頼夢。
「どうして私を付けたの?」
セックスフレンドの先輩は、静かな怒りを燃やしながら僕に呟いた。僕はお互いがフラットな消費関係にある状態を好むから、そんな情動的な行動を取るはずがない。しかし、ここは夢の中だ。どれだけ論理的に考えても、夢の背景の行動に責任は取ることができない。
「私はずっと、生きた心地がしなかった。あなたと鉢合わせたらどうしよう、彼氏に私がふしだらな女だと気がつかれたらどうしよう。私は混乱をおさえながら、彼に手を支配され続けた。あなたには、私を混乱させる権利があるの?」
先輩はおもむろにナイフを取り出した。先輩はとても理性的な人間だったから、それは予想外の行動だった。
「死んでもらうわ。あなたにとっても、それがいいもの」
目が覚めて、僕は先輩とのいかなる連絡手段を絶った。僕もまた理性的に物事を捉える人間であるはずなのに、夢だけはどうも信用してしまうのはとても不思議だ。