相談技法のスタンダード。円滑なコミュニケーションツールとしても使える。『フラッと、ふわっと、ロジャースのクライエント中心療法』
『フラッと、ふわっと、ロジャースのクライエント中心療法』
1. 自己概念と有機的体験
クライエント中心療法は、カウンセリングスタイルや相談技法のスタンダードともいえる、現象学的自己理論に基づく心理療法です。
自分自身が思っている自分像のことを「自己概念」といい、実際の出来事に対する主観的現実のことを「有機的体験」といいます。
例えば、私は怖がりであると自分で思っていれば、これが「自己概念」となり、そして実際にお化け屋敷にいって恐がっている自分を主観的に感じれば、これが「有機的体験」となります。
自己概念=有機的体験となっていれば、不適応状態にはなりにくいのですが、例えば「自己概念」が強者の自分なのに、実際に何かに脅えてしまったという「有機的体験」があると不適応状態になりやすいということになります。
そこで、本当の体験にもとづいた自己概念を作り上げ、有機的体験と自己概念の不一致(自己不一致)から、自己一致状態にもっていくという方法がクライエント中心療法です。
そのため、セラピスト(治療者)は、クライエントをそのまま受入れ、共感し、クライエントが語ることを要約したり、
背後に流れる感情を明確にし、クライアントが自分を客観的に見ることができるようにし、
ありのままの自分が何を感じて、何を考えているのかを受け止めてもらい、
自己概念を修正してもらうというセラピーを行なうのですが、現在のカウンセリングはこれを基礎としたものが主になっているものと思われます。
2. 共感的理解の理論的側面
なぜ、共感あるいは共感的理解をすることが必要なのかということですが、その理論的側面は以下のようになります。
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