【直感に従え!天の声を聴け!】 映画『フィールド・オブ・ドリームス』フィル・アルデン・ロビンソン監督
「有名映画を初めて観た」シリーズの初回は『フィールド・オブ・ドリームス』である。
今更ながらで恐縮だが、大変な名作であった。
我が号泣映画ベスト10の上位に食い込むであろう。
この映画の裏テーマは「1960年代の革命の時代の挫折」であり、
「暗黒の1970年代」に突入する「アメリカの心の傷」であり、
そして、その「アメリカの心の傷に対する1980年代の回答」がこの映画である。
「大人になる」という事は「やりたいことをやり切らずに死んでいくこと」。
「大人にならずに子供のままでいる」=「1960年代の革命の時代」である。
「やりたいことをやり切らずに死んでいく大人になる」=「1970年代の挫折」である。
そして1970年代の「やりたいことをやり切らない」ままくすぶっている主人公(=アメリカ)の魂を「成仏」させるのが、1980年代のこの映画である。
主人公ケビン・コスナーは「やりたいことをやり切らないで死ぬ」ことを異様に恐れている。
それは「彼の父がそうであった」からだ。
そしてコスナーは「60年代の革命の挫折」の残党でもある。
そんな主人公は「60年代と70年代を背負いながら」葛藤しつつ80年代に生きている。
そんなある日、
「なんかトウモロコシ畑から声が聞こえて、突然野球場を作っちゃいました」
で、人生が突然回り始める。
難しい考えや手続きなんてものは一つも要らないのだ。
実はみんな「声」が聞こえているのに「気のせい」だと思って死んでいく大人がほとんどなのである。
そして「取り返しがつかない」時を迎えて、大変な後悔をする。
「とはいえ、やっぱ家庭が、生活が、仕事が、、、」
そんなものは「現世の幻」である。
死ぬ瞬間に、それらの幻は綺麗さっぱりと消えるのだから。
あなたは今生で「成仏」するのか?しかないのか?
の選択肢しかないのだ。
だから大丈夫だ!
「声」に従って、やるべし!
なのだ。
さて映画の後半に、
主人公はいきなり生活の糧である農場を潰して野球場を作ったため、
彼の一家は金銭的苦境に陥り、野球場と農場は売却か差し押さえかの選択を迫られる。
しかし、
「売る必要はないわ」と無邪気に語る彼の娘。
彼の野球場で往年の名選手たち(黄金の1950年代アメリカ)を見るために、大勢の観客が押し寄せる。
だから入場料を取れば農場は救われる、と言うのだ。
そして主人公は売却を拒否を決断する。
ラストシーン。
主人公一家と一部の(子どもの心を持った)人たちにしか見えない往年の名選手(既にこの世の人ではない)の野球試合の為にアイオワ州中から人々が列を成して訪れる。
すなわち、
アイオワ中からやって来た彼ら全員にも「見えてる」のである。
そして、スクリーンの前の我々にも、、、、