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四国八十八ヶ所1150kmを走って、空海の頭の中を理解する。どう生きるかとは、人生を通じてどういった物語を描きたいか。


空海が1200年前に修行したとされる四国八十八ヶ所の巡礼の道、約1150kmをすべてランニングで走ってみました。

週末のたびに四国に行き約21日間かかりました。

巡礼には、スペインのサンティアゴ巡礼、ブラジルのカミーニョ・ダ・フェ巡礼など様々なものがありますが、巡礼に共通しているのは「動く事」と「信じる事」を結びつける行為なのだと言えるのでしょう。

僕が1150kmの四国八十八ヶ所を走ろうと思ったキッカケは、1200年間変わらない世の中の本質を突いた空海の教えを自分の身体と精神の中に染み込ませたいと思ったからです。

世の中では、様々な人たちが日々当たり前のように、「世の中の変化に対応するために、僕たちは変わり続けないといけない。」と言います。

しかし、アマゾン創業者のジェフ・ベゾスや世界的な著名投資家のウォーレン・バフェットは「変わりゆく世界の中で、決して変わることのないものに注目せよ」と言います。

↑巡礼とは「動く事」と「信じる事」を結びつける行為。

むしろ、今後、少なくても数十年は変わらないことを理解できてこそ、未来に確信が持てるのだと言える。

2025年から米国トランプ政権の中核に入ることが決まっているイーロン・マスクのベットの横には、常に弘法大師・空海が右手に握りしめていた密教法具「金剛杵」が置かれているのだと言います。

米国の情勢に詳しいジャーナリストの山口敬之さんは、イーロン・マスクのXの投稿から、彼は空海が中国の唐で学び、日本に広めた密教について深く勉強しているのだと言います。

そして、現在完全に腐敗している米国政府をトランプ・マスク政権が解体した後は、空海の密教的な価値観で世界を再構築していくのではないかと山口さんは述べている。

↑イーロン・マスクのベットの横

恐らく、イーロン・マスクほどの天才的な頭脳があれば、1150km走って、四国八十八ヶ所を回らなくても空海の考え方を理解できるのかもしれません。

しかし、頭で考えても理解できないのであれば、少し巡礼路を歩いてみることで、難しい考えの一部を理解できる可能性もあるのではないでしょうか。

身体を使って、精神と物質のきわどい分断線の上を進んでいく。

スペインのサンティアゴ巡礼や四国88箇所の巡礼などは、過去から語り継がれる物語を信じて、精神と物質のきわどい分断線の上を進んでいきます。

「運動」とは「運」を「動かす」と書きますが、歩いてどこかに行くという行為は「運を動かす行為」の一つではないかと思うのです。

四国八十八ヶ所の巡礼の道とは、弘法大師・空海が修行した88個の場所を訪れることで、自分の中にある88個の煩悩を消すことで、人格を鍛えるという物語。

結局、お金も、個性も、日常の行動パターンも、すべてしっかりとした人格の上に乗ってはじめて意味のあるものになっていく。

人格や精神面が不安定な状態で、お金や個性の部分だけをどれだけ極めても、長期的に人生を正しい方向に進めることはできないのでしょう。

↑自分の中にある88個の煩悩を消していく。

2025年の世界に生きる僕たちは、100年前に世界一の富豪であったジョン・ロックフェラーよりも裕福な生活をしているのだと言います。

確かにまるで執事のように、スマホをタップすれば欲しいものがすぐに届きますし、タップ一つで好きな音楽や映画を好きなだけ観ることができますし、アクセスできる医療のレベルも100年前とは比べものになりません。

だけど、物質的に豊かになったことが、そのまま幸福に繋がったかと言われれば、その部分は疑問ですし、むしろ、物質的な豊かさが精神的な貧しさに繋がっている可能性すらあります。

ブラジル人作家パウロ・コエーリョの「アルケミスト」という小説に、イスラム教のメッカに巡礼に行きたいけど、なかなか気持ちの決心がつかず、結局行けずじまいで、歳をとってしまった人の話が出てきます。

メッカに行こうと躊躇している間に、彼よりもお金がなく、体力も無い人達がメッカに行き、満足な顔で帰ってきますが、結局この人物はメッカに行く決心がつきませんでした。

恐らく、どういった人生を生きたいかというのは、どういった物語の中に生きたいかということなのでしょう。

他人やメディアがつくった流行の物語の中を生きたいのか、それとも、四国88箇所の巡礼のような過去から続く物語を身体を通じて味わい、精神と物質のきわどい分断線の上を進みながら、自分独自の物語をつくっていきたいのか。

↑どう生きるかとは、どういった物語をつくっていくか。

テクノロジーやリモートワークの普及によって、身体を動かす目的が失われたのであれば、これからは身体を動かす目的を自らつくっていかなくてはなりません。

身体を動かす目的が失われた時代に、身体を日常的に動かし続けられる人というのは、自ら身体を動かす目的を作り出せる人なのだと言えます。

マスメディアが力を持っていた時代、人々は映画やスポーツなどの他人が作り出す質の高いストーリーや作品に共感していました。

それに対し、SNSがインフラとなっている現代においては、他人の物語に共感するよりも、自分が体験したことを「自分の物語」として、発信する人に世の中の注目がシフトしつつある。

今回、四国の遍路道を1150km走りましたが、充実感は走った距離や消費したカロリーの部分にあるのではなく、生み出した物語の深さや周りに与える共感の大きさにあるのではないかと思います。

プロフィール
夏目 力(なつめ ちから)
通勤、移動は基本ランニング。月間300〜400km、年間4500km走る物書き。ダイエットではない「走る目的」を生成していきます。
RUNNGING VLOG
https://www.tiktok.com/@chikara_run
BLOG
https://lrandcom.com/articles




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