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一万編計画

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一万編の掌編小説(ショートショート)を残していきます。毎日一編ずつ。
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2023年1月の記事一覧

霊癖。

生き霊になってしまう悪い癖を直すことができない。もう来月には三十歳になるのに、俺は未だに…

大きな翼。

僕の背中には、大きな翼が生えている。もう少し小さければ収まりがいいのだけれども、自分では…

バニー。

「この肉体も、いつかは朽ち果てるのね」 彼女はバニースーツを脱ぐと、思索に耽ることがあっ…

心の在り処。

心は肩にある。他の人のは知らないが、私の心は肩にある。右肩にも、左肩にもある。右肩の方が…

ベンチャー宗教。

「よし、僕と君で宗教を立ち上げよう」 「よし、じゃあどちらが神様になろうか」 「よし、そ…

イデアの回想。

私の肉体が目の前に転がっている。どうやら死んでしまったらしい。私に生き別れた双子はいない…

新雪。

白に覆われた街の上、ふと仰向けになってみる。氷点下の外気は、その数値から想定しうるよりはずっと心地よく、新雪の軋む音はどこか懐かしい。雪が降りしきる頃はいつも殊更に静かで、感覚が鋭敏になる。 千切られた雲が落ちてくる風景は、海の中を思い出させる。幼き頃、波に流されて溺れた時、海を通した見上げた光景はこんな感じだった。小さな白い塊が蠢き、自分から溢れ出す気泡がそれらにぶつかる。太陽は、地上よりもずっと遠く、ずっと儚く浮かんでいた。力が抜け意識を失う直前に、僕は誰かに助けられた

葬儀前。

彼は早朝、ばつが悪そうにそそくさと帰り支度を始めた。いつもは時間いっぱいまで部屋に残るの…

袖珍本。

「何か読むものはない?」   彼女は助手席ですこし退屈そうだった。やけに真っ直ぐな高速道…

蜘蛛の子。

母親に捨てられた少年は、部屋の隅に巣を張る蜘蛛に育てられた。少年は、蜘蛛からあらゆること…

ロミオジュリエッタ。

彼女はとても手慣れた様子でシガーをカットした。ヘッドは見事な丸みを帯びていて、葉溢れもな…

雨粒になった男。

はじめ、青年は自身が溶け出していることに気付かなかった。極めて実存的に溶け出すという、可…

頼夢。

「どうして私を付けたの?」 セックスフレンドの先輩は、静かな怒りを燃やしながら僕に呟いた…

月。

あなたは月のような存在でとても憎い。光を受けているばかりなのに、我が物顔で佇み、私を見下している。あなたはまるで自分の手柄みたいに、横暴に振る舞う。 それに、あなたは都合が悪くなると姿を隠す。私の視界の死角に入り、ほくそ笑んでいる。そこにいることは分かっていても、私の網膜には映らない。私が泣いても、叫んでも、あなたは凜として寄り添うことはなかった。 私は月を見る度に、あなたを思い出す。それだから、月も嫌いになった。私は月を覆って私から隠してくれる、雲が好きになりました。あ