図書館で借りた本を壊してしまったら?
おはようございます、ハシモト トショカンです。
本日も数ある記事の中からこの記事を閲覧していただき、ありがとうございます!
大学図書館ではそこまで多くないのですが、公共図書館では、修理が必要な本というのが非常に多く、必ず1日のシフトの中で「修理」という時間を設けて、その時間に集中的に修理をしたり、何かの作業が早く終わったとか、少し手が空いたという時にも、すかさず修理を行ったりしています。
しかしながら、それでも全然時間が足りなくて、修理本を置いておく棚は常に修理待ちの本で溢れかえっています。感覚としては「1冊修理したら3冊破損本が見つかる」という感じで、「三歩進んで二歩下がる」っていう、人生ワンツーパンチ状態とでも言いいましょうか、修理作業は終わりの見えない無間地獄でございます。
この修理本、利用者の皆さんから本が返却された際の、検本作業をしている時に見つかることが多いです。
ただし、破損を見つけたからと言って、いきなり「あなた、この本壊しましたね!弁償してください!!」と利用者さんを責め立てることなんてなく、まずは状況をお伺いして、故意ではなくやむを得ない場合や、経年劣化が原因の場合は勿論、修復可能かどうか…なども判断して、最終的に「こちらで修理しておくので、大丈夫ですよ」となることがほとんどです。
なので、図書館で借りた本を破損してしまった場合(ページが取れた、破けた、バックリ割れたなど)、まずはそのままの状態で図書館のカウンターに持ってきていただくのが良い…というか、図書館員的には、それが一番ありがたいです。
例えば、ページが取れたり破れたりしてしまったら、乾くと透明になるのりや資料を劣化させずに修復できるテープといった修理の専用の道具がありますし、ボロボロで背の部分が割れてしまっているような本なら、一旦三枚おろしのようにバラしてから修復するような技法もあるので、とりあえず、本を破損したらそのままの状態で持ってきていただければ、なんとかできる可能性が高いのです。
…しかしながら、良識のある、善良な利用者さんほど、
「図書館の本を壊してしまった!どうしよう!なんとかしないと!」
と思ってくださるので、ご自身でセロハンテープや市販ののりを使って修復して持ってきてくださったり、
「本を壊してしまったので、同じものを買って持ってきました」
と、代替本を持ってきてくださったりします。
これは、その、本当に、本当にお気持ちはありがたいんです。
でも…
絶対にやらないでください!
と言うのも、例えば、市販のセロハンテープやのりを使って修復してしまうと、その部分が劣化してしまいます。よく、セロハンテープがオレンジ色に変色して劣化してるのって見たことがあると思うんですけど、ああなってしまいます。
先ほども言いましたけど、ちゃんと図書館には専用の修理道具が揃っていますので、「なんとかしなきゃ!」というお気持ちは本当にありがたいのですが、ご自身で修復せず、図書館員に任せていただいて大丈夫です!
あと、いきなり買って持ってきてくださった場合なんですけど、故意ではなく修理可能なものであれば基本的にまず弁償にはならないですし、もし万が一買ってきてくださった本が版違いだったりした場合、図書館では同じ本として受け入れることができないので、せっかく購入していただいた本が無駄になってしまうこともあります。
それと、最近ではネットで中古品を購入して持って来られる方も多いんですけど、中に落書きや蛍光ペンでの書き込み等があった場合、こちらも図書館の資料として受け入れることができないので、やはり無駄になってしまうことがあり、注意が必要です。
もし仮に弁償が必要となった場合には、こちらで版やISBN等、書誌情報をちゃんと確定して、「この資料と全く同じものを買ってきてください」と指示をさせていただきますので、いきなり買わずに、まずは図書館にいらしていただきたいと思います。
…しかし、こうした「図書館の本を壊してしまって申し訳ない!」という気持ちで、ご自身で何とかしてくれようとまでしてくださる方がいらっしゃる一方で、めちゃくちゃに破損した本を返却してきて、
「恐れ入ります、確認のためにお伺いいたしますが、こちらの資料は貸出時からページが取れた状態でしたでしょうか?」
等、お声がけをさせていただいた時に、
「なんだお前、俺が壊したとでも言いたいのか!ふざけんじゃねえよ!名誉棄損で訴えるぞ!お前の名前覚えたからな!」
と逆上される方がいたり、弁償になることをお伝えすると、
「無料のものを借りたのに、なんで金を払わなきゃいけないんだ!そんなの詐欺じゃねえか!」
と、とんでもないことを仰る方もいたりします。
私たち図書館員に謝る必要はありませんけど、そういった方には図書館の本は市民の皆さんの共有財産であるという認識を持っていただけると嬉しいかなぁと思います。
本日も長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!