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#創作
ほんとの空を掴まえに
「不思議だと思わないかい。世間にはこんなに沢山の絵の具があふれているのに、あの空と同じ青色が一色も存在しないだなんて」
黙ってじいっとカンバスに向かっていた彼がいきなりそんなことを口にするものだから、私は頬張っていたハムと卵とマヨネーズのサンドイッチを、ごくん、と思い切り飲みこんでしまった。
いきなりどうしたのと、喉のつかえを紅茶で流してクラスメイトを仰ぎ見る。彼は普段どおりに淡々と筆を動かし
グラン・ブルーの友人
僕の友達の話をしてもいいかな。
彼らはいつも水の中を泳いでいる。海水じゃないとだめという子もいるし、淡水が好きという子もいる。街はずれの水族館にある大きな青い水槽が、彼らの家だ。学校が無い日、僕はたいてい自転車を漕いで、その水族館を訪れる。彼らは皆気さくでおしゃべりだから、どれだけ一緒に居ても飽きることがない。そうやってグランブルーの水底を漂いながら、僕たちはいろいろな話をするのだった。僕は彼