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ふわしゅわお嬢様はご執心 7

お花見の日から約一週間が経った

私たちの学校では、入学式が桜吹雪の中で行われた


正直、私は眠かったから時々コクッコクッとしてたみたいだけど…



和:桜、あんな明らかに首で船を漕いでたら先生に怒られちゃうよ?

桜:そう?
 あんまり覚えてないんだよね


式が終わり、私は和に注意されながら教室に戻っていた

先生に結構睨まれていたらしい…


和:全くもう…
 そういうところだよ

桜:ん?何が?

和:…まあ、いいや
 それにしても、さくら先輩綺麗だったな… 


和は、また何かを私に言おうとしたみたいだけど諦めたみたいで

さくらさんのことに話題を移した


美:ほぉんと、和はさくらさん好きだね


後ろから美空が和の肩をポンと叩くようにしてから言った


和:あったりまえでしょ!?
 あの可憐さ、声の可愛さ…
 もうっ…ほんとにかわいい

桜:なんか、和がオタクみたいになってる


私は面白くて和を見て笑った

だって、いつもはしっかり者を装ってる和がこのときばかりはすごく変なんだもん


和:あ、桜いま私のことバカにしたでしょ

桜:え?してないよ?

和:いや、絶対した…

美:え、何オタクって言われるの嫌なの…?


和の睨む目つきが鋭くて、美空も私もちょっと怖くなった


和:…嫌じゃないけど
 馬鹿にされてる気がした…

美:あ〜、ごめんね〜和〜


和のことを美空は励ますというか、さらにバカにするように頭を無造作に撫でている


こんな日常に、私はプラスαのものが手に入ってとても幸せな気分


和:やめろぉ…

美:えへへ、和の髪さらさら〜

桜:もう、二人ともそんなふざけてると先生に怒られちゃうよ?

和:うぅ…桜に言われるなんて屈辱…

桜:え、ひどい…


このあと、しっかり三人で先生に怒られました




桜ちゃんたちとお花見してから少し経って、新入生が入ってきた

僕は、現生徒副会長の一応親友ということで式典で喋る彼女のことを心配しながら見ていた


いつもはドジったりするタイプの人間だけど、今日は何も起こらず式の進行をしていて一安心だ



秀:なんとか終わったっぽいな


式が終わり、体育館の扉の横で生徒副会長の彼女を待っていると

友人が僕の元へやってきた


◯:あぁ…全くヒヤヒヤしたよ…
 噛まないかなとか思ったり

秀:まあ、来期の生徒会長を目指すんだからしっかりしてもらわないとね

◯:だな…


そんな風に話していると、新入生たちの座っていたパイプ椅子を片付け終わって

彼女がこっちに歩いてきているのが見えた


◯:お疲れ様

秀:今日は、成功したね
 今日は


僕らがおちょくるように言うと

少しムスッとして

咲:むぅ…
 そうやってバカにしてぇ

◯:ほら、言われてるぞ?

秀:いやいや、そもそもは◯◯が言ったんだろ?
 ヒヤヒヤしたって

◯:…そうだったけなぁ〜?

秀:おい…


咲月は友人から僕へと疑いの目を移す

僕は口笛を吹いてそれを躱す


咲:まあ?◯◯とは長い付き合いだから許してあげようではないか

◯:うぇ〜い

秀:酷くないか!?
 僕は?

咲:謝ってくれなきゃ、今度学食のカレー特盛奢ってもらおっかな

秀:うぅ…
 すみませんでした


友人が頭を下げるのを、腕を組んで咲月が眺めている

大体15秒くらい友人が頭を下げ続け…


咲:よろしい!

秀:ふぅ…

◯:いやはや、全く
 いい景色が見えた

秀:…許されたからと言って、偉そうに

咲:◯◯はいいんだよ
 ◯◯は、次の生徒会で私の為に書紀になってくれるんだから


咲月は僕と友人より先に教室へと足を進めながらそう言った


◯:いや、それはないかな

咲:うぇっ!?
 え、入学した時言ってたじゃん…

◯:ちょっと気が変わったんだよ

秀:お疲れ様、菅原さん?


仕返しとばかりに友人は咲月を煽りながら肩に手を置く


咲:◯◯っ!
 絶対生徒会に入ってよ!

◯:え〜…中学の時に辛いの知っちゃったからな…

咲:その時の経験がある◯◯が必要なの!

◯:…まあ、咲月の知り合いが生徒会にいた方がいいのかな…?

秀:…甘いな、菅原さんに◯◯は


つい咲月のことになると甘くなってしまう僕に友人は毒を吐いた


◯:まあ、咲月には昔から助けてもらってるからね

秀:だからって…

咲:持ちつ持たれつでずっとやってきたからね〜


僕は桜ちゃんのことが頭にありながら

咲月に対して甘くなる自分に少し罪悪感を覚えた


◯:…あ、そういや
 今日は一緒に帰れないや

秀:ん?どうしてだい?


僕はあることを思い出して、友人に言った


◯:お呼び出しだから

秀:あ〜、そういうあれか…
 今のことバラしちゃおうかな〜

◯:そんなことしたら、中学の時の修学旅行でトイレに…

秀:わかった!言わないから…それだけは辞めてくれ


悪い顔をした友人に僕は彼の恥ずかしいことを言うと宣言し彼の陰謀を阻止した


咲:お呼び出し…って?
 え、なに?だれ?

◯:ん?まあちょっとね…
 ほら、成績が下降気味だから

咲:あ〜、◯◯ママにってこと?
 しっかりしてよ〜?


咲月には上手いことごまかすことに成功したらしい





桜:あ、◯◯ちゃん!


僕が友人と別れて、この前桜ちゃんとお茶をした喫茶店に入った

すると、前と同じ席に桜ちゃんが座っていた


◯:待たせちゃった?

桜:ううん、全然!
 あ、でも先にドリンク頼んじゃった

◯:そっか、じゃあ僕はジンジャーエール頼もうかな
 すみませ〜ん


桜ちゃんは、いつもの通りニコニコしていて

僕はやっぱり安心感を覚える


◯:そういえば、ずっと思ってたんだけどさ

桜:ん?

◯:桜ちゃんのお母さんとかに会ってないなって
 ほら、昔から会うのはおばぁちゃんおじぃちゃんだったじゃない


そう、僕は昔から桜ちゃんとその祖父母には会っていても、ご両親には会っていない

確か、うちの母が言うにはCAさんだと聞いている


桜:あ〜、確かにそうかも
 多分、ほんとちっちゃい時なんだよね

◯:だよね、記憶に全く無くて

桜:ん〜、じゃあ一回会ってみる?

桜ちゃんはそう言って僕の目を、上目遣いでくりくりな瞳で見つめてきた

その可愛い表情に、僕は言葉を失った…


◯:へ?あ、会う?


やっと出てきた言葉は、とても弱々しい言葉だった


桜:うん!
 ほら、いずれはそういう挨拶とかしに行くわけだしさ、予行というか顔合わせというか?


中々にすごいことをケロッと言いのけてしまう桜ちゃんに、僕は驚きつつも

確かに、一回会うのもいいよなと思った


◯:じゃあ、そうしようかな
 いつ空いてるかな、お母さん

桜:ん〜…それはまたフライトから帰ってこないとわからないかな

◯:まあ、それはそうか


僕はやってきたジンジャーエールを飲んで言う

すると、桜ちゃんは目をとても輝かせて


桜:じゃあ、予定決まる前にデートしよ!
 この前は服選んでもらったけど、他のデートもしてみたいな

◯:あ〜…それじゃあ…そうだな
 僕の誕生日の翌日に地元のお祭あるから、そこ行ってみる?

桜:え〜、それ2週間も後じゃん
 もっと近々に!

◯:…わかった、じっくり考えとくよ
 まとまったら連絡するね


僕がそう言うと、桜ちゃんは嫌な顔せずオッケーと言ってくれた

…なんだか、こういうところが僕を安心させてくれるのかもしれない

昔から人の顔を伺って生きてきたから


桜:えへへ、こうやって事あるごとに集まりたいよね
 他の人無しでさ

◯:そうだね

桜:んふふ、とりあえずデート楽しみ〜


外が暗くなるまで、桜ちゃんと最近の趣味の話とか

くだらない話をして、駅まで送る


桜:じゃ、また明日!

◯:え、明日も集まる?

桜:…なんとなく?


ニコッといたずらに笑った桜ちゃんに僕は笑って

じゃあ、また明日ね

そう言って分かれた


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