
怖い話のウラ話・第1話「幽霊を見る時」
よくある、怖いお話し系のビデオとか見ていると、恐ろしげなBGMとか、ビックリさせるような効果音やらで、怖さ満点な世界が展開して行きます。しかしテレビのヴォリュームを、ちょいと絞って見てみると、
「ちィとも怖いことなんか、あらへンがな」
と言うことになってしまいます。
画面に登場する、幽霊の皆さんたちよりも、音を含めた登場の仕方の方が怖いのです。
では、現実の幽霊さんたちはどうなんでしょうねぇ?
もちろん、効果音はありませんし、雰囲気タップりのBGMすらありません。まぁ、怖そうな音楽でも聞いていると、少しは雰囲気が出るかも知れません。しかし、誰がそんなのを聞きながら幽霊を見ると言うのでしょうか?
予期しない場所に、突然、現れるから怖いのです。出るぞ出るぞと身構えて、怖そうな音楽を聞きながら待っていても、空振りに終わるのがオチだと思います。
現実世界で見る幽霊の多くは、ただ陰気な性格なだけのシクシク泣いている連中です。もちろん、泣いていない幽霊もおりますが、何となくそこにいると言うだけで不自然な感じは受けません。
後になって考えると、
「そう言えば、少し妙な気がしたンやけど」
と言う程度で、
「ハッキリと幽霊だ」
とは分からないものです。
しかし怖がりの人には分かります。分かると言うか何でもかんでも、
「アレは、幽霊だ幽霊だ幽霊だ」
と思ってしまい驚くのです。
中には本物の幽霊もいたのかも知れません。しかし、かなり気持ちがどぉかしているため、本物の幽霊と錯覚の区別がつかないのです。
そして記憶の中では、
「確かに本物の幽霊を見た見た見た。夢や幻覚なんかじゃないンだよ」
と強く思い込んで、
「信じてくれよ」
と、言い張る訳です。
あるいは、
「結局、見とらんヤツには分からへンのや」
と、見てない人たちのことを少々小馬鹿にして、自分自身を納得させ、安心するのですが、この続きはまた次回。お楽しみに……。
* * *