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播磨陰陽師の独り言・第二十話「図画工作の思い出」

 今は帯広でホテルとなっている建物は、昔は画家の先生のアトリエでした。ホテルの横には、トテッポと呼ばれる蒸気機関車が飾られています。その画家の先生の名前は忘れました。何せ五十年も前の話なのでネットで調べても分かりませんでした。
 私が幼稚園に通っていた頃、そのアトリエは私の遊び場でした。いつも画家の先生が絵を描いている時、近くで遊んでいたのです。
 画家の先生との出会いは、幼稚園の絵の時間でした。アトリエが近いこともあり、先生が絵を教えに来ていたのです。
 ある時、動物園でライオンを描くことになりました。その時、私が描いた絵が何故か先生に気に入られ、やがてアトリエに出入りするようになったのです。先生の絵画の道具や絵筆の使い方が……まるでキラキラした魔法のようで……とても美しかったことを覚えています。
 私の絵は、ただのオリに入ったライオンの絵でした。幼稚園の友だちの絵も、やはりオリに入ったライオン絵なのですが、オリの線がライオンを避けていたのです。私は見た通りに描いただけの絵なのですが、他の子とは違う絵になっていました。
 小学校の図画工作で、初めて描いたチョウの絵は、左右対象の、図鑑の中に出て来るようなチョウの絵でした。他の人がチョウの羽しか描かないのを不思議に思ったものです。
 また、初めて図画工作の時に作った焼き物は、何故かスフィンクスでした。
 私は大人達から見ると変わった子供のようです。しかし、美術関連の大人からは、とても気に入られて、いつも関わることになるのですが、この話は、また、いつか……。

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