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2023年9月の記事一覧

帰路

帰路

分かってるよ
きっとわたし間違えてる
正しいみちを歩けるよ
行ったり来たり
閉じたり開いたり
黒目も指も震えてるの

いま思い返せばひどく若い
1m先も見えない視界
黄緑の受話機つなぐ世界
「傍から見て」とか考えられない

気を抜いたらこぼれてしまいそうだから
怪訝そうな顔させないように
斜め上を見上げて歩きながら
なんにも気にしてない笑顔つくって
遠回しに温度確かめた

分からないの
どうすべき

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風花

風花

見慣れた2階の景色
生まれた街も静かだった
意外とひとりは心地よく
新しい日々は目まぐるしく

人は声から忘れていく
晴天の光 青は美しく
澄み切った空気を緩める
まっさらなコート羽織る

吸い込むと尖る空気
冬を連れてきて
吐き出した白い吐息
見上げれば風花

冴え渡る季節きっと
今を見つめさせる
振り返らず掴む
天の上にあるもの

横たわるベッドの上
真っ白な毛布を引き寄せた
意外とひとりは重

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カケラ

カケラ

僕は今も憶えてるよ
毎日思い出すよ

空が綺麗とか
今日ひまだとか
元気ないとか
ふと伝えたくなるよ

会えるよって
言ってくれないかな
元気出しなって
笑ってくれないかな

伝えちゃった言葉
どんなだったっけ
訂正できないや

閉じ込めた言葉
何年も経つのに
成仏できないや

僕さ、ずっとわかってたよ
きっとうまくいかない

君が忘れたなら
ふたりぶんの思い出
持っていきたいけど
大事すぎたから

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love.

love.

妥協の産物
焦りは禁物
いったいこれは誰の命

「愛してる」と「間に合った」の狭間
「おめでとう」は「遅かったね」の上位互換
時代も先祖も血もあなたも悪くない

永遠の愛を誓いますか?
きっと信じ続ければ

私、あなたを愛せるかな?
だってほんとは分かってた

それは幼い頃の記憶
意味は教えられないもの
「私あなたがいたから頑張れた」
だから彼女を苦しめたって
一体いつ気づくかな?

「好きでいた

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豪雨

豪雨

旅に出るの
もう戻らないよ
私が帰っても
あなたも新しい街でしょう
二度とすれ違わない
今度こそ最後ね
運命の糸を切るわ

生きてるだけで可愛くて
計算高く 気にしいなこと
一体何人気づいてるかしら
用意周到 策士なんだから
今はふたりだけの世界よ

世界を断絶するのは
昔ほどうまくいかなくて
追われる時間にも慣れて
気まぐれみたいだけど
使える時間は全部費やして
ばかみたいにまたここにいるよ

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カラフル

カラフル

むかし おばあちゃんが
褒めてくれた落書き
折り込みチラシの裏
無限のスケッチブック

あのころ夢に見たのは
睡蓮の水面と
ムーランの木漏れ陽

いつのまにか目の前に広がる
並んだ数式とアルファベット
何にでも順位をつける世界
白黒の未来を口にしないで

今でも夢に見るのは
耳飾りの輝きと
白馬の静けさ

いつのまにか大人に近づく
白かったスケッチブック 汚れてる
何にでもなれちゃうこの世界
誰か

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season

season

口元が歪むのに
溢れてこないのは
昔からの癖

突き落とされて
耐えられないときだけ
抑えなくて済むから
もっと分かりやすく
揺さぶってくれればいい

あなたが握ってくれた手で
紫陽花に水をあげたりして
掴まれるような痛み
少しずつ染み込んで
感じなくなる

震える上まぶた
膜を貼る瞳
表面張力

嬉しいときも
無意味に誰かと比べて
頭が冴えてしまう
なぜか昔のこと
気になった夜もある

あなたが

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Don’t need anything

Don’t need anything

人の波のなか目が回る
得意のスマイルは0円
手が攣るほど
スクロールは永遠
その人生譲られても要らない

シャワー浴びて
濡れた地面をドライブ

同じことの繰り返しな訳ない日々
選んだ理由忘れず進む
心は死なせない

場所が変わっても
誰に囲まれても
あるもの与えられたもの
掴んだもので戦うそれだけ

やるべきことは
いつも変わらない
君はここにいて
濡れた頬も拭う

同じことの繰り返しな訳ない日

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プリンセス

プリンセス

Bluetoothオンにして
進むボタンを連打
気分じゃないメロディ
頭に突き刺さるビート
鼓動早くなる帰り道

背筋を伸ばして歩くけど
通り過ぎる人の顔
見ないようにしてるの
目が合ったのに逸したら
私が探してたみたいじゃない

ガラスの扉盗み見て
なんだか浮腫んでる
眉尻も消えかけた
影の薄い一般人ね

生温いアスファルトの上
家路に着くまでの間
それでも歩いていれば
すれ違えるかしら

ヒー

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Remnants

Remnants

手を離したのは私のほう

高い窓で揺れる緑
古い香りの 本のあいだ
ふわり 私を抱きとめた

肩に感じる重み
背中に回る腕
全部が幻になった

行かないで
もう手を伸ばしても
掴めない残像
指先が泳ぐ

俯きがちな瞳が
私を捉えたとき
大きく跳ねた鼓動
忘れてしまいたい

待つのは得意じゃないみたい
靄の向こうのあなたの心
無理に見ても意味ないでしょう

澄み切った青い空
星が降った夜
全部を伝え

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翡翠楽園物語

翡翠楽園物語

貧しく生まれた真面目な子
一度はいじめられたけれど
美しい顔をしてたので
素敵なひとに出逢いました

魔法使いが現れて
戦いを有利にしてくれて
そしてふたりは末長く
幸せに暮らしました
めでたしめでたし

御伽噺が終わる頃
主人公はうら若く
残りの60年ずっと
上手くいくことになっている

ねえ 
ふたりなら生きられると決めたの
友達が持ってる幸せを
何ひとつ手にできなくとも
この手 強く握る温も

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微熱幻影

微熱幻影

頭蓋骨のなか
細胞が揺れる
白い天井が回って
閉じた瞼の裏
靄の向こう
ざっと10年前

暑いし寒い
押し付ける鉛の船
受け止めるスプリング

無理だよって俯く
前髪の奥のこと
分かんないけどさ
知りたかったよ
また手を伸ばしかけ
引っ込めて包まる
浮かされてみるけどさ
醒めるはずだよ

差し出す手のひら
思い出し震えては
重い身体横たえる
閉じた瞼の裏
坂の途中
そっと忘れたい

暑いし寒い

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dawn

dawn

冷めたのよただ、これまでの
ダサいなにもない自分に
苦笑いで憐れまれる
そんな筋合いは無いわ

四角い窓の数だけ
今日も動く命
光と影を飼い慣らし
私も 生きている

いつだって
歩ける道はひとつだけ
私にも
綴れる物語があるから

飽きたのよただ、これまでの
空を切る手の感覚に
簡単に与えられる
栄光にも興味ないわ

四角い窓の数だけ
今日も続く命
光を諦めきれないで
私も 生きている

何だっ

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天秤

天秤

くたびれた布地に腰を下ろして
流しかけた視線の先
声を上げるちいさな身体
私の面影が見えたから

聞かれなければ話さないこと
目の前のことに必死で
乗り越えたような気でいた

それでも耳に残る響き
喉が枯れる感覚と
向けられた視線を思い出す

すがりつく脚は硬く
振り払う腕は強い
名前も知らないけれど
立ち上がって抱きしめたい

呼び起こされた記憶は
音楽で癒せるけれど
人混みの中あふれる涙
どう

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