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47都道府県を巡る文学の旅:各県を舞台にした小説を紹介!【近畿地方編】
こんにちは!
「noteの本屋さん」を目指している、おすすめの本を紹介しまくる人です!
シリーズでお送りしている、47都道府県を巡る文学の旅!
今日は近畿地方編です!北海道、東北、関東、中部をまだチェックしていない方は、こちらから読んでみてください!
北海道・東北地方編
関東地方編
中部地方編
前回同様、ここに挙げた作品以外にも多くの素晴らしい小説があること、そして「それってその都道府県じゃなくね?」みたいな本があるかもしれませんが、そこは多めに見てください!
ではいきましょう!
三重県
三浦しをん『神去なあなあ日常』
三重県の架空の神去村という村が舞台になっている小説。なんですが、この村は実際に存在する美杉町という町がモデルになっていて、この町が神去村のホームページをつくって観光誘致しているという面白いことになっています。
高校卒業後の進路を決めていなかった主人公が、この村に飛ばされて、典型的なド田舎の仕事をさせられるんだけど、それらを凌駕する雄大な自然にだんだん魅了されていき、いろいろと変わっていく物語。地方移住なんか考えている人は必読ですね。
滋賀県
平井和正『幻魔大戦』
琵琶湖周辺を舞台にした壮大なSF小説で、世界を揺るがす戦いが描かれています。地元の自然と超自然的な要素が融合し、幻想的な風景が広がる一作です。
全二十冊とかなりの超大作ですが、これ、よんだ人は、みんな価値があったと口をそろえて言う不思議な作品。昔からある本なんですが、少年時代に読んだ人が読み返すと、今の時代のほうがより社会の状況が合致するという、ちょっと怖い。
京都府
森見登美彦『四畳半神話大系』
モダンな京都を背景に、大学生の混沌とした生活が展開されます。いわゆる四畳半シリーズ。SF的要素とユーモアが組み合わさった異色の作品で、川端康成などとは対照的な京都の魅力が描かれています。京都の街並みや学生文化が生き生きと描写され、読者を独特の世界観に引き込みます。
特に京都市は大学の街ですからね、たくさん探しましたが、ほとんどすべてといっていいほど、貧乏大学系の小説か、お色気系の小説ばかりでした。笑
大阪府
梁石日『血と骨』
1930年代あたりの大阪を舞台にした小説。ビートたけしが主演を務めた映画で有名になったので、その映画を知っている方も多いかもしれません!
作者の実父をモデルに、その体躯(たらく)と凶暴性で極道からも畏れられた男の、蒲鉾製造業や高利貸しによる事業の成功やその裏での実の家族に対する暴力、そしてその後の愛人との交際による転落、遂には「故郷」である北朝鮮での孤独な死までを描いた小説。いまも昔もずっと続いている問題に焦点を当てた作品。
兵庫県
成海隼人『尼崎ストロベリー』
こちらは兵庫県の尼崎市を舞台にした小説。お笑いマニアな母から、たっぷりの愛情と笑いの英才教育を受けて育った主人公の高校生だが、ある日母親がスキルス胃がんを患い、余命宣告を受けてしまう物語。
がんに打ち勝つ手だてを探る中、元々人間の体内にあり、がん細胞を攻撃する「ナチュラルキラー(NK)細胞」の存在を知った主人公が、笑うことで活性化するといわれる NK 細胞に望みをかけ「笑いのチカラでオカンを救う」ことを誓い親友のマコトと漫才コンビ「ストロベリーズ」を組み、高校生漫才甲子園に挑むストーリー。
奈良県
津村記久子『ポトスライムの舟』
奈良県を舞台にした小説。これにしようかどうか、かなり迷いました。主人公は、契約社員として工場に勤務する傍ら、友人のヨシカが経営するカフェでアルバイトをしたり、データ入力の内職をしたり、パソコン教室の講師をしたりして働いている。
ある日、世界一周のクルージングのポスターを見て、その費用の163万円が自分の工場勤務の年収とほぼ同額であることに気づく。しばらくの後、ナガセは世界一周クルージングの費用を貯めるために、節約に励む。そして、その五年後を描いたポースケも奈良県が舞台。
和歌山県
中上健次『地の果て 至上の時』
和歌山県といえば中上健次ではないでしょうか。こちらは和歌山県の新宮市が舞台。大阪の刑務所での三年の刑期を終えて新宮に戻って来た主人公。
紀伊半島での高速道路や原発の建設により、新宮にも資本が流入して土地改造ブームが起きており、秋幸の心の拠り所であった「路地」は取り壊されて更地になっている。
主人公は、自らの出自である路地の血と記憶に囚われながらも、そこから逃れようともがき苦しみます。路地は、彼にとって安らぎの場であると同時に、逃れられない呪縛でもあります。中上健次は、路地の風景や人々の姿を、まるでそこにいるかのように鮮やかに描き出し、読者を路地の世界へと引き込みます。
血の繋がり、土地への愛着、そしてそこから逃れられない宿命感。魂を揺さぶる作品です。
まとめ
最初にも言及しましたが、ここで紹介した小説は、各都道府県の文学的な魅力を垣間見るための一つの入口に過ぎません。
各都道府県には、その土地の歴史や風土、人々の暮らしを鮮やかに映し出す小説が数多く眠っています。ぜひ、この機会にあなたの興味を引く地域の作品を手に取り、新たな文学の世界へと足を踏み入れてみてください。
地元の書店や図書館を訪れるのも良いでしょうし、電子書籍リーダーを活用して気軽に読書を楽しむのもおすすめです。
小説を読むことで、まだ見ぬ土地の風景を思い描き、そこに生きる人々の心に寄り添い、そして自分自身の内面を見つめ直すことができると思います。
それは、日常を離れ、新たな発見と感動に満ちた、忘れられない旅となるはずです。
あなただけの文学の旅を始めましょう。
ページをめくるたびに広がる豊かな世界が、あなたを待っています。
追記
全都道府県完成しました!こちらのリンクから。
北海道・東北地方編、関東地方編、中部地方編、近畿地方編、中国・四国地方編、九州・沖縄地方編
【編集後記】
本を全く読まない人が国民の6割を超えて、本屋が倒産しまくっている現状を踏まえて、このnoteは「ひとりでも多くの人に本を読んでもらうこと」を目的としています。ですので、全ての記事を無料で誰にでも読めるようにしており、有料記事は一切公開していません。
ただ残念ながら、そろそろ新しい本を買う予算がなくなってしまいました。もし次回の記事も読みたい方がいたら、リンクから何らかの商品を買っていただくか、以下の「🎁活動を支援する」から応援いただけますと幸いです。投げ銭で応援していただいた方で、note記事を書いている方は、次回の記事のさいごに『謝辞』として、全力でnoteを紹介する記事を追加させていただきます。
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