あけみ

大好きな橋本治先生のご本のことなど、つらつらと書き散らかそうかなと。 お付き合い頂けた…

あけみ

大好きな橋本治先生のご本のことなど、つらつらと書き散らかそうかなと。 お付き合い頂けたら嬉しいです。

記事一覧

橋本治「ひらがな日本美術史」第二巻「鹿苑寺金閣」「とんでもなく美しいもの」

  思ってたんとちがう。  自分で言ってしまうが、私は出不精の家虫だ。 外に出たくない。 出来るものなら買い物にも行きたくない。 お家大好き。 金出して観光旅行なん…

あけみ
2週間前
22

絶対、負けへんし。

ちょっと長いです、すいません。  先月、母から「お父さん、コロナみたいやねん。私も今熱が38度くらいある。」 と電話があり、慌てて特急電車に飛び乗ったもののその移…

あけみ
1か月前
41

猫飼って、IQ一気にだだ下がり。

ネコを話題にする事のあざとさは、よく承知している。 承知の上で、やっぱり語らずにはいられないのがネコのあざとさだ。  私は美容院での美容師との会話が苦手で、つい…

あけみ
2か月前
27

生まれてくるということ。死んでいくということ。

 前回投稿した仙厓義梵の沼から、ようやく浮上しつつある今日このごろ。 禅画の話しはいったん措く事としたが、仙厓の生き様、死に様についてはまだまだ考えさせられると…

あけみ
2か月前
39

仙厓義梵の沼でおぼれた

 漫画家の山田玲司さんがYouTubeで時々口にされる言葉に「ドーナツでもどうですか。」というのがある。 若い人が、今のこの時代の生きづらさを相談して来た時、この人は必…

あけみ
3か月前
25

橋本治「ひらがな日本美術史」第2巻「四睡図」 「意外とメルヘンなもの」 おじさんって良い。

 私には若い頃から、「おじさんウォッチング」というろくでもない趣味がある。 もちろんナンパしようとかされようとか、そういうものではない。 ただもう、おじさんが面…

あけみ
3か月前
20

橋本治「ひらがな日本美術史」第7巻「堂々たるもの」 ヒサ子とツネ子

 最近やっと「ひらがな日本美術史」の第7巻を買った。 この巻は近代から現代に至るまでの日本美術が紹介されている。 私はあまりこの時代に興味が持てず、この一冊でシリ…

あけみ
4か月前
35

洗脳って何なんですかね。

私は中学生の時、2年間ホグワーツに留学していました。 ウソです。 このウソに騙されたのは私の下の息子で、大人になった今でもこの話しをすると、彼は機嫌が悪くなります…

あけみ
5か月前
28

「罵詈讒謗」を語らせてください。

 これは「バリザンボウ」と読みます。 「罵詈雑言」「悪口雑言」と「罵詈讒謗」は微妙に違います。 ちなみに「罵詈雑言」は「バリゾウゴン」、「悪口雑言」は「アッコウゾ…

あけみ
5か月前
24

橋本治「ひらがな日本美術史」第6巻「歌まくら」 エロ本の買い方 非日常的で日常的なもの 

私はもう大人なので見る。 しっかり見る。 苦手な人は「好き」だけして読まないで下さい笑 春画をこんなにマジマジと見たのは初めてだ。 「ひらがな日本美術史」の中の謂…

あけみ
5か月前
17

「希死念慮」について語らせてください。

 辛気臭い話しをします。  ごめんなさい。  ずいぶん昔の話になりますが、私には統合失調症の友人がいました。 夜中も早朝もおかまいなく彼女からの電話で叩き起こされ…

あけみ
5か月前
29

「言葉狩り」をさせてください。

 この間、キング・ヌーの「白日」を聴いて、娘に「この曲エモいよね。」と言ったら、すんごい怒られました。 いい歳してそんな言葉使うんじゃない、みっともない。とのこ…

あけみ
5か月前
22

noteについて語らせてください。

 今年('24)の2月に、このnoteという街へやって来ました。 橋本治先生の本の感想文など、書きためていたものをどこかに投稿して、誰かに読んでもらう事が出来たら素敵だな…

あけみ
6か月前
41

橋本治「ひらがな日本美術史」第5巻 ひとりぼっちなもの 伊藤若冲 画家と作家

 若冲はニガテだ。 集合体恐怖症の人なら共感してくれるだろう。  若冲の絵は本当に素晴らしいと思う。 決してキライなわけじゃないんだ。 ただあのうじゃうじゃや点描…

あけみ
6か月前
16

橋本治「ひらがな日本美術史」第2巻 龍安寺石庭 生け花が生まれた時代のもの ウンチク

 制服の高校生の集団が、私の横を追い越していく。 弾けるような若さ美しさに感動して涙が溢れる。 運転中の信号待ちで、信号が赤から青に変わる。 目が眩むような青の…

あけみ
6か月前
14

橋本治「ひらがな日本美術史」第2巻 北野天神縁起絵巻 大和絵というもの 笑っちゃだめだってば。 

             橋本治が爆笑している。 「北野天神縁起絵巻」は、ハチャメチャで陽気でファンキーで、多分シリーズ中いちばん笑える章だ。 平安時代の政治家…

あけみ
6か月前
11
橋本治「ひらがな日本美術史」第二巻「鹿苑寺金閣」「とんでもなく美しいもの」

橋本治「ひらがな日本美術史」第二巻「鹿苑寺金閣」「とんでもなく美しいもの」

  思ってたんとちがう。

 自分で言ってしまうが、私は出不精の家虫だ。
外に出たくない。
出来るものなら買い物にも行きたくない。
お家大好き。
金出して観光旅行なんかする人の気がしれない。
あ、すいません。言い過ぎです。

 本当は京都に行って金閣寺を見たいのだ。
龍安寺に行って石庭も見てみたい。
天球院に行って狩野山雪の襖絵だって見てみたい。
でも私は怖いのだ。

 「思ってたんとちがう。」

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絶対、負けへんし。

絶対、負けへんし。

ちょっと長いです、すいません。

 先月、母から「お父さん、コロナみたいやねん。私も今熱が38度くらいある。」
と電話があり、慌てて特急電車に飛び乗ったもののその移動中、今まさに自分がコロナの巣窟に乗り込もうとしている事に恐れをなした。

 去年コロナに罹患し、熱による身体の激痛と後遺症の倦怠感に長く苦しんだ事を思い出したのだ。
あんなところへ行ったら確実にコロナに感染する。
どうする?
引き返す

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猫飼って、IQ一気にだだ下がり。

猫飼って、IQ一気にだだ下がり。

ネコを話題にする事のあざとさは、よく承知している。
承知の上で、やっぱり語らずにはいられないのがネコのあざとさだ。

 私は美容院での美容師との会話が苦手で、つい気になりながらもカットやカラーを先延ばしにしてしまう。
ところが何かの拍子に、担当の美容師がネコ派と知ってしまうと、とたんに旧知の間柄になる。

「えっ、ネコ飼ってらっしゃるんですか?ウチもですーっ。」
「えーっ、どんなコどんなコ?」

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生まれてくるということ。死んでいくということ。

生まれてくるということ。死んでいくということ。

 前回投稿した仙厓義梵の沼から、ようやく浮上しつつある今日このごろ。
禅画の話しはいったん措く事としたが、仙厓の生き様、死に様についてはまだまだ考えさせられるところが多く、いつまで引きずるねんと我ながら呆れる。

 高名な禅僧でありながら、「死にとうない」という言葉を最後に残した仙厓の真意に、私はまだこだわっているのだ。
 今回のマイブームは、なかなかしつこい。

 前回私は「なーんちゃって。チャ

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仙厓義梵の沼でおぼれた

仙厓義梵の沼でおぼれた

 漫画家の山田玲司さんがYouTubeで時々口にされる言葉に「ドーナツでもどうですか。」というのがある。
若い人が、今のこの時代の生きづらさを相談して来た時、この人は必ず、
「それは君のせいじゃないんだよ。」
と、断言する。
家庭も戦場、学校も戦場、社会も戦場。
今はそういうイカれた時代なんだから、メンタル病んだり、自殺したくなったりするのは当たり前なんだよ。
いったい何人死んでんだよって話しです

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橋本治「ひらがな日本美術史」第2巻「四睡図」 「意外とメルヘンなもの」   おじさんって良い。

橋本治「ひらがな日本美術史」第2巻「四睡図」 「意外とメルヘンなもの」 おじさんって良い。

 私には若い頃から、「おじさんウォッチング」というろくでもない趣味がある。

もちろんナンパしようとかされようとか、そういうものではない。
ただもう、おじさんが面白いから見るのだ。
別にバカにしている訳ではない。
「あら、あんなところに猫が。ノラかしら。」
という感じで、何の悪意もない。

 例えば、土手の上から草野球の試合をぼーっと見ているおじさん。
犬を連れて、工事現場をぼーっと見ているおじさ

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橋本治「ひらがな日本美術史」第7巻「堂々たるもの」 ヒサ子とツネ子

橋本治「ひらがな日本美術史」第7巻「堂々たるもの」 ヒサ子とツネ子

 最近やっと「ひらがな日本美術史」の第7巻を買った。
この巻は近代から現代に至るまでの日本美術が紹介されている。
私はあまりこの時代に興味が持てず、この一冊でシリーズをコンプリート出来るにもかかわらず、なんとなく放ったらかしにしていたのだ。
それよりも、古代から室町時代や安土桃山時代くらいまでの日本美術史でお腹いっぱいで、第7巻はデザートくらいにしか思っていなかった。
こんな極上のデザートだなんて

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洗脳って何なんですかね。

洗脳って何なんですかね。

私は中学生の時、2年間ホグワーツに留学していました。
ウソです。

このウソに騙されたのは私の下の息子で、大人になった今でもこの話しをすると、彼は機嫌が悪くなります。

 息子が6才ぐらいの時、一緒にテレビで映画の「ハリーポッター」を観ていて何の気なしに、
「ホグワーツかぁ、懐かしいなあ…。」
と言ってしまいました。
何の気なしも何も、まったく根拠のない独り言です。 すると息子は、
「お母さん、ホ

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「罵詈讒謗」を語らせてください。

「罵詈讒謗」を語らせてください。

 これは「バリザンボウ」と読みます。
「罵詈雑言」「悪口雑言」と「罵詈讒謗」は微妙に違います。
ちなみに「罵詈雑言」は「バリゾウゴン」、「悪口雑言」は「アッコウゾウゴン」と読みます。
「バリザンボウ」は「誹謗中傷」とも、これまた微妙に違います。

「アッコウゾウゴン」も「バリゾウゴン」も
顔が見える相手に対して放つ、または放たれる悪口だそうです。
グーグルで調べました。

「誹謗中傷」とは、おもに

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橋本治「ひらがな日本美術史」第6巻「歌まくら」 エロ本の買い方 非日常的で日常的なもの 

橋本治「ひらがな日本美術史」第6巻「歌まくら」 エロ本の買い方 非日常的で日常的なもの 

私はもう大人なので見る。
しっかり見る。
苦手な人は「好き」だけして読まないで下さい笑

春画をこんなにマジマジと見たのは初めてだ。
「ひらがな日本美術史」の中の謂わゆる「エロ」について書かれている章は、他にも第2巻の「小柴垣草子」と「稚児草子」がある。
橋本治はエロについても容赦がない。
「誤魔化す」とか「濁す」とかいうことを一切しない。
「気取ってんじゃねェよ。」である。
さすが橋本治。

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「希死念慮」について語らせてください。

「希死念慮」について語らせてください。

 辛気臭い話しをします。
 ごめんなさい。

 ずいぶん昔の話になりますが、私には統合失調症の友人がいました。
夜中も早朝もおかまいなく彼女からの電話で叩き起こされ、「今から死ぬ」という言葉に血相変えて車を走らせるという事が何度もありました。
具合が悪いと言えば病院に付き添い、トラブルを起こしたと言えば職場に出向き、必死で彼女のサポートをしているつもりでした。
若かったから出来たんだなあと、今にな

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「言葉狩り」をさせてください。

「言葉狩り」をさせてください。

 この間、キング・ヌーの「白日」を聴いて、娘に「この曲エモいよね。」と言ったら、すんごい怒られました。
いい歳してそんな言葉使うんじゃない、みっともない。とのことでした泣。
 私には子供が三人いますが、彼らが大人になっていく過程で、特に言葉遣いを厳しく注意したことはなかったように思います。
ただ、年のせいかこの頃ネットで見聞きする言葉に違和感を持ってしまうことがよくあります。
 なんか、色んな人を

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noteについて語らせてください。

noteについて語らせてください。

 今年('24)の2月に、このnoteという街へやって来ました。
橋本治先生の本の感想文など、書きためていたものをどこかに投稿して、誰かに読んでもらう事が出来たら素敵だなあと、前から思っていたのです。 ブログやツイッターも考えましたが、なんとなくあそこは荒れてる感じがして、腰が引けていました。
そもそも私は、SNSはユーチューブとインスタグラムぐらいしか扱えず、パソコンも持っていません。投稿なんて

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橋本治「ひらがな日本美術史」第5巻 ひとりぼっちなもの 伊藤若冲 画家と作家

橋本治「ひらがな日本美術史」第5巻 ひとりぼっちなもの 伊藤若冲 画家と作家

 若冲はニガテだ。
集合体恐怖症の人なら共感してくれるだろう。

 若冲の絵は本当に素晴らしいと思う。
決してキライなわけじゃないんだ。
ただあのうじゃうじゃや点描画のぶつぶつが、どうも。

若冲の絵を開いて、その美しさにうっとりする前に、こめかみがジーンと痺れる。
「あ、アカン。」とパタンと閉じる。
でも見たいからまた開く。
5秒持たずに閉じる。
「ひらがな日本美術史」を開いたり閉じたり、こ

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橋本治「ひらがな日本美術史」第2巻 龍安寺石庭 生け花が生まれた時代のもの ウンチク

橋本治「ひらがな日本美術史」第2巻 龍安寺石庭 生け花が生まれた時代のもの ウンチク

 制服の高校生の集団が、私の横を追い越していく。 弾けるような若さ美しさに感動して涙が溢れる。

運転中の信号待ちで、信号が赤から青に変わる。
目が眩むような青の鮮やかさに感動して涙が溢れる。

 こうなると、もうだいぶヤバいのだ。

心が弱ると目に映るものがやたらと美しく見える。 別に嫌なことがあるから弱る訳じゃないし、こんなことが頻繁にある訳でもない。
双極症の影響だと今は分かっているから、こ

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橋本治「ひらがな日本美術史」第2巻 北野天神縁起絵巻 大和絵というもの 笑っちゃだめだってば。 

橋本治「ひらがな日本美術史」第2巻 北野天神縁起絵巻 大和絵というもの 笑っちゃだめだってば。 

           

 橋本治が爆笑している。
「北野天神縁起絵巻」は、ハチャメチャで陽気でファンキーで、多分シリーズ中いちばん笑える章だ。

平安時代の政治家、菅原道真は政権争いに敗北して九州の太宰府に飛ばされ、そこで都を想い、焦がれ死ぬ。
やがて怨霊となって現れ、かつての政敵達を祟り殺すというすごく有名な話しで、「天神さん」とか、親しげに呼び慣わされて祀られているけど、わりかし怖い神様なの

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