういうものです。
フィットネス-疲労理論に関しては今後記事にする予定です。


●RPEの利点②2種目目以降にも使える

1種目目にスクワットを行った後に2種目目にベンチプレスを行う場合、
1種目目にベンチプレスを行うときと同じパフォーマンスを出すことは無理ですよね。スクワットで疲労しか身体では最高のパフォーマンスを発揮できません。

このときにMAXを基準にすると、「あれ、いつもより挙がらないぞ?」ということになります。

一方で、RPEを使う場合、基準がブレません。
2種目目にベンチプレスを行う場合、2種目目に行うベンチプレスの主観的なMAXが基準になるからです。
1種目目には1種目目の、2種目目には2種目目の基準が必要なのです。


●RPEの利点③補助種目の強度を決めるのに役立つ

大抵のトレーニーは、補助種目のMAXなんて把握していませんよね。やろうとしても、不正確な数字になるでしょう。

「俺はペックフライマシンで最大100kg挙げられるぜ!」
なんて言っている人は聞いたことがありません。

でも、ペックフライ40kg10レップ3セットやったらどれくらいきついか?は皆さんもわかるのではないでしょうか。
あと3レップくらいならできそうなのか、あるいはもう1レップもできないのか。

RPEを使うことで補助種目の重量管理や、現在のコンディションを把握することができます。

「あれ、この種目のこの重量は今までRPE9くらいだったけどいつの間にかRPE7になってる。次から重量上げようかな」とか、
「いつもRPE9なのに今日はRPEは10だったわ。最近オーバートレーニング気味なのかな」とかで重量を調整することができます。


●RPEの弱点

ここまでRPEの利点について触れてきましたが、RPEも万能なわけではありません。

まず、「あと何レップできるか?」という基準が曖昧なこと。
高レップのスクワットになると、限界近くなくとも単純にしんどいのでRPEは高くなりがちなのですが、重量を上げても案外出来てしまうということもあります。
RPEはあくまで主観なので、正しく測ることができない場合もあります。

自制心のない人にも向いていません。
自分に甘く、ついつい怠けてしまうのであれば、素直にMAX基準で計算したほうがいいでしょう。

また自信過剰でイキってしまう人も同様です。
ケガの恐れがあります。

ということで、RPEによる強度管理が向いているのはある程度トレーニング経験のある中級者以降でしょう。


●MAX測定について

ここまで読んでくれた人であれば、RPE10はMAXとほぼ同義であることが理解できるでしょう。

ベンチプレス
1セット目…100kg10レップ
2セット目…100kg9レップ(10レップ目で失敗)

となった場合、1セット目はRPE10だったと推測することができます。
この場合、RM換算表を使うとこの人のベンチプレスMAXは125kgです。

では、次の場合はどうなるのでしょうか。

ベンチプレス
1セット目…100kg10レップ RPE8
2セット目…100kg10レップ RPE9

この人のベンチプレスMAXも125kgなのでしょうか?
いいえ、RPE10でないということは、限界まで行えばもっとできたということ。
こんなときはRPE換算表を使いましょう。

画像1

RPE換算表は、重量・回数・RPEを入力するとその人のMAX値を測定してくれるものです。
これがあれば毎回限界まで挑戦しなくても自分が成長しているかどうか測ることができそうです。


●実際のトレーニングへの応用

ではRPEを使って実際にどのようにメニューを組めばいいのでしょうか。

トレーニングプログラムや時期、トレーニーの目的やレベルによって異なるので一概には言えませんが、目安としてはこんな感じでしょうか。

筋肥大期
・BIG3などのメイン種目…RPE8前後
・補助種目…RPE7前後

高重量期
・BIG3などのメイン種目…RPE9前後
・補助種目…RPE8前後


●まとめ

・根性論はやめよう
・追い込みすぎは逆効果なことがわかっている
・RPEとHRMそれぞれ使い分けよう
・MAX基準でしかトレーニングしてこなかった中級者トレーニーはRPE法も使ってみては?



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