こっそりんご

喫茶店のパートをしている40代の人です。森に住みたい、うつ病の人です。

こっそりんご

喫茶店のパートをしている40代の人です。森に住みたい、うつ病の人です。

最近の記事

高プロラクチン血症と母乳と抗うつ剤と

母乳が出た。 身に覚えはない。 ただ、抗うつ剤を服用していると、まあ起こることらしい。 高プロラクチン血症。 ホルモンの影響で、なんとかかんとか云々、とにかく抗うつ剤の断薬が良いらしい。 剣客商売の秋山小兵衛に「贅沢病じゃよ」と一喝されたい。 暑い湯に浸かって、さっぱりしたい。 旅に出たい。 45年も生きてくると、いろんなことが起こるナァ。 お寿司食べたい。 パートを続けていて、疲れてもう辞めたいと思った日。 人手不足で捨て駒のように働かされるような。 甘えなのか、疲労なの

    • うつ病の私が見ている世界 薬が切れたサイン 第19話

       今日は通院日。  表情が明るくなってきたと、次回の通院は三週間後。    体が重く、しんどくなって、履いているデニムでさえも重たく感じ始めたら、それは薬が切れ始めているサイン。  不安がポツポツザアザア押し寄せてきたら、新しい薬を飲む。  一日3回、これがくる。  三度目は、明け方、目が覚める頃。  不思議なもので、薬をあまり信用していなくても、ちゃんと体がしんどくなってくる。家事ができたり、編み物ができたりするのも、薬効なのかなぁ。  いつもの薬局でも、もう何の説明も無く

      • うつ病の私が見ている世界 焦らないで 第18話

        🍎少しづつ 少しづつ  ランチタイムのヘルプは、主任の機転で別の方にチェンジしてもらった。  昨夜は早い時間に寝てしまったので、早朝、LINEの画面でそれを知った。 「疲れている人に、無理はさせられないでしょ」  シフト交代時、そう言ってもらえた。   職場にうつを話していて、良かった。  E テレを観ながら、編み物。  黒い服を着て、それに映えるラズベリー色のマフラー。  この調子では、完成は来年の春になりそうだ。  でも、焦らない。焦らない。  暗いニュースが続いた一

        • うつ病の私が見ている世界 忙殺されるわけじゃない 第17話

          🍎毒親育ちと責任と  喫茶店のランチタイムのヘルプ要請。  モーニングで出勤した後、一旦帰宅して、再びランチタイムに出ることに。  大丈夫、大丈夫、たった二時間だけのこと。  これで私の人生が忙殺されるわけじゃない。  世の中の社会人の皆さんは、朝から夕方、夜まで日々働いているのに、たかだか数時間のパート勤務の私。たった数時間仕事が増えるだけで動悸がする。  でも、ヘルプを承諾したのは私。  責任。自分の言葉に責任を。  結婚前、実母に言われた言葉がある、 「あなたは誰か

          うつ病の私が見ている世界 休み方がわからない 第16話

           休みの日。  私はとても緊張している。  何をすれば良いのだろう。  以前は色々やっていた。多趣味だった。  今は、何をすれば良いかわからない。  うつ病を患った人の書籍やブログを見ていると、みなさん、布団から出られなかったり、家事ができなくなったりしているようだが、私は布団から出るし、家事もする。  私は、うつ病の『正解』からも脱落してしまっているのだろうか。    スローライフ。  もしかしから、私はすごく疲れているのかもしれない。  色々なことが起こりすぎた。   

          うつ病の私が見ている世界 休み方がわからない 第16話

          うつ病の私 森に住む 第2話

           屋根裏部屋へ上がってみた。  このログハウスは、一階が喫茶店と食料庫に水回リ、2階に寝室がふた部屋あって、2階の廊下の突き当たりに梯子が掛けてある。その梯子を登ると屋根裏部屋だ。  ログハウスは、一階が一番広くて、2階と屋根裏はその半分の広さになっている。  教会みたいな形といえば良いのかな。凸型をした家だった。  2階と屋根裏部屋の窓からは、喫茶店の天窓が見える。  もっと埃っぽい部屋を想像していたけれど、塵一つ落ちていない。  私が越してくる前日まで几帳面な住人でも住ん

          うつ病の私 森に住む 第2話

          うつ病の私が見ている世界 第16話

          🍎薬を飲み忘れた朝  パートに向かう途中で気がついた。  今朝、リスパダールを飲むの忘れた。  昨夜、19時に寝てしまってから、珍しく22時に目が覚めた。普段は服用しない睡眠導入剤を飲んで再び寝たら、なんと5時半までぐっすりと眠ってしまった!  それで浮かれ心地になってしまい、朝、リスパダールを飲み忘れたのだ。  自転車を漕ぎながら、急に不安になってしまう。  どうしよう、薬を飲みに戻ろうか。  でも、そうすればパートに遅刻してしまう。  戻ろうか、このまま行こうか、戻ろう

          うつ病の私が見ている世界 第16話

          うつ病の私、森に住む 第1話

          🍎森のお家  町から続く一本道は、一年中、紅葉した落ち葉に彩られ、そこ此処に野の花が咲き乱れていた。木立は、一足ごとに深くなり、木立と森の境目に、私の家がある。  歩くキノコたちに見つからなければ、数分でたどり着くその家は、古いログハウスでかつては誰かの別荘だった。誰かは言った。 「あなたが町に戻る日まで、この家に住んでください。屋根裏に、古いレコードとたくさんの書籍と、画材があるのでお好きに使っていいですよ」  その日から、私はここに暮らしている。  食料庫には、定期的に

          うつ病の私、森に住む 第1話

          うつ病の私が見ている世界 第15話

           完璧な休息。  有意義に過ごさなくては。  そう思い込んで苦しい。 🍎自然の中で暮らしたい  多趣味を自負していた私に、何をしても楽しくない日が来るなんて。  一日三時間だけのパートを終えて、帰宅する。  子供たちが帰ってくるまでに、何か有意義に過ごさなくては!  そう思って苦しくなる。  最近、家事に熱量が入った。  終わりがあるから、決まった作業で動けるから。  でも家事を終えてしまったら?  私は何をすれば良い?  これまで喜び勇んで帰宅していたのに、今は一人の時

          うつ病の私が見ている世界 第15話

          うつ病の私が見ている世界 第14話

           相変わらず、午前三時には目が覚めてしまう。  更年期でも、こういうことがあるらしいけれど、私は今、うつ病の更年期の人なのだろうか。  それでも、ベルソムラ錠10mgを飲むのをやめてからは、一時間は長く眠れるようになったので、良いのだけれど。   🍎 夜更けのタバコと罪悪感と  午前三時に目が覚めると、どうしても、一服したくなってしまう。  喫茶店のオープンシフト(開店準備から昼前まで)の仕事をしているから、このまま起きていても構わないのだけれど、なんとなく目にした『統合失

          うつ病の私が見ている世界 第14話

          うつ病の私が見ている世界 第13話

           いくらあの義母とは言え、夫と娘たちにすれば母親であり祖母なわけで、フジリンゴ族荼毘の一件以降も、彼らは普段と変わらず義母との交流を続けている。  最初こそ、義母も私の心配を口にしてはいたようだが、今は嫁抜きで息子や孫と交流できるというわけで、ずいぶん喜んでいるようだ。  私と次女抜きですき焼きをしたり、色々と口うるさく夫に育児の口出しをしては疎まれたりもしていた。  こちらとて、そのまま疎遠になってしまいたい。  だが、旧態じみた考えの義実家のこと、嫁は老後の世話役と決め込

          うつ病の私が見ている世界 第13話

          うつ病の私が見ている世界 第12話

           これは、統合失調症の薬ではないだろうか。  情報過多の現代社会、なんだって調べられてしまう。  今回の診察で、処方される薬が一新した。  いつもの薬局の薬剤師さんが、 「いつかご自身に合うお薬が見つかると良いですね」  と言って微笑んだ。  リスパダールOD錠1mg、レキソタン錠2 2mg、ベルソムラ錠10mg。  おい、ワイパックス、お前、どこ行っちゃったんだ。  それぞれについて検索してみると、  リスパダールOD錠  「不安、緊張などの症状を鎮め、精神の不安定な状

          うつ病の私が見ている世界 第12話

          うつ病の私が見ている世界 第11話

           深夜二時に目覚めてから、一睡もできずに夜が明けた。 「夜明けぜよ」のコメントとともにSNSをアップした。  と言っても、ここのところ深夜3時には目が覚めて、普通に生活しているので、それほど新鮮味はないのだが。  生活リズムが狂ったまま、それが日常になっていた。 🍎黒いフラワーロック、潜る影  これは幻視だ。  自分でもそれはちゃんと理解しているのだが、それでもクッキリと見えてしまう。  喫茶店の四隅には造花を活けた花瓶があって、そのうちの一つ、造花のガーベラをふんだんに

          うつ病の私が見ている世界 第11話

          うつ病の私が見ている世界 第10話

           〇〇心療内科の玄関で、はたと立ち止まった私に、 「大丈夫、次回またお話しすれば良いんですよ」  丸メガネの老女が言った。  はあ、と言葉少なに返事をして、私は重たいドアを開けた。  喫茶店で、造花のガーベラ装飾がフラワーロックに見えたとか、キッチンで壁に潜り込む影を見たとかを松永医師に話す前に、学習発表会の日に感じた「大勢の目が怖い」のは、一体なんだったのか知りたかったのに。  〇〇心療内科のドアは、入る時はオートだけれど、出る時は重いドアを押し開けなければならない。  

          うつ病の私が見ている世界 第10話

          うつ病の私が見ている世界 第9話

          🍎 人生の伴侶    喫茶店の常連に、長いこと夫が近くの病院に入院されている方がいる。 「今日もね、まだ死んでないの」  年上のご主人は90歳近く、がんを患っている。  もう、足掛け7年間の入院らしい。 「だからね、病院の日はここへ来て、そして包丁を研ぎに出してね、それから電気屋さん。そうして、またここに来るの」 「なんだよ、死んでないって」  カウンターでスポーツ新聞を読んでいた常連さんが茶々を入れた。 「死んでないから、死んでないのよ」 「ひええ、怖いね、俺が女房にそんな

          うつ病の私が見ている世界 第9話

          うつ病の私が見ている世界 第8話

           娘たちの声によく似た、でも少し大人びた声で「ママ!」と呼ばれることがある。  大抵、夜明け前、午前三時から四時の間だ。  念の為、娘たちそれぞれの寝顔を確認に行くが、皆、ぐっすり眠っている。  時々思う。  これは、昔の私が、今の私を呼ぶ声なのかも知れない。  私はそろそろ、自分の人生を再生させるに適した時期に差し掛かっている。 🍎 集団が怖い  エビリファイを服薬して三日。  飲むと眠くなる以外、取り立てて変わったことはない。  もちろん、フジリンゴ族が現れることはな

          うつ病の私が見ている世界 第8話