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文芸評論

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ロマンティックを意識して文芸評論、書いてます📝 たまに肩に力が入った評論も書きますが、ぜひ読んでみてください🧑‍💻
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記事一覧

評論 アニー・エルノー 「嫉妬」 女性学者が好きというだけで、天上界への生活について真剣な彼女と別れるのは、確かにひどすぎると僕も思う

評論 アニー・エルノー 「嫉妬」 女性学者が好きというだけで、天上界への生活について真剣な彼女と別れるのは、確かにひどすぎると僕も思う

   1.本論

 「嫉妬」には、主人公が、なぜ男と別れたのかは書かれていなかったけど、理由はわかる気がする。
 男はインテリジェンスのある学者肌の女性で、かつ理想の女性と結婚したかったのだろう。
 ヒロインも文学などの学問に親しみが深かったけど、街の教会である男が、旧約聖書の詩篇の一編を読みながら、十字になって仰向けになって寝ているのを見て、私の辛さもこの男のものほどじゃないだろうと感じるシーン

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評論 保坂和志 第75回 「鉄の胡蝶は記憶を夢は歳月を掘るか」 保坂さんは最高だけど、女性は嫌いすぎるくらい嫌いだし、やっぱり女性は神なんだろうと思い至った秋の夕べ

評論 保坂和志 第75回 「鉄の胡蝶は記憶を夢は歳月を掘るか」 保坂さんは最高だけど、女性は嫌いすぎるくらい嫌いだし、やっぱり女性は神なんだろうと思い至った秋の夕べ

 保坂和志がずいぶん前から、『群像』でエッセイのような小説を書いてるということは、Instagramの情報とかで知ってたけど、積ん読が多いと、なかなか文芸雑誌までは手が伸びないもんで、実際、仕事を真剣にしてると文芸雑誌を読むなんていう時間は明らかにない。
 僕はリベラル思想とかはまるで興味ないし、資本主義の反対に位置してると言われている共産主義思想なんかもっと興味がないから、そこに関して、保坂さん

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評論 『村上龍 VS 村上春樹 ウォーク・ドント・ラン』 言葉を信じられない春樹、ヒッピー小説を書きたかった龍

評論 『村上龍 VS 村上春樹 ウォーク・ドント・ラン』 言葉を信じられない春樹、ヒッピー小説を書きたかった龍

 村上春樹ライブラリーをウェブサイトで紹介したくて、早稲田まではるばるやってきた。目的は、ライブラリーを紹介するだけでなく、村上春樹関連の本で、絶版になってる貴重な資料を探すことにもある。
 資料を読んでる途中、遅い午後の木漏れ日を受けながら、やけに古い感じのする購買で、マウント・レーニアとトロピカーナのリンゴを買って、ライブラリーに戻りつつ思った。
 この図書館は、読書が好きな一般の人が、学生に

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評論 太宰治 『ろまん灯籠』 ロマン主義の本質と容姿と年齢

評論 太宰治 『ろまん灯籠』 ロマン主義の本質と容姿と年齢

1. イントロデュース


 太宰治が文学においてこだわったのは、理想の女性、女性らしい美を追求する女性との関係性だ。
 太宰治が嫌いという作家もよくいるし、日本においても海外においても太宰治の評価は、実力に比して高くない。
 堀辰雄以上にヨーロッパ人の持つ気質がある彼だが、世間への気遣いゆえに、彼は誤解され、自殺にまで追い込まれた。
 今回取り上げる「ろまん灯籠」は、グリム童話の「ラプンツェ

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評論 アントニオ・タブッキ 『インド夜想曲』 天使や神様が伝える存在の意味

評論 アントニオ・タブッキ 『インド夜想曲』 天使や神様が伝える存在の意味

1. イントロデュース


 「旅は人に出会うためにある」と本小説には、書いてある。
 不思議なことだ。
 ある土地では、あの人に似てる人が、別の有り様で存在し、また別の土地では別の有り様で存在している。存在論というのは、人との出会いを通じて、天上界のことを知ることこそが重要だ。
 天上界で楽しく生きている神様たちが、天上界の有り様を知らせてくれる時、それが地上界でのその人の人生と相関関係があ

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村上春樹と中上健次 アメリカについて

村上春樹と中上健次 アメリカについて

 『オン・ザ・ボーダー』という中上健次のエッセイ、対談集には、彼と村上春樹の対談が載っている。
 1980年代の半ばくらいに行われた対談で、物語論、日本、アメリカなど、その時、特にホットだった話題が取り上げられていて、敗戦後、アメリカや日本の文化とどう向き合っていくか、という今も日本が抱えている問題に真摯に挑んでいる2人を見ると、心の中に潜んでいる議論するよろこびに火がつく。
 中上健次は、エスニ

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評論 ヴィスヴァワ・シンボルスカ 『瞬間』 恋の情熱には、なぜ最高の価値があるのか

評論 ヴィスヴァワ・シンボルスカ 『瞬間』 恋の情熱には、なぜ最高の価値があるのか

   1.イントロデュース
 
 
 シンボルスカが『瞬間』という詩集において、投げかけた問いや答えは古今東西を見渡しても偉大な問いであるし、詩というのは本来、実在しないとされがちな、イデア界への問いかけや探究の結晶であるべきだ、ということはシンボルスカの詩を読むとよくわかる。
 イデア界への問いかけや探究は、果たして意味があるのかと疑問に思う人もいるだろう。
 イデア界というのは、生前に善を働き

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評論 石原慎太郎 「暴力計画」――世代を超えて、個性やリーダーの価値を問い続けることの意味について――

評論 石原慎太郎 「暴力計画」――世代を超えて、個性やリーダーの価値を問い続けることの意味について――

   1.イントロデュース
 
 
 石原慎太郎は、日本の作家では僕が中上健次の次に尊敬している作家で、政治家としても、故郷を愛した湘南人としても尊敬しているし、イタリアに来てからもたまにだけど、石原慎太郎のことを考える瞬間がある。
 彼は湘南高校にいる時、引きこもって絵ばっかり描いていたが、父親に死に際して、復学し、作家、東京都知事にまでのぼりつめた人でもあり、多彩でありながら、多難なひとだった

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評論 オルガ・トカルチュク 『優しい語り手』  No.1――個性と伝統の大通りの真ん中を行く人、「n個の性」についても――

評論 オルガ・トカルチュク 『優しい語り手』  No.1――個性と伝統の大通りの真ん中を行く人、「n個の性」についても――

   1.イントロデュース

 湘南T-SITEっていう本屋で偶然手に取った、ポーランドのノーベル賞作家、オルガ・トカルチュクが、これまでほとんど読んだことがないくらい素晴らしい作品を書いていたので、うれしかった。
 それは『優しい語り手』という本で、彼女が講演会で話したことをエッセイにしたものだけど、ダンテ、スペインの作家イレーネ・バリェッホと同じくらい優れた作家だと感じる。
 第1章「優しい語

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評論 村上春樹『風の歌を聴け』――比喩と構造を知るよろこび、喜劇の最高について--

評論 村上春樹『風の歌を聴け』――比喩と構造を知るよろこび、喜劇の最高について--

0. イントロデュース
 もしあなたが村上春樹をよく知っているひとや文学が大好きなひとだったら、5.結論までは読み飛ばしてください。南欧美学エッセイに書かれたものに比べればつたないものですが、笑えるという意味では少しあなたのお役に立てるかもしれないので。

 村上春樹の小説は、19歳の頃から読んでいて、青春期が過ぎても、時々、読み返したくなる作品ばかりだ。読んでて気分が晴れやかになる作品という意味

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評論 アントニオ・タブッキ「ルキウス・アプレイウスの夢」――悲劇と喜劇の裏表、話をしてて楽しい淑女、一緒にいてしあわせな明るい女性--

評論 アントニオ・タブッキ「ルキウス・アプレイウスの夢」――悲劇と喜劇の裏表、話をしてて楽しい淑女、一緒にいてしあわせな明るい女性--

    0.イントロデュース
 
 
 イタリアの作家・アントニオ・タブッキには、名作が多く、僕も彼の作品を須賀敦子が翻訳した文体のマネをしたことがあった。
 結果として、たいした好評を得ることもなかったから、石原慎太郎のエッセイの文体のマネをして、日本語で書くんだったら、日本語の妙味を追求しようってことで文体を切り替えたけど、今、イタリアにいて、やっぱりタブッキの文体マネてた頃の方が雰囲気良かっ

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評論 フランツ・カフカ 「断食芸人」--悲劇の価値を低めることによって、自らの持つ悲劇の価値を高めるということ--

評論 フランツ・カフカ 「断食芸人」--悲劇の価値を低めることによって、自らの持つ悲劇の価値を高めるということ--

   0. イントロデュース

 読者のみなさんは断食することの辛さを感じたことはありますか? 断食芸人の苦痛や苦悩は想像を絶するものだったと思います。食べないというのはいったいどういうことなのでしょうか? それはすなわち、成熟を拒否することやエゴを弱くすることの表現なのだと私は思います。

 本作の評論に入っていく前に、「フランツ・カフカっていったいどういう人なの?」と疑問に思われる方もいるかも

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宇佐見りん評論--無垢であるということ--

宇佐見りん評論--無垢であるということ--

 僕が最近、いいなぁと思う作家に、自分自身も大好きな中上健次を尊敬してやまないという宇佐見りんさんという人がいて、彼女の書く作品、いうまでもなく最高なんだけど、この頃、読んだ雑誌に書いているエッセイや、ネットに載ってるインタビューは本当に美学の極致だなぁって感じている。

 とどのつまり、彼女のテーマの一つは、中上健次がいかに素晴らしい人間で、罪がなかったかということだと思う。

 これから書くこ

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評論 パウロ 『ローマ人への手紙』――善をもって悪に勝ちなさい--

評論 パウロ 『ローマ人への手紙』――善をもって悪に勝ちなさい--

 イタリアには教会がいろんなところにあって、日曜日にはミサが行われている。

 僕はまだ教会には行ってないけど、いずれイタリア語がしっかりわかるようになったら、行ってみたいと思う。

 とあるきっかけがあって、パウロの『ローマ人への手紙』を読んだことがあった。

 原文ではなく、翻訳の日本語で読んだ。

 序盤は、ローマ人が義に達するには律法よりも祈りの方が大切だ、ということが説かれている。

 

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