バニー。
「この肉体も、いつかは朽ち果てるのね」
彼女はバニースーツを脱ぐと、思索に耽ることがあった。
「この鍛え上げられた肉体も、死んだら執拗に燃やされて、骨だけ残る」
僕は死について考えることが嫌いだった。
「いいよ、死んだ後の話は」
「でも、何だか滑稽な話みたいじゃない。欲望の限りをつくして脂肪を溜め込んだおデブちゃんと、苦役を背負い込んだみたいな節制を続けるあなたが、結局は同じような骨になるということが」
僕は何だか馬鹿にされているようで、彼女に背を向けた。
「この美しい筋肉は全て焼き尽くされるの。骨になって、宗教的な意味を付帯させた壺にぐしゃりと詰め込まれる。そして……」
僕は彼女に口づけをする。そうしてやらないと、彼女はいつまでも僕に死に付帯するはなしを続ける。
「……ッン」
彼女は唇を僕から離し、耳元で囁いた。
「〝人が死ぬのって、素敵よね〟」