「ベンチプレスは効かないからダンベルフライをやれ」は本当?
ベンチプレスは意味ない説、聞いたことありますか?
「大胸筋を肥大させたいならベンチプレスは意味がない!代わりにダンベルフライをやったほうがいい!」
という意見、ありますよね。
これってどうなんでしょうか?
上のような主張をしている人がどんな根拠で言っているのか、
その主張はどうなのか、
今回は【大胸筋を肥大させる上でのベンチプレスとダンベルフライの比較】についてお話していきます。
●ベンチプレスのメリット、デメリット
大胸筋を鍛える王道の種目、ベンチプレス。
トレーニングを始めるときにまず最初にベンチプレスを行うという人も多いのでは。
筆者も、高校生の頃に学校のトレーニングルームでまず行う種目といえばベンチプレスでした。
数週間に一回くらい行く遊び程度でしたし、当時は40kgくらいでしかセットを組めなかったので筋トレ歴としてはカウントしていませんが、初めてバーベルに触れた機会でした。
ベンチプレスにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
ベンチプレスのメリット1:高重量を扱える
まず最大のメリットは、高重量を扱えること。
ダンベルよりもバーベルのほうが軌道が安定するので、筋力を発揮しやすく、結果的に高重量を扱うことができます。
バーベルのベンチプレスで100kg挙げられる人でも、ダンベルのベンチプレスで片手50kgはまず挙がらないと思っていいでしょう。
そもそもトップポジションに持ってくることすら難しいはず。
しかし、いくらラックとバーベルがあって安定しているとはいえ、それはあくまでダンベルと比較しての話。
安定性ではチェストプレスマシン等のほうが上でしょう。
ですが、マシンでは刺激が足りません。
マシンは軌道が一定のため、筋肉を動かす神経の活動(モーターユニット)の数が少なくなります。
そうなると、稼働する筋肉の量が少ないため、重量を扱えなくなってしまいます。
安定性:マシン>バーベル>ダンベル
稼働する筋肉の量:バーベル>ダンベル>マシン
ラックを用いてバーベルを扱うため比較的安定しつつも、フリーウエイトなので高重量を扱えるというのがベンチプレス最大のメリット。
引用元:https://www.sbdapparel.jp/contents/201904/1947
ベンチプレスのメリット2:先行研究が多い
2つ目のメリットは、ベンチプレスを研究している先駆者が多いこと。
ベンチプレスは古くから親しまれてきた種目な上、ベンチプレス自体が競技になっているため、フォームやプログラムに関して様々な研究が行われています。
ダンベルプレスやダンベルフライは良い種目ですが、フォームに関してベンチプレスほど研究がされている訳ではありません。
ベンチプレスに関しては、手幅、足幅、バーベルを降ろす位置など、本当にいろいろな角度で研究がなされています。
もちろんダンベルプレスなど他の種目に関しても研究が行われていたり、ボディビルダーやフィットネスインフルエンサーが経験や解剖学に基づき、「こういうフォームでやるといいよ!」みたいなことを発信はしているのですが、正直ベンチプレスの比ではありません。
研究の数自体もそうですし、ダンベルプレスの場合は手幅や手首の角度などの変数が多く、未だに正解がわかっていないことも多いです。
一方ベンチプレスは、だいたいの教科書的なフォームが確立されており、実際にバーベルトレーニングの教科書として「スターティングストレングス」という本がバイブルだというのが世界的な共通認識です。
ベンチプレスのデメリット1:大胸筋を完全にストレッチできない
ベンチプレス否定論者が最も言うのが、大胸筋を完全にストレッチできない問題。
こちらがベンチプレスのボトムポジション。
バーベルが胸に当たった時点で、これ以上は下に降ろせないことがわかると思います。
つまり、ベンチプレスでは、バーベルに可動域を制限されるため、大胸筋を完全にストレッチできないということになります。
ベンチプレスのデメリット2:大胸筋を完全に収縮できない
ベンチプレス否定論者が最も言う2つ目が、大胸筋を完全に収縮できない問題。
こちらがベンチプレスのトップポジション。
バーベルは手幅が固定されてしまうので、これ以上は両肘を寄せられないことがわかると思います。
つまり、ベンチプレスでは、握る位置が固定されているため、大胸筋を完全に収縮できないということになります。
●ベンチプレスのメリットデメリット要約
ベンチプレスのメリット
・高重量を扱える
・先行研究が多い
ベンチプレスのデメリット
・大胸筋を完全にストレッチできない
・大胸筋を完全に収縮できない
結論:ベンチプレスが完全に劣っているという意見は間違い
結局、ベンチプレスは効果的なのでしょうか、それとも効果的でないのでしょうか。
正直、ベンチプレスのデメリットである、完全にストレッチできないし完全に収縮もできないというのは詭弁だと思います。
そんなことを言ったらダンベルカールやスクワットも同じ理由で欠陥種目ですし、ダンベルフライにも欠点はあります。
完璧なトレーニング種目など存在しません。
だって、もし「正解」が存在するとしたら、ボディビルダーも初心者も全員その種目をやるだろうし、そもそも「どっちがいいか?」論争なんて起きないでしょう?
でも実際は、ベンチプレスを行っているボディビルダーもいますし、ダンベルフライを行っているボディビルダーもいる。
更にはベンチプレスを行う初心者も、ダンベルフライを行う初心者もいるわけです。
正解がないからこそ、みんながみんなそれぞれの哲学で違う種目をやるのです。
習熟度の違い、骨格の違い、好き嫌いの違い…いろいろな要素があって、その種目を選んでいるわけです。
だからこそ、自分を知り、種目を知り、自分の頭で最適な種目を選ぶのがベストだと思います。
●それでも決められない人へ
それでも「そんなに筋トレのことを調べる時間がない」「考えるのが面倒臭い」「いいからとっとと正解を教えてほしい」という人はどうしたらいいのでしょうか。
正直、自分の身体のことを自分の頭で考えられない人は筋トレにあまり向いていないと思います。
フィットネス界を見ていると、頭を使うことも含めて筋トレが好きな人が伸びていくし、残っていく傾向にあるような気がします。
しかし、そんな「筋トレジャンキー」が世の中にそうそういないことも理解しています。
痩せるための、カッコ良くなるための手段として割り切って筋トレをしている人が多いでしょうし、そういう人を否定するつもりもありません。
そんな「割り切り筋トレ勢」は筋トレにそんなに頭を使いたくないし、誰かに正解を決めてもらってそれに従うほうが絶対に楽チンでしょう。
ということでそういう人向けに「正解」をお教えします。
「ダンベルフライが大好きな人以外は、ベンチプレスをやれ!」
理由としては、フォームに正解(に近いもの)があることと、楽しいこと。
「ベンチプレス何キロ挙がる?」みたいな会話はトレーニーの基本ですし、記録を追うこともベンチプレスのほうがしやすいため、楽しめるでしょう。
ただし、これは筆者が「ベンチプレスが楽しい」と思っているから。
しんどいのであれば無理にベンチプレスをするのではなく、ダンベルフライをするものいいでしょう。
トレーニング自体を嫌になってしまい、止めてしまうことを一番避けたいので。
しないベンチプレスよりも、するダンベルフライのほうが上ですから。
●そもそもなんでこのようなことが起きるのか
ベンチプレスが完璧なトレーニング種目でないことは有識者に説明されるまでわからないかもしれませんが、
客観的に冷静に考えると、ベンチプレスを肯定するボディビルダーも、否定するボディビルダーも両方存在することくらいはわかるはず。
ではなぜ、このように混乱するくらいいろいろな意見が飛び交っているのでしょうか。
人はネガティブな情報を好みます。
情報発信をしているとわかるのですが、「ベンチプレスのここが素晴らしい!」よりも、実は「ベンチプレスのここがダメ!」の方がアクセスが伸びます。
実際筆者が過去に書いた記事でも、カフェイン肯定論よりも否定論のほうが3倍くらいアクセス数が多いという結果になりました。
ちなみに筆者はカフェイン肯定派(ただし量は摂りすぎない)です。
これは少し考えればわかることですが、はるか昔、狩猟民族だった私たちにとっては、「あの果実が美味しい!」よりも「あの果実を食べると死ぬ!」に過剰反応したほうが、生存する確率が高かったのです。
つまり人間はネガティブな情報の方に反応しやすいため、多くの情報発信者が「OK」より「NG」を主張することになります。
ましてや、現代のメディアはアクセス数が収益に繋がります。
このような背景があるので、情報発信者はこぞって「みんなに役立つ情報」よりも、「人の注意を惹ける情報」を発信するわけです。
これはニュースや新聞だけでなく、YouTubeやブログも構造としては同じ。
「マスコミはフェイクだらけだ!」と息巻く人が、インターネットの似たような手法に騙されている事例は枚挙に暇がないでしょう。
筆者自身も情報発信者であるため、アクセス数を稼ぎたいのであればそれらの真似事をすればいいのですが、筆者の目的はアクセス数ではないためそれはしません。
だからこそ、筆者は再三「自分の頭で考えること」の重要性を説いています。
個人的なことを言うと、
「関わっちゃいけない人3選」
「朝に絶対にやってはいけない習慣が判明!」
みたいなコンテンツばっかり発信している発信者の情報は信用しないようにしています。
●まとめ
・どんな種目にもメリットとデメリットがある
・ベンチプレスがおすすめだが、迷ったらやりたいほうをやればいい
・ネガティブな情報はアクセス数稼ぎなので過剰に反応しないこと
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