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#小説
小説 第一回AI Selection (42)舞喜井信以知
マイキー(舞喜井)は、目の前に置いたケーキをナイフで切り分けていた。
50歳の誕生日を、狭いアパートで迎えた彼は、堆く積まれた洋服を避け、ちゃぶ台に置いた丸いケーキを置いた。
ついていた5本の蝋燭を立ててはみたものの、タバコを吸わない彼には、火をつける道具がなく、結局、一度、ケーキの上に立てた蝋燭を抜き、ケーキの脇に置いた後、ナイフでケーキを切った。
45度ずつ4ピースに分けてはみたものの食べ
小説 第一回AI Selection (41)武田朋美
武田は、高台に向かう途中に知り合った夫婦と一緒に彼らの家に向かった。
彼らが武田の話を聞いて、行く場所のないという彼女を心配し、家に招いてくれた。
その家は、車で数時間走った山間の町にあった。もともと雑貨屋を営んでいたと言う夫婦の家は、それなりの広さがあった。
「私は、ここの生まれて、代々この土地に住んでいました。雑貨屋も父親の代からやっていたんだけど、子供たちも家を出たから、数年前にやめま
小説 第一回AI Selection (41)エリーへの手紙
エリーは、携帯を取り出した。スズキと一緒の名古屋に向かう車中、エリーは助手席に乗っていた。
携帯の画面には、今まで何度も読み返した手紙が入っていた。それは、震災が起きて、2週間を過ぎた時にエリーのYomi Toに届いた両親からの手紙だった。
「エリー、地震が起きたよ。これは運命だったと思う。でもマミーと一緒にこうして居られることを嬉しく思う。普通、われわれは、生まれる時も死ぬ時も一人だ。それぞれ
小説 第一回AI Selection (31) ウイルス
Yomi Gami 「ウイスルノ拡散方法ガハンメイシマシタ。昔、ニホンノゲームキニツカワレテイタスレ違い通信トイウ技術ノオウヨウネス。ウイスルニカンセンシタYomi ToノチカクニアルYomi Toノ位置情報ヲトリ、Yoml Toノ銀河通信機能ヲツカッテ、IDヲトクテイシ、ウイルスがプレゼント方式デワタサレマス。」
まりお「なるほど。それを自動解凍してしまうのね。」
Yomi Gami「ウイス
小説 第一回AI Selection (30) 馬耳島 封
支持者「先生、今年の夏は、北海道でも暑いですな。お身体は大丈夫ですか?今年は電力不足で、北海道でも節電で、クーラーも使えんでしょ。」
馬耳島「北海道でもクーラーがいるとは思ってもオラなんだわ。」
支持者「温暖化の影響で、こっちの気温も毎年上がってきておりますから。」
馬耳島「じゃあ冬場の雪が減っていいんじゃないのか?」
支持者「反対です。冬場は、雪が増えてます。でも降らない年は、全然降らな
小説 第一回AI Selection (29) 薗部太郎
薗部は、銀河で、震災の被害状況を調べていた。薗部は、数週間前に退院し、今は、親類の家に身を寄せていた。
これはひどいな。薗部は、銀河に表示された日本地図を見ながら、アクセスしている人の場所と、震災前に人工衛星から撮られた夜景の写真を見比べていた。
夜景の写真で一番明るい場所には、アクセスする人がまばらで、反対に暗くなっているところに人の密集地帯ができていた。
この場所は、樹林帯じゃないかな。
小説 第一回AI Selection (28) とどのつまりお
まりお「復興の方は、どうなってる?」
Yomi Gami「マダ被害ジョウキョウガ、正確ニワカッテオラズ、行方不明ノカズモ確定シテイマセン。」
まりお「銀河で把握できるんじゃないの?亡くなれば、輪がつくでしょ。」
YomiGami「携帯ノデンゲンガハイッテイテ、イチドデモ交信ガアレバ、把握デキマスガ、ソレガナケレバ、生死ハフメイデス。」
まりお「携帯じゃなくてウェアブルにするように言ったのに
小説 第一回AI Selection (27) 大地絹子
大地は、父親の友人の代議士に連絡を取り、選挙に出たいことを告げた。父は教育業界に知人も多く、地盤もあったし、大地自身教え子の多くがボランティアで、選挙の応援をしてくれたこともあり、初選挙で、参議院に当選した。所属は、応援してくれだ代議士が所属していたところで、党としては、中堅というところだった。
大地は、子供たちそれぞれにあった教育と教育費の低減と教師の業務改善を訴えた。それを実現するためにより
小説 第一回AI Selection (26) Univ Earth
2025年から世界は、各所で災害に見舞われた。温暖化の中で気候の変化による災害の甚大化や地震、火山による更なる気候への影響もあり、アフリカ、オーストラリア、インドで、気温が上昇し、砂漠化が進んだ。住む場所を失った人たちは、他国に移住を余儀なくされ、それが地域の紛争を呼んだ。
また2022年から続いた戦争により、一部の人間の暴走により、人類が滅亡する危機に瀕することが認識され、世界の有識者は、より
小説 第一回AI Selection (25)武田朋美
そこは広い部屋だった。30台のベッドが二列に並べられていた。武田のベッドは、左の列の端だった。看護師が通るたびに、軽くベッドが揺れた。
彼女の持ち物は何もなかったが、政府から支給された新しい携帯端末には、彼女の認証コードが既に設定されて、銀河にもログインすることが可能だった。
隣には、少し年上の女性が寝ていた。その部屋は女性専用らしく、さまざまな年齢の女性が収容されていた。
武田がそこで3日
小説 第一回AI Selection (24) 大地絹子
大地が選挙に出たのは、43才の時だった、
その頃、公立の学校で副校長をしていた。大地の父親も教育者であったが、校長を歴任したのに、60代で県議になり、2期の間、地元の教育改革に力を注いだ。
大地が42才の時、その父が他界した。脳卒中で、倒れてから、意識が戻らず、数日で息を引き取った。
父の遺品の中に、日記を見つけたのは、お葬式が終わってひと段落した頃だった。
日記には日々の暮らしの事柄や絹子
小説 第一回AI Selection (23) エリー・マルキマ・パジャーブ・シン
エリーは、日本に向かう船の中にいた。震災から2週間が経っていた。両親が死んでいることを知って、すぐに日本に行くことに決めた。すぐ飛行機の手配をしたが、日本への飛行機は、政府関係者だけに制限され、民間人は乗ることができなかった。
彼女は、香港経由の船を予約して、翌日、船に乗った。船は多くの日本人が乗っていた。
彼女はその中にいた同年代の女性と仲良くなった、彼女はスズキさんと言った。
海外でピア
小説 第一回AI Selection (22) 馬耳島 封
馬耳島「あれ、あれ、あれはどうなっとる?」
事務次官「この前、買われた熊の置物ですか?ちゃんと飾りましたよ。多少は、北海道愛が感じられるようになったんじゃないでしょうか。」
馬耳島「いやいや、それじゃない。なんかよくわからんロシア人が作ったというあれ、ウイルスか。あれはどうした?」
事務次官「あー。Yomi To アプリがしゃっくりするやつですね。だいぶ、浸透してきているみたいですよ。」
小説 第一回AI Selection (21) Yomi To
匠「あえ? 俺の携帯、クック、クックだ言ってない?」
友達「あれじゃない? ウイールス? Yomi Toの」
匠「何ソレ。お前の見せてみ。」
友達「私のは、大丈夫だよ。はい。」
匠「ほら。お前のもなってるよ。」
友達「あっ、移したでしょ」
匠「ひどくない?僕じゃねえよ。勝手にうつったんじゃん。もしくは、僕の方が移されたか。」
友達「そっちが先でしょ。」
匠「で、どうなの?これ。何か