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児童期・青年期に見られる障害や症状⑤「児童虐待」

精神医学(Psychiatry)は、各種精神障害に関する診断、予防、治療、研究を行う医学の一分野です。

カウンセラーは医師のように病名を診断したり、投薬治療を行うことはできません。

カウンセラーの精神医学的な知識が乏しいと、クライアントの状況を正確に判断することができないため、重篤な症状へと発展させてしまう危険性もあります。

カウンセラーは常にクライアントの利益に繋がる判断をしなければなりません。

病名を告げるなど医師の専門領域を侵したり、クライアントが傷つくような知識の乱用は絶対あってはならないことですよね。

カウンセラーが自身の専門性の限界を知り、クライエントのメリットにつながる関わりをするためには精神医学の基礎知識は非常に大切ですよね。 

あくまで予備知識としての情報ですが、私自身の学びの場としても精神医学の基礎知識をこのnoteに書いておこうと思いました。

また、多くの人が精神医学に触れる機会となったり、理解を深めるきっかけになっていただけたらと思っています。


1.児童期・青年期に見られる障害や症状

児童期・青年期にもよく見られる障害があります。その中でもよくみられる5つの中から⑤児童虐待を紹介します。

【児童期・青年期に見られる障害や症状】

①自閉スペクトラム症(ASD)
②注意欠如・多動性障害 (ADHD)
③学習症/学習障害(LD)
④チック症
⑤児童虐待 

2.児童虐待 

児童虐待とは、保護者により子供に加えられる、身体的・心理的・性的な虐待のことを言います。 主な虐待は以下の4つです。 

①身体的虐待…子どもに対する身体的暴力が主に現れています。打撲傷・骨折・火傷・激しく揺さぶる・溺れさせる・首を絞める・縄などにより椅子に拘束するなどの行動です。

②心理的虐待…子供に対して脅迫したり、非難をするなど言葉による脅しだけでなく、無視をすることも心理的虐待に入ります。その他には兄弟間の差別的な扱いをしたり、子供が見ている前で暴力行為を行うなどです。

③性的虐待…子供に対して性行為を行うだけでなく、性行為を見せる・性器を触る。または触れさせるなどの行動を言います。

④ネグレクト…養育の拒否や学校に通わせない。衣食住の世話をしない。家の中に閉じ込める。不潔にする。車の中に放置する。病気になっても病院に連れて行かないなどが挙げられます。

虐待された子供に見られる症状としては、子供の時期には発達の遅れや新旧の外傷が見られるほか、過食や多飲などの問題行動、情緒や言語発達の遅れをはじめとする症状が見られることがあります。

特に感情や衝動のコントロールが困難になったり、自己評価が低く、自分や他者を傷つけやすくなったりすることなどが問題となりやすく、心的外傷後ストレス障害 PTSD を引き起こしやすくなります。

虐待をしている親は、自分の行為を虐待ではなく「しつけである」と訴えることがあり、子供も親の行動を警戒して事実を話せないことが多くあります。

虐待の問題に対応していくためには、子ども自身の不信感や警戒心を取り除くために、安全で安心できる環境や対人関係を提供することが重要になります。

しかし、子供の心に安心感が根付くのは容易なことではなく、しばしば子供の対人関係や行動は不安定になりやすいことを頭に入れておかなければなりません。

子供が幼ければ幼いほど、虐待を親の問題ではなく「自分が悪い」「自分が駄目だから」と考える子供がいます。

このような子供は親の暴力は自分の責任であると考え、親に好かれる良い子になろうとします。

それと同時に親に対する恐怖心を強くいだき、孤立無援感、無力感と共に親以外の人間全般に対しても不信感を抱いていることが多くあります。

虐待の体験を話すことは子供にとって、非常に苦しいことです。子供が自ら言葉で虐待体験を話す場合、話をするという中で本人自身の心の整理をしていくことも大切になりますが、援助者の方から子供に言語化を促す際には慎重さが求められます。


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