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東北マタギに学ぶ歩き方のヒント

 最近、「マタギ」関連の書籍を読みまくっています。
 マタギとは、東北の狩人ですね。山中を一日に三十キロ、四十キロ、歩いては、熊狩りなどをしていたといいます。
 たた、現代は諸般の事情で、マタギはほとんどいなくなったとのこと。マタギ文化の継承者が、その世界を保存し伝えていると聞いています。
 その書籍の中で、歩き方は「逆ハの字」、つまりガニ股で歩くとあります。両足真っ直ぐではないのですね。
 これはどういうことでしょうか。
 どうやら、山中の急斜面に対して体が安定し、足が踏ん張れて、疲労が少ないようなのです。
 はじめは、都会に住む自分には関係ないように思っていたのですが、心のアンテナに引っかかるものがあって考察してみることにしました。
 まず、日本人の七割は、確かガニ股、О脚系と聞いています。プロゴルファーは逆で、ガニ股、О脚系は三割と、昔の雑誌で読んだ記憶があります。
 ゴルフは左右の壁が大切なので、X脚ゃストレート脚の方が有利なわけです。ガニ股、О脚系は重心が外へスゥエーしやすい構造なのですね。
「なるほど、だから自分は上達しないわけか」
 なんて、妙に納得したものです。
 では、街中を、普通に歩く場合はどうでしょうか。
 自分などは猫背になって、下を向いて、トボトボと歩きます。家で本を読んでも猫背、職場でパソコンを打っても猫背。
 ついに、腰の股関節の外が神経痛になって、ビリビリと痛いのなんの。叩いても揉んでも、治らない有様です。
 以前には、痛みが走ると、整形外科でレントゲン写真を撮りました。でも、原因がハッキリと映らずわかりませんでした。結局、整体の先生に何度も通う羽目になったものです。
 困ったなあ、イテテ。
 すると、閃きが。
 ガニ股、О脚系は股関節が開き気味なのだ。ならは膝も開き、つま先も結果として「逆ハの字」にしてのガニ股歩きが、本来の歩き方なのではないか。
 つい「つま先は、まっすぐなのが正しいのだ」と信じ込み、ガニ股、О脚系の人が、つま先をまっすぐにして歩くと、どうなるでしょう。
 骨盤は後傾しやすくなります。
 これがいつもの私でした。
 骨盤が後傾すると腹が凹み、背中が丸くなって猫背になりやすくなります。重心が後ろになって、ふらふらとした歩き方になります。
 おお、これだ!
 つま先の角度が、姿勢を作るんだ。
 私はさっそく股関節に合わせて、軽くガニ股で歩くことにしました。膝を軽く開くと、自然につま先が開きます。
 この順番を逆にすると、膝にひねりが入りそうなので、慣れるまで注意が必要です。先につま先だけ開くという発想は、しないほうがよいでしょう。
 座禅のように腰と腹を決めるのが先です。
 つまり、骨盤は立って、少し前傾します。すると腹が決まり、重心が前になります。
 背筋が伸びて、姿勢がよくなりました。正中線を立てた姿勢で、歩きやすくなりました。背中は特に下が締まる感じがあります。
 すると、なんと、腰の神経痛が、消えてしまっではありませんか。
 人により個人差があるので、この歩法が妥当かはわかりませんが、少なくとも、私には効果があったのです。
 背筋が伸びれば、肺が広がり、呼吸は深くなります。重心は前になり、進行方向の線に乗りました。歩く速度は、気のせいか速くなったようです。
 猫背の姿勢を長時間続けることは、素人判断ですが、背骨の下のヘルニアがずれて神経を圧迫すのではないでしょうか。
 マタギの歩き方と、まったく用途は別ですが、腰の神経痛が消えて今は快調です。マタギ様様です。
 考えてみれば、私が親しんできた空手は、まさにつま先を開いて腰と腹を決めて形を演舞します。前屈立ち。四股立ち。三戦立ちだけは内股なので例外ですが、空手においては、三戦立ちも腰と腹を決めます。
 常に腹と姿勢を決めるのは、空手だけでなく武道の基本中の基本ですね。
 こう考えると、姿勢よく歩くのに「逆ハの字」のガニ股歩きは、七割の日本人には合っている歩き方かもしれません。
 姿勢よく歩くのに、参考になれば幸いです。
 というわけで、私は整体師の施術料が浮いた次第です。そろそろビールの美味い季節ですね。
 


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