うつ病の私が見ている世界 第15話
完璧な休息。
有意義に過ごさなくては。
そう思い込んで苦しい。
🍎自然の中で暮らしたい
多趣味を自負していた私に、何をしても楽しくない日が来るなんて。
一日三時間だけのパートを終えて、帰宅する。
子供たちが帰ってくるまでに、何か有意義に過ごさなくては!
そう思って苦しくなる。
最近、家事に熱量が入った。
終わりがあるから、決まった作業で動けるから。
でも家事を終えてしまったら?
私は何をすれば良い?
これまで喜び勇んで帰宅していたのに、今は一人の時間がこんなにも苦しい。
小説を読もうか。セーターを編もうか。
何かルールのある作業がしたい。していたい。
じゃあ、パートの時間を増やせばいい。
でも、三時間以上は働けない。体が動かない。
誰か助けて。夫にそばにいて欲しい。
どうしてこんなことになってしまったのだろう。
義母とは距離をとっている。
周囲がその環境を作り出してくれた。
喫茶店の常連さんの一人が、義母宅のご近所さんで、嫁との交流のない日々をそれはそれは楽しんでいる義母の話を耳にする。
このまま疎遠でいられたら。
それで解決するようなのに。
どうして私は、こんなにも、疲れているのだろう。
森の中で暮らしたい。
揺れる木々、季節に咲く花、おしゃべりなキノコ。
都会はもう疲れたよ、パトラッシュ。
私、犬苦手だけど。ねえ、パトラッシュ。
南魚沼に、外山康雄さんという、野の花を描く画家さんがいて、それは美しい絵を描く方だ。一度、小さな美術館へ行ったことがある。田園と山の稜線に囲まれた、理想郷にような土地だった。
でも冬は厳しいのだろう。旅行者だから憧れるのか。
疲れた。滝が見たい。森の中で暮らしたい。
もう都会は疲れたよ。
疲れたよ。
私はどこへ向かっているのだろう。
🍎喫茶店の話
今朝の喫茶店は、朝から来客が相次いで、今までで一番じゃないかなって思うほど忙しかった。ペアを組んだ学生さんが、さりげなくフォローしてくれて、私が動きやすいように配慮してくれたからことなきを得たけれど。
常連さんが、各々個別に、七人同時に来店するなんて、ドリフのオープニングみたいな迫力だった。それに加えて、新しいお客さんや、たまにふらりと現れる方、リモートワークの方、出社前に寄られる方で、モーニングの時間帯では初の満員になった。
「俺の注文はまだかー!」って怒る常連さんに、それを嗜める常連さん。
何十杯も珈琲を淹れ、何十枚もパンを焼く。
何個もオムレツを作って、ひよこにならずにオムレツになった卵たちに合掌した。
「今、作ってます〜」ってキッチンから声をかけたら、「俺も時間がないんだよ!」って怒ってた常連さん、私が仕事を終えて帰る時、片手をあげて「美味かったよ!」って声をかけてくれた。
時間がないって言ってたスポーツ新聞を読みながら、寝てたけど。
ずっと、仕事だけの毎日にはしたくないって思い続けてきたけれど、今は、パートに救われてる。主任の期限が悪い日もあるけれど、店長から無茶なリクエストがあったりするけれど。(『新しいポスターを作ってもらいたいんだけど、この写真のホットケーキ、二枚になってるのを一枚にして、バターを溶けた感じにしてくれない?」とか。やったけどさ)
以前に処方されたワイパックス、辛い時に頓服したらダメかなぁ。
薬が切れると、ろくなことを考えないんだ。
誰も見ないだろうけど、森の中で暮らす小説、書こうかな。
森の中で暮らしたい。
そして地元の子供たちに、あの人、魔女なんだってって噂されたい。
本当の森の中だと運転免許持ってないから、人里近くの森がいいな。
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