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25時ごろ、待ち合わせ。

200
今日はどんな日でしたか。 25時頃、大切な今日を想って書く文章です。 2019.7.8〜2019.12.31
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記事一覧

#22 悲しくなる前に

#22 悲しくなる前に

大人になったら、あまり泣かなくなるんだと思っていた。

当然のようにある程度の感情はコントロールできて、人前で泣くことなんかもってのほかで、感動したり、誰かが世界から消えてしまったり、暗黙泣いて然りとされるシーンだけ、さめざめと泣くようになるのかと。

でも現実はどうだろう。涙が出る時、大抵は理由がどこにあるのかわからない。違うな、正しくは理由がひとつではないからどのことに対して泣いているのかわか

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#21 Sleep slowly.

#21 Sleep slowly.

「今日、この後予定ありますか?
無ければ帰って、ゆっくり眠ってください」

身体の限界を振り切ってしまったいつかの日、
施術台の上に座ってぼんやりしている私の腰にテーピングを施しながら、同い年の先生はそう言った。

「できたら眠る前にスマホは触らずに。
見るならホラーゲーム実況じゃなくて、お笑いとかコメディ映画とか、なるべく明るいものにしてくださいね。毎日、たくさん笑うといいですよ」

仕事中のア

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#20  gift.

#20 gift.

パズルピースがぴたりとはまるような優しさは
そんなに何度も巡ってはこない。

東京の空でもきれいに星が見えるんだな。いつかの夜に感じたことを今夜思い出している。

引っ越す前の夜はいつだって明るく、真夜中でもお構いなしにどこかしら工事をしていて、耳の底を震わす雑音にまみれていた。

都会の夜がこんなに静かだということをはじめて知ったような、新鮮な毎日。
真夜中と心の境目が曖昧になる時、自分や誰かの

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#19 take a picture of a beautiful view

#19 take a picture of a beautiful view

誰かが撮った写真、
そこに写る海を眺めていた。

黄昏時を写した写真の中で、優しい風が流れているのを

どこか〝その人のようだな〟と思った。

写真を撮ったその人が見ていた景色。

刹那、感じていたであろう自然の手触りを、
写真の向こうから感じる。

その人の視界と私の視界がひとつに重なり、
そのうち、

宵を待つ海辺に伸びた薄い影は、ふたつになった。

隣りでシャッターを切る横顔をみつめた。

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#17 pray for

#17 pray for

真夜中に通りに出て、空をみあげる。

路地裏は空が高くて広いから
いろんなことを思い出して少し寂しくなる。

閉まっている商店の暖簾が揺れた。

目に優しくないコインパーキングのネオン。
ひとつも明かりの点っていない廃マンション。

御伽の国への入口のような、
煙草の香りが染み付いたBARの扉。

環状線。

私は昨日と今日の境を行ったり来たりして
心を宥めるように目を伏せる。

暗闇にはどんな色

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#16 まよなかの沿道

#16 まよなかの沿道

どうして真夜中がこんなに自分にしっくりくるのか、心地いい夜の外にその理由をみる。

隣の区へ引っ越した。
ここは色々な香りがする。
新しいものも古いものもたくさんある。

10年くらい前に書き出した、
「トロイメライ705」という小説。
フィクションとノンフィクションの境界が混ざった世界。
自分の幼少期の視界を色濃く反映したその小説を書き進めるうちに、
私は自分の生まれた海辺の町に強く依存した。

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#14 夜を歩く

#14 夜を歩く

決定的な言葉を避け続けている。

向かい合ったあなたを、傷つける言葉を私はいくつももっている。
あなたの傷つけ方を知っている。

だけどその言葉を私は絶対に選ばない。
喉元まででかけても、
心がぐちゃぐちゃに荒れ狂っても、
絶対にその言葉を選ばない。

あなたが簡単にその言葉を選んで、私に投げつけてきたとしても。
私は絶対に選ばない。

傷つけてしまった罪悪感に苛まれたくないから。
言葉が口をつい

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#15 夏至の夜に。

#15 夏至の夜に。

世界が追いつけないスピードで変わっていくのを、あなたは感じますか?

目まぐるしい日々は途切れとぎれ。
記憶の混濁。
たまに目を開けたまま眠っているような日がある。

沢山の人と接すたび、
自分は今どこにいるんだろうと迷子のような気持ちになる。
あなたは宛らエモーショナルなドラマの主人公のよう。

真実が見える時、それはその瞬間を迎えるまで希望であるか絶望であるか分からない。
最近パーソナルな会話

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#13 26時。

#13 26時。

今日は2ヶ月ぶりにカフェに行った。

コーヒーを飲むからマスクを外すわけだけど、
久しぶりにマスクなしで外にいる感覚が懐かしくて
少しだけ気が抜けた。

***

心のなかにいつも思い浮かべる大切な人がいる。

誰かに伝えたいことなんてほとんど無くて、
自分のために何かを作ることを続けてきたけれど。
最近よく考えることがあって。

伝えたいことはなにも大それたものじゃなくていい。
誰か

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#12 今日もあなたは。

#12 今日もあなたは。

最近、朝にカーテンを少し開くのがマイブーム。

仕事をしている時は眠たい頭で電車に乗る。
なんとなく車窓からの景色や光の模様は見ているけれど、〝光が差し込む朝〟を感じ取ることがほとんど無かった。

夏場でもない限り、仕事が終わると大概日没を迎えている。夕方の時間は良い。
夏の日の入りに染まる海が、世界で一番好きな景色だと思っていたけれど。
朝日にもまったく違った嫋やかさがあることを、
最近思い出し

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#11 25時じゃないけど。

#11 25時じゃないけど。

最近、note文芸部仲間い〜のさんのツイキャスをよく聞いている。

聞き取りやすくて耳に心地いい声と、テンポのいい話し方。
ゲストに来る方々も直接関わりがなくても知っている方が多くて、ああこんな声でこんな風に話すんだなぁと急に輪郭を帯びてくるのもなんだか面白い。

今まで表現や趣味の為のSNSを色々なシーンで活用してきたわけだけど、note界隈って類を見ないほど基本穏やかで平和だなぁと感じる。

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#10 音楽のはなし。

#10 音楽のはなし。

昨日Twitterに歌の音源をのせた。
このnoteは、私と音楽のはなし。

†††

好きな音楽ジャンルは数あれど、私が一番好きなのはバンドサウド。とにかくバンドが大好き。

若かりしころの父親がバンドマンでレコードを出していたらしく、物心が着くより前から家にはギター数本とピアノとキーボードがあった。

3歳から11歳までピアノを習っていた。
全く身になってないけど、音楽が常に身近にあるという生

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#9 あさのひかり。

#9 あさのひかり。

太陽の光を久しく浴びてなかったので、
朝、
電気を消したままの部屋でカーテンを少しだけ開く。

なんだか心地いい。
とても静か。

こんな時間を愛していられたら。
#25時じゃないどころじゃない #朝 #日記 #光 #おはよう

#8 ゆめの中に在る町。

#8 ゆめの中に在る町。

夢を見ない日の方が少ない。
それは覚えてる限りのずっと昔からそうだ。

前にも少し書いたけど、子供の頃から20代中頃まで、何パターンかの同じ怖い夢を繰り返し繰り返しみていた。
またこれか、あのシーンまでいかないと目は覚めないな、と冷静に俯瞰しているのに恐怖の値はまるで変わらない。

同じ螺旋階段。同じマンション。同じ洋館。
同じ廃遊園地。同じショッピングモール。

何度も、何度も、何度も。
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