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うつ病の私が見ている世界 焦らないで 第18話

🍎少しづつ 少しづつ

 ランチタイムのヘルプは、主任の機転で別の方にチェンジしてもらった。
 昨夜は早い時間に寝てしまったので、早朝、LINEの画面でそれを知った。
「疲れている人に、無理はさせられないでしょ」
 シフト交代時、そう言ってもらえた。 
 職場にうつを話していて、良かった。

 E テレを観ながら、編み物。
 黒い服を着て、それに映えるラズベリー色のマフラー。
 この調子では、完成は来年の春になりそうだ。
 でも、焦らない。焦らない。
 暗いニュースが続いた一昨年あたりから、ほとんどテレビを見ていなかった。
 今日は、苔、滝、ボタン、ロケット、小右記の番組を見た。
 パートをしていて良かったと思う。
 短時間だけだけれど。

 昨日、突然、義父が訪ねてきた。
 夫がマンションのエントランスで対応して、私は会わなかったけれど。
 ふとスマートフォンを見ると、二時間前に義父からの着信。
 気がつかなくて良かった。
「仲直りしてくれよ」
 仲直り。
 どうしても、義父母には、うつ病は伝わらない。
「家族なんだからさ」
 世間体もあるのだろう。
 私のパート先に、義父母宅のご近所さんの常連さんもいるしなぁ。
 なんだか、私が我儘を言って拗ねているように見えるらしい。
 正直、今、義母に会えば倒れるだろう。
 今後、年単位で時間がかかるだろう。
 それが全く伝わらない。
 仕方ないのかも知れない。
 お互いを理解するなんて、宇宙で縄跳びをするようなものだ。
 買い物をすれば、美味しいものを食べれば、旅行をすれば。
 そんな単純に解決するはず、ないのに。
「義母に会えないだけで、義父には会える」と信じている義父を、夫が説得して帰ってもらった。
 気がつかなかった着信は、私が怒って無視していると言って聞かなかったらしい。
 今後、どうなるのだろう。
 根強く残る『嫁』の感覚。
 義母も、大喧嘩を繰り返しながら、義祖母を看取った。
 だから洋子さんも、喧嘩しながら、仲良くやろうよ。
「それでいつ、洋子さんは元気になるんだ。美味いものでも食いに行こうよ」
 義父母がいる間は、もう一生、治らないかもしれない。
 
 三時に、リスパダールを服用した。
 焦らない、焦らない。
 
 
 

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