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【子の読書】本が読めると人生の「楽しみ」「思考の選択肢」が倍増して絶望しづらくなるから、幸せを願って君に読書を教えた

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本屋にふらりと立ち寄って
ぶらり歩いて手にした本は
表紙・手ざわり・においと共に
いまもむかしも根を張り心(ここ)に
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本は楽しい一生の友達で、恩人


 私は本が大好きです。
 大好きですし、それと同時に、たくさんの本に助けられて生きてきました。
 
 もしも本という存在を擬人化するならば、本は私にとって、ワクワクドキドキを一緒に体験できる遊び仲間であり、想像以上の体験をさせてくれるエンターテイナーであり、辛い時そばにいてくれるソウルメイトであり、新しい知識をくれる先生であり、生きるための具体的なアドバイスをくれる恩人・賢人でもあります。

 だから、もし本がなかったら今日まで無事に(?)生きてくることさえできなかったのでは・・・と日々思っています。十代の頃から、身近な大人がしてくれないような助言や考え方を、時に本は授けてくれました。ありがとうございます。

 そんなわけで、子育ての話ですが、かれこれ13年前、初めて授かった我が子を前に私は思いました。

 ――私の大好きな「本」「読書」を、あなたにもいつか教えるね! だって本のある人生はすごく楽いし、いろんな考え方を教えてくれて、きっとあなたを助けてくれるから。

 返事はまだまだ「おぎゃあぁぁ」でしたが、私はただただ、自分が楽しいと思うことを伝えたかったのです。

 ところが長女が3歳くらいになり、新聞や育児情報などのメディアに触れる時間が増えると、私はあらためて世の中が急速にデジタル化していることに気づきました。

 幼児がスマホや動画を見すぎて困る? ゲーム中毒になる子ども達? 読解力不足が深刻、子どもにもっと読書を。どうしたら子どもは本好きになるのか?

 ――あら、思ってた以上にそういう時代になってきているのね・・・というか、自分がそのさなかにいる、ということがわかりました。

 はて、大人のデジタル利用は不可欠としても、まっさらな状態の子どもにはどう向き合うのがいいんだろう?

 情報が多すぎて何が正解かわからない時代。親だからといって子育てに確固たる信念を持つのは難しい。けれど、読書だけは贈ろうと考えました。

まっさらな君に何を伝えよう

時短の時代こそ「何に時間をかけて育つか」が大事かと

  
 私自身は、自己流ではありますが、こうすれば子どもは本好きになる(なりやすい)だろう・・・というイメージはありました。

 それは、とてもシンプルですが子ども自身が「本を読んだら面白かった」という体験をすること。

 そして、読みたいと思ったらいつでも「手を伸ばせば届く場所に、ある程度の冊数」があること。さらに自分で選ぶ、ということも大事だと思いました。本に限らず「自分で選んだら面白かった」ものは、大人でも子どもでも価値が大きいからです。

 また、もうひとつ「これはやろう」と決めていたことがあります。
 それは、ゲームや動画など、デジタルによる娯楽にどっぷり漬かる前に、「本を読んだら面白かった!」という実感を重ねること。順番が大事で、先に読書の土台をつくるのです(そのために、親も子どもの前で必要な時以外スマホをいじるのをやめました)。

 体験を繰り返せば体で覚えるんじゃないかと。

 そしてこうも思いました。何でも時短、時短と言われる時代だからこそ、「何に時間をかけて育ったか」が、その子の人生の土台になるかもしれない。だから「本」に少しでも時間をかけてあげようと。何しろ、子ども自身には時間がたっぷりあるのです(もちろん大人は忙しいですが、時間がある時に本を一緒に選んであげたり、読書を気にかけてあげるだけでも違ってきます)。

自転車のように「読書」を体で覚える


 デジタルを否定するわけではなく、いずれは楽しむ予定でした(今は子ども達も動画やゲームを楽しんでいます)。

 すでに本好きな人間がゲームや動画視聴の面白さを知っても本好きの引き出しはなくならない、というのが私の持論。というのも、私自身がそうだったからです(20代の頃いちど謎解き系のRPGに夜な夜なハマって体調を崩したので、読書のほうが体に合うと戻りました・・・)。

 子ども時代に体で覚えたものは大人になっても忘れない(精度は落ちても)」と、少なからず思います。

 自転車がわかりやすい例ですが、一度体で覚えると「数年ぶりなので乗れない」という話ってほぼ聞きませんよね(違う人がいたらごめんなさい)。

 子ども時代に楽器を習うと大人になっても楽譜が読めたり、球技の経験があれば大人になってもボールに体が反応する・・・そういうことってあると思います(私自身25年ぶりにスキー場に行っても大丈夫でした ←おすすめはしません・笑)。

 読書は体ではなく頭を使うものじゃない? と思う方もいるかもしれません。もちろんそうです。でも、子どもにとって「文章メインの本」を、1時間でも集中して「読む」ことは、体全体の行為に思えます。


だから君に読書を体験として教えたい

 それは、脳も体の一部だから・・・という意味もありますが、加えて自分にとって面白い物語を読んだ後の「うわぁ面白かった!」は、時に爆発的で、時にしみじみとしていて、体全体に広がるもの。これは、本好きな方なら共感してくださるのではないでしょうか。私はこの感覚を、子ども時代にぜひ味わってもらいたい。素晴らしい体験だから。

 そんなわけで「先に読書、デジタルは後でいい」という考えのもと、私は長女が「平仮名をざっくり読めるようになった」5歳頃から、一緒に図書館や書店通いを始めて、「家に常に本がたくさんある」状態を保つようにしました。
 そして絵本から(文章メインの)児童書にさりげなく移行していったのです(具体的な方法は過去記事にもありますが、また改めて書きます)。

本好きな子が未来の本屋のお客さん

 
 子どもの本選びで大切にしたのは、「楽しみながら親子で一緒に選ぶ」こと。あれはどう? これはどう? と話しながら、好みを探ったり、お試しで選んだりするのです。結果として読まなくてもいいから、まず一度手元に置いてみる。

 我が子の「好きな本のジャンル・傾向」を知る本選びの具体的なコツもあるのですが、それもまた改めて書くとして・・・。

 なかでも力を入れたのは「好みの物語を一緒に探す」ことでした。物語は、「次にどうなるか知りたい!」がページをめくる動機になり、それが知らず知らずのうちに読書力(読書の筋肉)を鍛えてくれるから。

 こういう経験を積んでいくと、そのうちに子どもは自分に合う本の肌感覚をつかんでいき、だんだんと書店や図書館の本棚から読みたい本を自分で選ぶことができるようになります(もちろん、失敗もしながら)。
 そして大きな本棚の前に連れて行くと「好きなの選んでいいの⁉」と喜ぶようになるんですね(うちはそうでした)。

自分で選ぶ習慣がつくと子どもは本屋が好きになる

 
 ――すると10年後、もしかしたらこの子達が書店を頻繁に利用するお客さんになるのではないでしょうか?

 子どもを本好きに育てること・・・それが未来の書店のために今できることだと、私は考えています。家庭単位ではささやか過ぎますが、それでも、です。

 
 話を「物語」に戻して、特に子ども向けの物語は、突き詰めると「問題を解決する」「困難を乗り越える」テ-マが多く書かれていますよね(物語の基本構造なので)。

 困難の種類や深刻度はさまざまですが、30ページなら30ページなり、100ページなら100ページなりに登場人物達が「何を考えて、どう行動したか」が描かれます。
 そうした物語を繰り返し読むことによって、考え方の選択肢や行動のアイディア、起こり得る困難への想像力――が少しずつ、心に積み重なっていくのではないでしょうか。今風に言うと、レジリエンス(乗り越える力)と言うのかもしれませんね。

 そしてまた、読書という選択肢を覚えると「退屈」が遠ざかります(面白い本があり過ぎて一生かかっても読み切れないと気づくので)。退屈しない、というのは朗らかに生きるうえでなかなか侮ることのできない要素だと思うのです。

 ――だからこれは、私の個人的な子育ての目標でした。本の読める、退屈しない(しづらい)人生。
 読書を教えることはそのまま愛を贈ることだったのです。

 ところが・・・。

確かに学力に関係はするかもしれない


 長女が小学生になり、新聞やさまざまな書籍、インターネットの情報に触れるうちに、「子どもの読解力低下」「読書離れ」「書店の閉店」が社会問題のようになっていることをますます実感します。

 さらに、子育てを通した何気ない会話から少なくない数のママさんやパパさん達が、「子どもに本好きになってほしい!」と願っていることもわかりました。

 読書は読解力、語彙力、想像力、文章力、集中力、非認知能力や自己肯定感を高め、そして学力にも繋がる・・・。

 --確かに、そうなのかもしれない。

 実際、子どもが持ち帰る小中学校のリアルなテスト問題を見ていると、理系の科目にも文章問題や記述問題が多く、「文章をしっかり読んで理解する」ことができないと、なかなか難しいのです。

 これでは、教科としての国語を勉強するだけでは足りない子もいるでしょう。だからこそ「物語」「本1冊」を「読み切る」ことの繰り返しが、読解力や文章力を自然に高めることにつながる――と思うのです。

 子どもにたくさん本を読んでほしいなぁ。
 
 そんなわけでここ数年は、自分の子だけでなく、たくさんの子ども達に対してそう願うようになりました。

「文章読んで考える力」は一生もの


 ですが、「賢くなるから」「読解力が身に付くから」読んでね、とはあまり言いたくありません。もちろんそれもよいのですが、ちょっとだけ違和感を覚えます。なぜかと言うと、頭がいい(テストの点数が高い)イコ-ル幸せ、ではないからです。

 個人的にはこう伝えたいと思っています。自分の子どもにはこう伝えています。

 学力以前に、本が読めると人生の「楽しみ」「思考の選択肢」が倍増して絶望しづらくなるから、幸せを願って君に読書を教えたいーーと。

 何か困った時に、あっそういえば、とひらめくものがあるかもしれません。
 あの主人公は、こんな時こうしていた。あの場面が、あのラストに繋がっていた。憧れのあの人は、こう言っていた・・・。あんな風になれたらなぁ・・・という、生きる力

いつも家にある、身近である、ということが大事


 文章を読んで考える力、想像する力は一生もの。大人として、生きる力、喜びとしての読書を伝えられたらとても嬉しい。だって、親は子どもの人生に何十年も関われませんから・・・。

 これからもこんな気持ちで、「子どもの読書」について書いていきたいと思います。

 「読んでみたい」という気持ちが少しでもあるなら、子どもの読書を応援したい。
 あなたが好きそうな本は、必ずあるよ・・・と。
 何よりも心の豊かさを願います(もちろん学力も大事ですけどね)。

 
 ――あ、これも付け加えておきます。

 子どもが本好きになる過程では、「紙の本」が最重要(電子書籍は子どもにとって副次的な利用がベストかと)。

 子どもは、そこにあるから手に取ります

 
 最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

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子どもが本を身近に感じ
手に取り読んでワクワクもらう
それにはやっぱり紙の本
一緒にだって眠れるよ
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絵本から児童書、一般書への移行も自然な形で可能です。それはいずれまた・・・


※子どもと読書の話は過去記事の内容と被る部分も多いのですが、いろいろ考えて新しい仕様でまた少しずつ書き始めます(順番をつけずに好きな記事から読めるようにしようかと)。興味をもって頂けたら嬉しいです。

学力というより語彙力の高さは心の安定につながるかもしれませんね


・一緒に本選びをするうち、子どもの個性と好みが理解できて子育ての不安が軽くなった話↓↓↓

・読解力以前に「文章のかたまり」に慣れること、「とりあえず読み切る」スキルの効用について書いています↓↓↓


・中1長女がスマホを持ったことで、改めて「読書の土台」の重要さに気付かされた話↓↓↓


・小3次女がハリー・ポッターをどうしても読めなかった本当の理由に驚いた話↓↓↓

・自己紹介です↓↓↓


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