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読書日記

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読書日記#5 ホリー・ジャクソン『自由研究には向かない殺人』

ちょっと衝撃的な面白さだったので。

今回はホリー・ジャクソン『自由研究には向かない殺人』(創元推理文庫)。

グラマースクールの生徒ピップは、自由研究のテーマで、5年前に起きた失踪事件を調べ直そうと考える。その事件は、17歳のアンディが失踪し、付き合っていたサルが警察に嘘の証言をしたことがわかった上、森で自殺したことから、アンディは何者かに殺され、その何者かとはサルだと見なされたのだった。アンデ

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読書日記#4 京極夏彦『姑獲鳥の夏』

しばらくぶりの読書日記。本は毎日何かしら読んでいるのだけれど、時間的・精神的余裕がなかったので。下書きにはいくつかあるのだけれど、一番最近読了したのが面白すぎて一気に書きたい。

今日は京極夏彦『姑獲鳥の夏』(講談社文庫)。

本作は中学の頃に初めて読んで、久しぶりの再読。新鮮に面白かったし、中学の頃より細かく読めた。

あらすじ鬱病の気があり赤面症多汗症失語症を持つ文士・関口巽は、古本屋にして神

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読書日記#3 秦正樹『陰謀論:民主主義を揺るがすメカニズム』

今日は秦正樹『陰謀論:民主主義を揺るがすメカニズム』(中公新書、2022年)。

著者自身が、かつてネット右翼、いわゆる「ネトウヨ」だったという異色の経歴。しかし、それは本当に「異色」なのか? 誰でも、いつでも、どこからでも、陰謀論にハマる可能性があるのではないか? それが、本書が提示する危惧である。

本書のアプローチは、どのような陰謀論を、どのような人が、何を通して信じてしまうのかといった問題

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読書日記#2 國方栄二『哲人たちの人生談義:ストア哲学を読む』

今日は國方栄二『哲人たちの人生談義:ストア哲学を読む』(岩波新書、2022年)。

ゼノンが創始し、ローマ時代にはネロ帝の教育係だったセネカ、奴隷の身分から身を起こしたエピクテトス、哲人皇帝ことマルクス・アウレリウスなどが活躍するなど、古代を通して栄えた学派である「ストア派」。本書ではそのストア派の思想を人生論という観点から辿る。

本書で紹介されるストア派の人生論は、よく生きるにはどうするか、自

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読書日記#1 隠岐さや香『文系と理系はなぜ分かれたのか』

「読書日記」です。直近で読んだ、面白かった本について書きます。書評でも、読書感想文でも、要約でもありません。強いて言うならエッセイみたいなものですが、「エッセイ」はなんだか小っ恥ずかしいので、「読書日記」。

昨日の日記にも書いたけれど、急に新書を浴びたくなったので、大学の図書館で新書を借りました。そのうちの1冊。隠岐さや香『文系と理系はなぜ分かれたのか』(星海社新書、2018年)です。

本書の

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