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播磨陰陽道

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2021年8月の記事一覧

播磨陰陽師の独り言・第二十二話「カマクラ」

播磨陰陽師の独り言・第二十二話「カマクラ」

 私の田舎は雪国ですが、カマクラを作ることの出来る種類の雪は降りません。カマクラは、ベタベタした重い雪で作るものです。十勝のようなサラサラな雪では、作っても固まりません。しかし、どうしても、カマクラを作りたくなって、ある時、作ったことがありました。
 カマクラを作るには不向きな雪です。仕方がないので、バケツに水を汲んで、氷を割りながら、水を雪にかけて作りました。こうやると、表面が凍ります。それで、

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怖い話のウラ話・第2話「幽霊がすること」

怖い話のウラ話・第2話「幽霊がすること」

 世の中には、とても幽霊を怖がる人々がいると思えば、一方、
「幽霊なんかおらへンし」
 と言いはる人々もおります。
 本当はどうなんでしょうねぇ。
 幽霊はいるのでしょうか?
 それとも、ただの幻覚や集団ヒステリーのなせる技なんでしょうか?
 そして、幽霊には、どんな存在意義があると言うのでしょうか?
 そんなことを、つらつら考えてみてもキリがありませんね。
 さて、幽霊は物理的な存在ではありませ

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近世百物語・第二十二夜「神と呼ぶもの」

近世百物語・第二十二夜「神と呼ぶもの」

 神としか呼ぶことの出来ない存在、神と言う言葉でしか表現出来ない存在に出会うことがあります。宗教に傾倒している訳ではないので、それが何々と言う神聖な名を持つ神で、その神の言葉を聞いたとか、その神の姿を目にしたと言うつもりはありません。第一、播磨陰陽道は宗教になったり、信者をつのることを禁止しています。
 人が〈神〉と呼ぶ存在は、人の都合によって歪められ、表現されることが多いものです。出会ってみて分

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播磨陰陽師の独り言・第二十一話「雪合戦」

播磨陰陽師の独り言・第二十一話「雪合戦」

 北海道で冬の遊びと言えば、真っ先に雪合戦が思い浮かびます。子供は特に雪合戦が好きです。何人かが集まると、途端に雪合戦がはじまります。
 雪をオニギリのように固めて投げると、誰かが投げ返します。すると、誰が決めるともなくチームに分かれて合戦の開始です。時々、氷の入った雪球も飛んで来て、スリル満点でした。
 雪合戦はほとんど格闘技です。飛んできた雪玉を器用に避けては、投げ返すのです。しかも地面は滑る

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近世百物語・第二十一夜「鬼と呼ぶもの」〈後編〉

近世百物語・第二十一夜「鬼と呼ぶもの」〈後編〉

 鬼に二度目に接触した時はすでに社会人でした。大阪でひとり暮らしをはじめた頃のことです。以前、幽霊が出るアパートに住んでいた頃のことを書きましたが、やはりその頃のことでした。
 アパートに引っ越して間もなくの頃、毎晩、隣室の住人が夜中にギターを弾いて、ヘタな歌を唄うので閉口していました。
 一週間位たった頃でしょうか、ほとんど寝不足で、しかもかなり怒っていました。あいかわらずヘタな歌を聞かされ

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御伽怪談第一集・第五話「耳をすますと」

御伽怪談第一集・第五話「耳をすますと」

   一

 不穏な事件の多かった寛政の頃(1790年代)、越ヶ谷宿にあるサムライが住んでいた。実名を公表する訳にはいかない。とりあえず宮園白水とでも呼ぶことにしておこう。白水の竹馬の友に、面高文五之助がいた。

 ある秋のこと、文五之助は白水の住む越ヶ谷宿の屋敷を訪れ、普請奉行の視察の仕事を兼ねて三泊ほど世話になることとなった。
 白水は元々江戸の生まれである。だが、三男だったこともあり、何年か

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播磨陰陽師の独り言・第二十話「図画工作の思い出」

播磨陰陽師の独り言・第二十話「図画工作の思い出」

 今は帯広でホテルとなっている建物は、昔は画家の先生のアトリエでした。ホテルの横には、トテッポと呼ばれる蒸気機関車が飾られています。その画家の先生の名前は忘れました。何せ五十年も前の話なのでネットで調べても分かりませんでした。
 私が幼稚園に通っていた頃、そのアトリエは私の遊び場でした。いつも画家の先生が絵を描いている時、近くで遊んでいたのです。
 画家の先生との出会いは、幼稚園の絵の時間でした。

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祈りのカタログ・第七話「息の力は神の力」

祈りのカタログ・第七話「息の力は神の力」

 今回は、まず辞書で〈呪文〉の項目を引いてみましょう。
 辞書には、

——一定の呪術的行為の元に、それを唱えると、神秘的な力が現れるという言葉文句。まじない、のろいの文句。密教・修験道・陰陽道などで唱える、まじない。

 と書いてあります。
 ここでは〈まじない〉と言う言葉が印象的なので、この言葉をさらに辞書で調べると、

——神仏や霊力を持つものに祈って、災いを逃れようとしたり、また、他人に災

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近世百物語・第二十夜「鬼と呼ぶもの」〈前編〉

近世百物語・第二十夜「鬼と呼ぶもの」〈前編〉

 過去に出会った何人かの霊能者達は、私を見るなり、
「鬼がついていて恐ろしい」
 とか、
「人ではないものの知識を得ている」
 と言って避けたり、怖れたり、あるいは祓おうとしました。しかし、何の影響もありません。
 ただ、その何かが、
「祓えるものなら祓うが良い」
 と、笑っているだけでした。
 私には、幼い頃から不思議な知識がありました。学んだ物ではなく、ほとんど生まれつきの物です。多くは霊的

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播磨陰陽師の独り言・第十九話「漫画の本」

播磨陰陽師の独り言・第十九話「漫画の本」

 はじめて買ってもらった漫画の本は、母親のセレクトで楳図かずおさんの恐怖漫画でした。何でも良いので漫画を読みたくなって、何度も母に言ったのですが、いつも、
「忙しい」
 と言われていました。
 それがある日、
「本屋さんによった」
 とのことで、なぜか梅図漫画を買って来たのです。
 母が言うには、
「表紙の絵が可愛らしかったから、中身を見ずに買って来たよ」
 どこがどう可愛らしかったのでしょう?

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怖い話のウラ話・第1話「幽霊を見る時」

怖い話のウラ話・第1話「幽霊を見る時」

 よくある、怖いお話し系のビデオとか見ていると、恐ろしげなBGMとか、ビックリさせるような効果音やらで、怖さ満点な世界が展開して行きます。しかしテレビのヴォリュームを、ちょいと絞って見てみると、
「ちィとも怖いことなんか、あらへンがな」
 と言うことになってしまいます。
 画面に登場する、幽霊の皆さんたちよりも、音を含めた登場の仕方の方が怖いのです。
 では、現実の幽霊さんたちはどうなんでしょうね

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怖い話のウラ話とは

怖い話のウラ話とは

 このブログは、怖い話系の裏話を暴露するものです。実はこうだとか、実際はこうですと言った感じで色々と考えてゆきます。もちろん、播磨陰陽師の立場から、怪談や恐怖映像などについて様々に検証してゆきます。なお、このブログは不定期配信です。では宜しくお願い致します。

  *  *  *

  第1話 「幽霊を見る時」
  第2話 「幽霊がすること」
  第3話 「元気を吸う幽霊」
  第4話 「町のお化

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近世百物語・第十九夜「霊的な形の雲」

近世百物語・第十九夜「霊的な形の雲」

 京都から、大阪の阿倍野へ引っ越すための用意をしていた頃、ふと、ベランダから空を見ると龍が飛んでいました。もう二十年近くも前のことになります。それはかなりたくさんの龍で、ゆっくりと形を変えながら空を移動していました。これは、もちろん、龍そのものではありません。龍が空を移動する姿が雲の形を借りて現れたものです。これを〈龍雲〉と呼びます。
 一般に龍雲は、龍の形をした雲のことです。見ると縁起が良いとさ

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播磨陰陽師の独り言・第十八話「トテッポ」

播磨陰陽師の独り言・第十八話「トテッポ」

 その昔、十勝には〈トテッポ〉と呼ばれる小型の蒸気機関車が走っていました。砂糖用のビート工場から、どこかに向かって走っていたらしいのですが、それがどこなのか知りません。たぶん、帯広駅につながっていると思います。どこか夢の国につながっていて欲しかったです。
 トテッポは、従姉妹の家の横を走っていました。従姉妹の家へ遊びに行くと、通り過ぎるトテッポに皆で手を振っていました。
 従姉妹の家から、トテッポ

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