翡翠楽園物語

貧しく生まれた真面目な子
一度はいじめられたけれど
美しい顔をしてたので
素敵なひとに出逢いました

魔法使いが現れて
戦いを有利にしてくれて
そしてふたりは末長く
幸せに暮らしました
めでたしめでたし

御伽噺が終わる頃
主人公はうら若く
残りの60年ずっと
上手くいくことになっている

ねえ　
ふたりなら生きられると決めたの
友達が持ってる幸せを
何ひとつ手にできなくとも
この手　強く握る温もりだけ
離れていかないと言ってよ

隣の庭　極彩色に目が眩んでも
たった一つの常緑樹
日陰になり　雨を避ける
あなたがいれば1年中
涙拭い　前向けるの

幸せに生きると決めてから
何度も挫けかけたけど
痛ましい言葉口にして
初めに聞くのはこの耳だった

ねえ
ひとりでも生きられるかもなんて
この私になって思うけど
朝も夜も波に揺られては
この手　強く握っていてくれた
離れていかないと言ったね

砂の庭　無彩色の夜が来ても
たった一つだけのオアシス
深く根を張り　受け止める
あなたがいれば一年中
幹にもたれ　立ち上がれる

音のない庭
どこまでもひとりで
ただ乾いた土を
あてもなく歩く時

たった一つの常緑樹
日陰になり　雨を避ける
光る水面のユートピア
翡翠の池　映し出して