ぐん税ニュースレター vol.49 page04 -マーケティングコンシェルジュ-
以前にメディアの種類について解説したのですが、最近注目を集めているリテールメディアについて解説していこうと思います。解説と言いますか、私も少し前にWBSで特集されているのをチラッと見て、改めて情報収集したところでもあります。
リテールとは小売業のことです。つまり小売業主体のメディアということですね。メディアというと小難しく感じるので、ここでは広告媒体と考えてよいです。
メーカーの広告活動といえばマス媒体(テレビ、新聞等)を使った広告やウェブ広告がほとんどだと思います。実はこうした広告はメーカーにとっては成果測定しづらく、最終的な消費者データが手に入りづらいという問題があります。
マス媒体はもともと成果を追跡できる媒体ではありませんが、ウェブ広告は成果測定できることがメリットのはずなのにそれが出来ないのは何故かというと、最終的に消費者に売っているのはメーカーではなく小売店だからです。消費者のデータは小売店が持っているということです。
小売業はECサイトを持って入ればウェブ広告から得たデータも持っていますし、実店舗での売り上げはPOSデータ(販売記録データ)があるので、より精度の高いマーケティング活動が行うことができます。ここに着目したのがリテールメディアです。
リテールメディアはオンラインとオフラインをつなぐ所謂O2O戦略に近いものがあります。基本的なフレームは、メーカーが小売店側に依頼し、まずは小売店が持っているデータをもとにSTP分析等を行いウェブ広告配信をします。この時、小売店(=実店舗)での購買を促すわけですから店舗周辺エリア(商圏)に配信し、実際に来店してもらう働きかけをします。
普通のウェブ広告やO2O戦略だと店舗にきたら後は買ってもらうのを待つだけなのですが、リテールメディアの特徴は広告配信の内容と連動した商品展開をして来店客に購入の動機付けをすることです。具体的には商品のスペースマネジメントやプラノグラム(棚割り)、そしてインストアプロモーション(ISP)を行います。この点は少しアローワンス(メーカーの依頼で小売店が販促に協力すること)にも近いかもしれませんね。
リテールメディアでは特にこうしたインストアプロモーションがポイントであると考えています。代表的なものですと、対象となるメーカーの商品をデジタルサイネージでプロモーションすることです。私がみたWBSではファミリーマートの例が取り上げられていましたが、コンビニであればサイネージ以外に店内放送のCM枠も活用することができます。他にもPOPや陳列によって商品購入を促す取り組みが実施されることが多いですが、この時にセールなどの価格主導型ではなく、あくまで商品の見せ方・伝え方による非価格主導型で売上増を目指すのがリテールメディアの特徴です。
また、リテールメディアではアプリ等を用いることで最終的なPOSデータと関連付けることでより精度の高い一次データの入手・活用をすることができることが最大のメリットです。余談ですがアプリを使う場合には、その場で使えるクーポンなどを発行することがありますが、これ単体は価格主導型ですね。
最近ではTOPPANがこのリテールメディアの一連の流れをパッケージ化してサービスを展開しています。TOPPANと言えば大手印刷会社でしたがデジタル化の流れを受けて、最近は広告代理店やプロダクション会社としての活動が活発ですね。今後の潮流としてリテールメディアを商品化してプロモーションを提案する広告代理店が増えていくのではないかと想像しています。
マーケティング 原
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