[15]アルジャーノンに花束を
えーと。YouTubeを見ていて、読まないと後悔する本の1冊として紹介されていたんですよね。
タイトルはもちろん知ってましたし、氷室京介さんの流れもあったりでね。
氷室京介さんの楽曲で[Dear algernon]という曲があるんですよね。良い曲なんですよね、これがまた。
BOØWYとして日本のロック史に残るボーカリストですよね。中学の時に[this BOØWY]というベストアルバムを死ぬほど聴いてました笑
以前少し触れてましたが、好きなバンドの影響で聴き漁ってましたら出会えたバンドです。
日本のロック史に多大な影響を与えた偉大なバンドBOØWYに関してはまた別の機会で。
今回は[アルジャーノンに花束を]を読んだ感想を書いていこうかと思います。
ダニエル・キイスによるSF小説ですね。
SF小説っていう括りなんですよね。
1959年に中編小説として発表されまして、1966年に長編小説として改作されて発表されてるとありますね。
非常に歴史のある作品で、日本でも実写ドラマ化もされていたりと作品タイトルは知ってたんですよね。
色々と読んでたんですけど、「アルジャーノン読みたいんだよねぇ」なんてボソボソと言ってたらたまたま職場の人が買ってきてくれてね笑
お金はちゃんと払いましたよ笑
もう15年以上付き合いのある美容師さんがいるんですけど、その方はめちゃくちゃ読書家でね。
良い作品だよって教えてくれて、それもあって読み進めてたんですよね。
んで〜やっと読み終わりました。
正直な話ね〜もう以上の作品には出会えないんじゃないかなーと思えるくらい素晴らしい作品なんですよ!!!
幸せだったり死生観だったり時間に対する考え方だったり、人生、家族、仕事、恋愛、友情、欲望とか。
あとは研究とか、知能や知性。人間についてとか。
最初は[知識を得る事は人類にとって、果たして本当に幸せなのだろうか]というのがテーマなのかな〜と印象を受けましたね。でも実際に読み終わると、あまりの作品の深さに感動しましたね。
脳に障害を持つチャーリーが術前、術後と経過報告という形で日記のように話が進んでいくんですよ。
最初はひらがなで書かれていて、話が進んで知能を手に入れると複雑な文を書けるようになるんですよね。
チャーリーが受けた手術はアルジャーノンというねずみさんが受けた手術と同じなんですよね。
アルジャーノンは物凄く頭のいいねずみさん。
研究という形なんですけど、一緒に過ごしていく中で仲良くなるんですよね、チャーリーとアルジャーノンは。
最初はアルジャーノンに勝ちたい気持ちでチャーリーは頑張って勉強してたけど、あっさりとアルジャーノンに勝てるようになるんですよね。
でも、チャーリーにとってアルジャーノンはずっと友達なんですよ。
脳に障害を持つチャーリーが「かしこくなってもっとみんなとなかよくなりたい 」という願い叶えた結果、待ち受けていたのは残酷な事が沢山あったんですよね。
チャーリーは只々みんなと仲良くなりたい気持ちだったんです。政治や宗教といった事について熱く語っている大人達の姿に憧れたんですよね。
でも、知識を得た事によって信じていた人が信じられなくなったり、過去に自分を大切にしてくれてた人達は実は違っていたという事に気付いちゃったんですよね。
気付かないとかわからない方が幸せだった事に沢山出会うんですよ。
願いを叶えたチャーリーはIQ180という天才になったんですよ、でも精神年齢は低いままで物凄くチグハグなんですよね。
知能はあるんですよ、知識もあるんですよ。
ただ、人に対する優しさだったりとかはわからないんですよね。
知能を得た代わりにチャーリーは人に対する気遣いや優しさがわからなくて孤独になるんですよ。
何も知らなかった時のチャーリーはいつもニコニコしていてみんなを笑顔にしていたんですよね。
そんなチャーリーに対して周りもニコニコしてたんですよね。
パン屋での仕事も真面目にやって、誰かの役に立ちたいって気持ちが強くて誰に対しても優しくてね。
みんなと仲良くなりたいと願い[頭を良くする手術]をした結果、周りの人達はチャーリーの事を怖がったり気味悪く思うんですよ。
それもしょうがないんですよね、チャーリーの知能が物凄いスピードで進化していって、まるで別人のようになるんですから。
読み書きとか計算とかちゃんと話す事が出来なかったのに急にそれらを出来るようになっちゃうんだよね。
その圧倒的な知識で自分のような障害を持つ若者達を救いたいと思うチャーリーは施設訪問したりと、優しい部分がないわけではないんですよね。
障害を持つ男の子が仕事中にお皿を割ってしまって周りの大人に笑われるシーンがあるんですけど、その時もチャーリーは声を上げて庇うんですよね。
チャーリーには分かるんですよ、両方の気持ちが。
その狭間てもがくチャーリーの姿がまた考えさせられるんですよね。
アリスさんっていうチャーリーのそばに居る女性がいるんですけど、その人がほんとに素敵なんですよ。手術をした博士や学者側の人なんですけど、人として様々な事に答えを求めるチャーリーに答えは自分で決める事を教えたり、人としての何たるかを伝えようとするんですよね。
知識だけでは人はくくれないという事をチャーリーに教えるんですよ。
そうなんだよなぁって。学術的な話でいうと明確な答えってあるんだけど、人の心とかそういう事って明確にはないんですよね。
こうすれば絶対に間違えないとかってなくて、十人十色でね。この人にはこうすればいいとか、この人にはこうとかってないんだよね。
1+1=2みたいのは人の気持ちとかにはなくて、それを説明したりとか答えみたいのってあってないようなもんだよなぁ。
だから人間って面白いんだよなぁって昔どっかで書いたな〜わたくし笑
あと、フェイという自由に生きる女性との出会いもチャーリーにとって大切だったんですよね。
アパートの隣に住んでいる芸術家の女性なんですけど、天真爛漫で明るい性格の彼女に惹かれるんですね。恋人という明確な関係性ではなくて、お互いがお互いの事を尊重し合って自由な関係性はなんか美しいなーって。
フェイが全然違う感性を持っている事でチャーリーは気付く事があるんですよね。
アルジャーノンが1人だと寂しいと思うから、お友達のねずみさんを連れてきた事でアルジャーノンの変化に気づいたり。お酒を呑んで酔っ払ったチャーリーが術前のような姿をしていたという事を伝えたりと、物語に置いてチャーリーに重要な事を伝える人物なんですよね。
チャーリーにとって愛とかそういうものよりも、もっと深いとこにいる人物だったなぁ。
話が進んでいくと、アルジャーノンの知能が低下していく事にチャーリーは気付くんですよ。
その姿を自分に重ねて、自分もいつか得たものを失ってしまう恐怖を覚えるんですね。
知能を得てからのチャーリーは本を読む事やレコードを聞く事や文字を書く事、学ぶ事が大好きだったんですよね。
かつては理解出来ていた言葉が分からなくなったり、好きな音楽が分からなくなったり。
知性が零れ落ちていくのが分かるんですよね。
知識が失われていく中でも、読書だけは続けていたんですよ。無くさないように、忘れないように新しい事を本を通して得ようとしたんですけど。
でも、物凄いスピードで得た事が同じかそれ以上のスピードで衰退していくんですね。
読んでもすぐに忘れてしまうし、くたびれてしまうようになるんですよね。
脳の衰退と共に運動機能も低下していくんですよ。
以前、働いていたパン屋さんで働かせて貰える事になったんだすけど、チャーリー自身の決断で最後は障害のある人達の暮らす施設に戻るんですよね。
チャーリーは全てが嫌になってしまって疲れたんです。もしかしたら再び知能を手に入れて、天才と呼ばれていた頃のようになれるかもしれなかったんですけど、チャーリーはそれさえもしたくなかったんですよ。
そして、最後の報告書の最後の一文で彼が伝えた事というのが、亡くなってしまったアルジャーノンのお墓にお花を添えて欲しいという言葉だったんですよね。
最初の頃のように、ひらがなで書かれていた報告書なんですよね。
漢字や難しい文字は書けなくなってしまって、分かるはずの事がわからなくなっていく中でチャーリーが最後に伝えた言葉は誰かに対する怒りや自分が得たものが零れ落ちる悲しさじゃなく、悔しさのようなネガティブな気持ちじゃなくて。
本当は辛くてしょうがなかったと思うんですよ。
大好きだった事が出来なくなる事、楽しかった事がなぜ楽しかったのかがわからなくなる事。
目の前に存在してるものは確かにチャーリー自身が手に入れたものなんですよね。
でも、何故それが好きなのかや楽しいという気持ちになったことさえも忘れていく事って辛いし悲しいし悔しいはずなんですよ。
でも、世界でただ1人1番自分の気持ちが分かってくれる友達のアルジャーノンというねずみさんに対する思いで報告書は終わるんですよね。
読んでいて思うのが、僕もそうなんですけど、人間みんなチャーリーなんだよなぁって。
僕らが何年もかけて思う感情をチャーリーは短い時間でジェットコースターのように過ごすだけで、僕らとチャーリーは何も変わらない同じなんだよなぁって。子供の頃は沢山の知らない世界があって、それを知って大人になって、色んな事を吸収して、そして最終的には少しづつ色んな事を忘れていくっていうね。僕らとチャーリーが違うのは何十年かけて過ごすのかというのと、数ヶ月かけて過ごすのかの違いしかないんですよね。
僕はチャーリーはちゃんと生きたんだと思う。
短い時間かもしれないけど、誰よりも精一杯に生きたんだと思う。ただ、駆け足だっただけ。
僕は何不自由なく生きている。
チャーリーはもっと本を読みたかったし、文字を書きたかったんだと思う。それにもっと色んな芸術に触れていたかったんだと思う。
僕はまだ生きてる。
生きてるって事は何かする事なんだと思う。
だから、もっと生きたいな。
生きなきゃいけないんだよな。
チャーリーのように精一杯生きる人生は最高にかっこいいと思う。
チャーリーのような生き方を出来る自分になりたいと思う。
読んでいて思うのが、正直な話ね。
かなり辛いんですよね。
まぁ〜読書歴浅いわたくしはまだまだ沢山の本に触れてはいないんですけど。
もうこの本以上の出会いはないんじゃないかなと思えるくらい感動したんですよ。
なんでもっと早くにこの本に出会えなかったのかなと。まぁ〜本を読み始めてまだまだ3ヶ月くらいなので、これから[アルジャーノンに花束を]と同じくらい好きになれる本に出会えるように本を読んでいきたいですね。
そして、書く事も忘れないようにしないとな。