モミーちゃんはアナーキスト👩🏻【ネガティブリアクションズ⑦】
2人組の狂気バンドにベースが加わった。そして出会っていく様々なバンドマンたちの影響を受け、バンドは大きく変化していく。
人生のすべてを賭け、世界を変えるために動いていた。
バンドの認知度を上げるために、魔法のiらんどでホームページを作り、"送料も無料でデモテープを配布する"と書き込むと、思いのほかいいリアクション。
行ったことのない土地からの応援の声や、デモテープを求める声が届いた。
その中に東海地方に住む同い年の女性がいた。
その人とだけ、世間話的にメールをするようになっていく。
彼女の名前をnote上では、"モミーちゃん"と呼ぶ。
モミーちゃんからは表現というものを根こそぎ変えてもらった。
でも、あれは恋だったんだろうな。
憧れが強まりすぎて、恋に落ちていたはず。
認めてもらえて、尊敬もできたから、好きになっていったような気がする。依存にも近い。
夏に出会い、秋になった頃。
2人に関係に少し変化が起きた。
ここまでが前回のお話。
前回までは↓↓↓
まとめマガジン↓↓↓
秋の夜のモミー
毎日のように、爆笑させてくれるメールを送ってきてくれるモミーちゃん。
そんな着眼点ある〜?っていうような。
画伯ちゃんが見えていた角度とは違う日常・現実。
それまで左右しか知らなかった世界に、上下の感覚も足されたような衝撃。
そのとき、初めて上を向いた。
もうすぐまん丸になりそう月が、誰よりも強く輝いていた。
少し悲しかった夜の画伯ちゃん
ある日。
モミーちゃんが友達と「こんな表現してきたよ!」と、写真を添付し、詳細が書かれた文章と共にメールを送ってきた。
ここに書けないような話。
童貞だった画伯ちゃんが、心をえぐられたような気分になる内容だった。
童貞を大人数で責め続ける、彼女を含む集団の(たしか)映像作品の一部始終。
"好みではないけど、面白そうだね"
それくらいでスルーして、いっとき離れたら良かった気もする。
でも童貞という点が自分と重なっていたからか、悲しくて怒りながら「表現だとしてもいきすぎてる」と否定してしまった。
向こうはそんな反応が返ってくると思わなかったのか、落胆したのか。
妙に冷静に「こういう表現があってもいいと思うよ」とだけ返信し、次第に距離感が開いていき、数日後には連絡が返って来なくなった。
行き場を失った。画伯ちゃんの感情。
狂気が増しつつあるバンドに、さらに自分の奥底をぶつけるしかない感覚。
バランスが崩れ始めていたんだ。
月が綺麗な夜に
ネガティブリアクションズの練習とライブ、アルバイト、大学。
夏以前の生活に戻った画伯ちゃん。
デモテープを欲しいとメールしてくれる人も、月に何人か居てくれて、不思議な気持ちを抱えたまま。
当時手に入れた人が、いつかこのnoteに気づいてくれたら面白いなぁ。
是非ともコメントしてね。
モミーちゃんのことを、やっと忘れることができそうになった頃、彼女からメールが届いた。
様子はおかしかったが、画伯ちゃんは相手の表現を否定したことを謝り、また連絡を取り合うようになった。
ペースはかなりゆっくり。
モミーちゃんには精神疾患があった。
感情がすぐに変化して、うまく自制できないらしい。
バンドのテーマに「精神障害、引きこもり、女装者」を掲げていた画伯ちゃんは、テーマにしてる時点でそういうマインドに(自身にも、他者にも)惹かれる何かを持ち合わせていると気づいた。
(2020年現在は、自らも精神障害と診断されていて、引きこもり7年目くらいになるんだけどね)
モミーちゃんの揺れ動く様、言葉や反応、描く絵を見て惹き付けられるたびに、自分の曲の世界観がますます狂気じみていく。
何のメリットがあって、彼女が俺とやり取りしていたのかはわからなかったけど、画伯ちゃんは"自身の求める表現の核"に到達しかけていた。
そのとき
モミーから着信が鳴った。
月が綺麗な夜、猫を見る
画伯ちゃんは電話が苦手だから、1度も話したことは無かった。(15秒ほどの挨拶をして、声を聞かせたくらいだったような)
少し躊躇い、様子を見ていると電話が切れた。
アルバイト終わりで、バックヤードから出た瞬間というのもあった。
"家に帰ってからかけ直してみよ"
この日は、とても月が大きくて綺麗だった覚えがある。
月が綺麗やね〜って開口一番言ってみようかな。
と呑気に考えていた。
家に自転車を停め、玄関を開ける前にメールを確認した。
すると、モミーちゃんから複数のメールが届いていたことに気づく。
「音が聞こえるの」
「なんなんだろう?猫かな?」
「でもここマンションの高層階だし」
「猫いるわけないよね?」
「月がとても綺麗。そっちからも見えてるかな?」
「見えてるかな〜。同じ月」
「どうしよう。何か鳴ってる」
「猫が鳴いてる」
たくさんメールが届いていた。
お風呂に入ってからしか自室に戻れない潔癖症なことも忘れ、すぐに部屋へ行き電話をかけた。
何度かけても出ない。
嫌な予感がする。
吐きそうになりながら、2階の部屋から外を見た。
モミーちゃん...
~プレイバック モミー~
モミーちゃん由来の創作物
話の途中だけど、一旦この数年後の話を差し込む。
ネガティブリアクションズの頃に作るも、バンドでは完成せず。
その後にやっていた"ロリコンファッカーズ"というバンドで完成したけど、ライブでは披露できなかった曲がある。
キチガイ男爵(弾き語りver) / 画伯ちゃん(2015~17年)
キチガイ男爵の歌詞(2007年頃のもの。動画と少し違う)
2005年にできた元曲を、2010年頃にロリコンファッカーズで編曲し完成。
しかしデータを失い、2015~2017年に自宅で録音・編集した弾き語りバージョン。
ロリコンのテイクを載せたかったなぁ。いい出来だったから。
どこを探しても見つからなかった。
この曲はモミーちゃんとの思い出からできた曲。
でんぶ / ロリコンファッカーズ(2011年)
ロリコンファッカーズ時代の「でんぶ」という曲の歌詞も、少しモミーちゃんの事を考えて書いた。
こちらはロリコンファッカーズ唯一のアルバム「ふしみいなり」に収録している。
ロリコンファッカーズ唯一のアルバムふしみいなり。
在庫がまだあるので、連絡いただければ販売します。
※送料別1枚1000円。売上はロリコンファッカーズ内で社長名義になっている名倉くんに渡して当時のメンバーに再分配します。
note内のコンタクトか、下記のメールアドレスより「郵便番号・住所・電話番号・お名前」を記載の上、ご連絡ください。
get_up_punks@yahoo.co.jp
Twitter:@gahaku_onigiri
名無しのモミーちゃん / 画伯ちゃん(2010~11年頃)
これもモミーちゃんを想像して作った。
ロリコンファッカーズとは名ばかりの、個人的な映像作品。
こんなふうに。
モミーちゃんから受けた何かを、今も心の中に大事に置いてある。
1度も会わず、まだ童貞だったのが良かったのかもしれないね。
画伯ちゃんの創造力の源の一部に、今も彼女がいる。
~プレイバック モミー終わり~
大垣駅へ向かった画伯ちゃん
不穏な着信とメールを残し、連絡が取れなくなったモミーちゃん。
翌日になっても音沙汰はなく。
心配で、何もできなかった。
しかし、その翌日の昼。
モミーちゃんから電話がかかってきた。
「もしもし!モミーちゃん?大丈夫?」
「わたしは友人の○○です。直前にあなたへ連絡を取っていた履歴と、あなたから何度か連絡があったので、かけさせていただきました」
「え...どういうこと...」
「モミーちゃん飛び降りました」
「え...」
「でも命に別状はないから安心してください。ただ後遺症などはどうなるかわかりません。もし友達だと思うならお見舞いに来て声をかけてあげてくれませんか?」
「は...はい...!どこに向かえばいいんでしょうか?」
「大垣駅まで来てもらえればわかります。すぐの病院なんで」
「わかりました。連絡ありがとうございます...」
画伯ちゃんはこの日のスタジオ練習に行けないことを、ドラムの鼻でか君に伝え、さらに病院を探すサポートを頼んだ。
彼はこの日1人でスタジオへ向かい、前回までの記事に書いたNOW OR NEVERのドラマーさんに駅で出くわしたらしい。
「あれ、ギターの山下清は?」
「鬱病で来れないそうです」
「2人組で練習こうへんのすごいな笑 大変やなお前も」
という会話をしたと、後日話してくれた。
本当のことを説明しにくいとは言え、知らないところで鬱病に...
その頃、山下清こと画伯ちゃんは、JRで大垣駅の近くまで来ていた。
読みが甘く、相当遅い時間に。
到着したのは19時くらい。
鼻でか君にサポートを頼み、近くの病院のことを聞くと(そこまで調べる暇が無かった)、想像以上に周辺に病院が多い。
モミーちゃんにかけ直すも、面会時間が終わって誰も電話に出ることができないのか、連絡が取れない...
せめて友人の連絡先か、病院名をはっきりと聞いておけば...
どうすることもできず、1時間くらいあたふたして、来た道を引き返した。
情けなかった。病院を全部まわることもできず。
米原駅あたりで、止まらなくなる涙。
ずっと下を向いて誤魔化していた。
途中から乗客が減ってきたので、席に座る。
深呼吸して、窓の外を見ようとした。
上を向こうとしたんだ。
モミーちゃんに上下を教えてもらったから。
しかし、なにか気配を感じる。
視線を上げていくなかで、それはハッキリと目に映った。
目の前で、影が蠢いていた。
幽霊か、幻覚か、モミーちゃんの想いなのかはわからない。
蠢く影がそこにあった。
固まる視点、一気に催す吐き気。
あぁモミーちゃん...ごめんなさい...
ごめんなさい...モミーちゃん...
影が、俺に対するモミーちゃんの感情に見えて謝った。
ずっと泣いていた。もう声も上げながら。
半年
モミーちゃんと夏に出会って、ここまでが半年。
月が綺麗な夜に去っていった。
生きているのか、死んでいるのか。
もう何もわからない。
あっちは調べれば、いくらでも俺の現在がわかるだろうけど。
この日以来、正式にモミーちゃんからの連絡は来ていない。
4~5年後の2010年頃。
一番初めに連絡のくれたYahooのメールアドレスに、モミーちゃんらしき人物からの単発メール。
2011~2012年頃にも、1度だけTwitter上でモミーちゃんらしき人からコンタクトがあったが、すぐに消えていった。
消えるキッカケのワードがあった。
「もしかしてモミーちゃん...?」
「文体がモミーちゃんっていう昔の友達にそっくりに感じたんだ。モミーちゃんだよね?」
そう問いかけると消えていった。
モミーちゃんらしき人から最後に聞いた情報は
・築地に住んでいる
・オシリペンペンズを最近見たよ
それくらい。
ただ生きてると思うんだ。
彼女が、画伯ちゃんの行動でワクワク・ときめきを感じてくれたら、また連絡をくれるはず。
画伯ちゃんはこういった過去の呪いを解きながら、みんなに新しい呪いをかけていくよ。
この日々より、面白いことを"今からする"って決めたんだ。
次回は、初めてのレコーディング、悲しいお知らせについて書いていく。
サムネの左側は、当時モミーちゃんが送ってくれた。
サークルジャークスのTシャツを着た何かを表した絵かな?
2005年。
彼女はメタルを中音量で聞くのが好きだと話していた。初めて聞いたな。
中音量って言葉。
(モミーちゃん元気にしてるかー?)
つづく
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