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ふわしゅわお嬢様はご執心 1
青い空の下
純白のウェディングドレスを纏った私と。黒いタキシードを着た彼
その姿を想像して、6歳くらいの時に言ったのを覚えている
あの頃の私は、何か大事なものを無くしたことなんて勿論なかったし
何より、あの時のような状態がずっと続くものだと思っていた
けれど…
和:どうしたの桜、いつにもなくぼーっとして
桜:ん?あ…いや何でもない
物思いに耽っていると、高校からできた友達に注意され
ふわしゅわお嬢様はご執心 2
友達とイオンで学年末テストの勉強をしていたその日
私がぶつかってしまった人は、少し変わっていて
でも、優しくて
私を友達のところまで送り届けてくれた
その時、彼の友達が読んでいた
《◯◯》という名前
きっとぶつかった彼のことを言っているのだと思う
《◯◯》という名前は、そんなありふれた名前じゃない
だから、私は少し胸が痛むと言うか疼く感覚に襲われた
もしかしたら、10年くらい前に
ふわしゅわお嬢様はご執心 3
学年末テスト目前に、私は10年くらい会えていなかった◯◯ちゃんと再会を果たした
◯◯ちゃんと一緒にいたことは昔のことなんだけど、忘れることなんて全くできなくて
ずっと…、ずっと……待ち望んでいた再会だったから高校合格したときの何倍も嬉しかった
美:へぇ…あの彼は桜の許嫁なわけだ
桜:そうなの!
再会できてよかったぁ
テスト返しの行われている中、斜め後ろの美空と◯◯ちゃんについて話してい
ふわしゅわお嬢様はご執心 4
学年末テストを終えて、肩にのしかかっていた重いものも下りたことで
晴れやかな気持ちで、私は◯◯ちゃんに会えた
それなりに恥ずかしさとか不安な気持ちもあったけど、◯◯ちゃんが全然中身は変わってなかったからすごく安心できた
和:まずい…まだちょっと喉枯れてるかも
美:だから言ったのに
そんなに歌って大丈夫なのって
あの日から数日経った
私が◯◯ちゃんと会った翌日のカラオケで、和は学年末テ
ふわしゅわお嬢様はご執心 5
◯◯ちゃんとの初デートの日から約5日
私は◯◯ちゃんに、明日お花見しに行かない?ってLINEをした
◯◯ちゃんパパはお花の仕事してて、そういうことがあってか◯◯ちゃんも小さい頃からお花が好きだった
桜:絶対喜んでくれる、はず!
私は部屋で一人、思っていたことを口に出す
言葉にするとそのことが叶う可能性が高くなる、ってよく言うけれど
私もその経験があって、そういう体験をしてから私はできる
ふわしゅわお嬢様はご執心 6
桜:乾杯〜!
◯◯ちゃんたちと合流して、一通りご挨拶が済んだので
私の声でみんな手に持っていたコップで乾杯した
本当は◯◯ちゃんと2人きりでお花見するつもりだったけど
まあ、結果オーライかなと思った
和:で、何話すの
みんなが飲み物を口にしたあと、すぐに沈黙が来て
和がそれを破るように言った
美:じゃあ、とりあえず
許嫁になった理由話すっていうのはどう?
秀:それはとても気にな
ふわしゅわお嬢様はご執心 7
お花見の日から約一週間が経った
私たちの学校では、入学式が桜吹雪の中で行われた
正直、私は眠かったから時々コクッコクッとしてたみたいだけど…
和:桜、あんな明らかに首で船を漕いでたら先生に怒られちゃうよ?
桜:そう?
あんまり覚えてないんだよね
式が終わり、私は和に注意されながら教室に戻っていた
先生に結構睨まれていたらしい…
和:全くもう…
そういうところだよ
桜:ん?何が?
ふわしゅわお嬢様はご執心 8
桜ちゃんと二度目のカフェでの会合を終えて、家に帰ってきてふと思い出した
◯:そういえば、桜ちゃんの誕生日って僕の1週間弱前だったような…
…って、もうすぐじゃん!
ふとそう思った僕は他のことを思い立った
誕生日ということは…
◯:プレゼントねだられるだろうな…
いや、そもそも用意してなかったから機嫌悪くなりそう…
僕はもう少し前に気がつけていれば…
そう後悔した
リサーチも何もし
ふわしゅわお嬢様はご執心 9
二年生に進級してほんの少し経った、四月の中旬
僕は桜ちゃんのプレゼントを早めに用意しておかなきゃと焦り出していた
なにせ、十年ぶりの再会で好みもなんと開くしかわからないあやふやな状況で
一応お友達である井上さん、一ノ瀬さんに相談はしてみたものの、まだ何にするかを決めきれない薄志弱行な僕
そんな悩みが気づかずに生活にも出ていたのか
咲:どしたの◯◯、最近浮かない顔してるけど
普段はあまり