小説 第一回AI Selection (41)エリーへの手紙

エリーは、携帯を取り出した。スズキと一緒の名古屋に向かう車中、エリーは助手席に乗っていた。

携帯の画面には、今まで何度も読み返した手紙が入っていた。それは、震災が起きて、2週間を過ぎた時にエリーのYomi Toに届いた両親からの手紙だった。
「エリー、地震が起きたよ。これは運命だったと思う。でもマミーと一緒にこうして居られることを嬉しく思う。普通、われわれは、生まれる時も死ぬ時も一人だ。それぞれの寿命を全うし、それぞれの最後の日に一人で旅立つ。どちらかが見送り、どちらかが旅立つ。
 でも、パパもマミーもこうして二人で最後の時を迎えようとしている。
残念ながら、もう身動きが取れない。怪我もしている。外でサイレンが聞こえる。ここは海も近い、津波も近づいてきていると思う。
 私たちは最後まで手を取り合って、一緒に旅立つ。でも心配しないでほしい。私たちのとても幸せな人生を送ってきた。
 エリーとはこれで最後になるけど、Gingaでは会えるから、寂しがらないでほしい。エリーが、これから活躍ことをパパは確信している。日本は、また復興する、それを支えるひとりとして、エリーには期待している。
 私たちの子供として生まれてきてくれてありがとう。本当に、生まれた瞬間から、今、この瞬間まで、エリーは私たちの誇りだ。そして、これからもずっと。愛しているよ。エリー。ずっと見守っているから。
 マミーも、ありがとうって。マミーは、今、体は動かせないけど、私に、ありがとう。愛していると伝えてほしいと、教えてくれたよ。グッドラック!」


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