見出し画像

【読書感想文】東浩紀「ゲンロン0観光客の哲学」

こんばんは!
2日続けて東浩紀さん関連の記事!小栗義樹です!

本日は読書感想文を書かせて頂きます。最近読んだ本、前々から好きだった本を題材に、感想文を書く試みです。この感想文をきっかけに、題材となった本に興味を持っていただければ嬉しいなと思っています。

本日の題材はコチラ

東浩紀「ゲンロン0観光客の哲学」

です。

昨日のニュース感想文で東浩紀さんのインタビュー記事を題材としたので、せっかくなら2日連続で、東浩紀さんを取り上げてみようと思いました。

僕が持っている東浩紀さんの本は2冊。そのうちの1冊が「ゲンロン0観光客の哲学」です。

2017年に出版されたこちらの本は、東さんが経営している株式会社ゲンロンから発表された本になっています。のちに増補版も発表されていますが、僕が読んだのは最初に出たバージョンになります。

近いうちに増補版も読んでみるつもりです。

さて、ゲンロン0観光客の哲学とはどのような本なのかと言いますと、簡単に言えば思想書です。すごーくザックリと言うと、現在の世界や人生観についての見方や理論を記した本となります。社会学に近いですが、もう少し人の生き方・動き方にも深く踏み込んでいる印象です。

では、ゲンロン0観光客の哲学にはどのような事が書いてあるのかというと、

世界の経済面における国境はほぼなくなったのに、世界の政治面は国境を維持しようとしている。その結果、政治的な意思・感覚を持たない人のちょっとした移動「観光客」というものが増えている。

みたいな感じです。

すごくざっくりしていますが内容を要約するとこんな感じです。

ちなみに観光客が増えることにより、家族についても再定義が必要であるという内容も、この本の二部に記されています。僕が読んだゲンロン0観光客の哲学には、観光客と再定義された家族の関連性について、明確なことは書かれていませんでしたが、増補版では2万文字が追加されているということで、恐らくこの部分が追加されているのだと思います。

ところで皆様は、思想書を読んだことがありますか?

断言はできませんが、なかなか手にすることはないのではないか?と僕は思っています。ちなみに、僕はそこまで読んでいないと思います。現代思想についてまとまった本は年に3~4冊読む程度です。

その理由は1にも2にも難しいからです。順序だてて説明はしてくれるものの、過去の思想家の考えを引用して組み立てられたロジックは、そもそも過去の思想家の考えを理解していないと読めません。

辿り着くまでに越えなければいけない壁が高すぎるんですね。

では、ゲンロン0観光客の哲学はどうかというと、非常に読みやすかったです。注釈がしっかりしているのと、注釈がページ内に収まっているので、分からない言葉・考えが出てきても、そのページ内で完結することが出来ます。本の作り方からして、すごく優しい作りになっているのです。

思想書をそこまで読まない僕ですが、それでもたまに読んでいるのは、やっぱり面白いなと思うからです。読んでいると「この説明、すでにどこかで体験して知っている」という感覚、いわゆる繋がったという気づきを得る場面がいくつかあります。

例えば、前述した要約です。経済面の国境はほぼなくなり、政治面の国境は維持されている。

これはすでに僕が体験していることです。僕はyoutubeやGoogleも使うし、facebookやXも使います。これは実質的な経済活動の1つです。一昔前(1990年代まで)は、日本人は日本の製品を使っていました。もちろん、工場はアジア地区にあったかもしれません。アメリカに日本製商品が売れていたという要因もあったでしょう。でも、日本人が日本企業が考えた製品をメインに使用するのが当たり前で、日本経済は日本人が回していたと言えると思います。ところが、現代はどうでしょう?先ほど書いた、youtube・Google・facebook・Xは、すべてアメリカ企業のサービスです。僕たちはすでに経済貢献・経済活動に関して、国を超えたか否かを気にしてはいません。

当然そうなると、国家のためにという考えは薄れ、便利なもの・使い勝手の良いものを優先します。この「国家のために」という考えは、いわば政治的な発想です。政治は今でも「国家のために」を軸にして方針を決めています。経済と政治は密接な関係にあります。しかし今、この2つは明らかにねじれているのです。

この本を読んでいるとき、そんな事を頭の中で考えていました。

では、こうしたねじれがどのような現象を引き起こしているか?

その現象の1つが観光客であるというわけです。

観光客はあらゆる場所に存在します。そこには思想や考え、国境などがありません。明らかに大きな力を持っている無害な存在、それが観光客であるというわけです。

この本は、そんな観光客の存在をきちんと認識し、ねじれが生んだ様々な問題を観光客の力を借りて解決していくことは出来ないだろうか?という問題提起をしていると僕は読んでいます。

もちろん思想書ですので、それを一緒に考えていきませんか?というある種の提案本であると思うのですが、アプローチとして実に面白いなと思いました。

問題提起・議題を与えられているのだから、それについてどのような事が出来るのかと考えなければなりません。

例えば「日記」や「ブログ」と観光客の相性は良いと思います。

無害かつ自由に移動する観光客が何をしているのか?を記録し発信することで、多くの人や国にその存在が認識されれば、そこから新たなサービスや国の方針が生まれてくる可能性があると言えます。

ということは、観光客がその内容をまとめて発表してみたいと思えるサービス、あるいはコミュニティや発表の場なんかがあると、体系化がグッと前に進む可能性があると思うのです。

あるいは、今僕がやっている感想文というアプローチもいいかもしれません。

発表さえできれば、単純に観光客が増える可能性を多分に含んでいますからね。

僕は感想文を書いている時、それこそ現実から離れた別の空間に観光に行っているような気分になります。小説には時代を飛び越える力があるし、思想書は自分の内面世界に入っていくような感覚があります。

ですから、実際の現実世界を観光する観光客と感想文は非常に相性が良いと言えるのかもしれません。

こんな感じで、読みながら色々な事を考える事が出来る本になっています。前述したとおり、思想書は自分の内面世界に入っていくきっかけをくれる本です。自分を見つめなおす・振り返るという意味で、十分に役立つと思います。

興味があればぜひ、アマゾンなどで購入してみてください。新しい発見に満ちた素敵な出会いを得られると思います。

ということで、本日はこの辺で失礼いたします。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
また明日の記事でお会いしましょう!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?