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#22 悲しくなる前に

大人になったら、あまり泣かなくなるんだと思っていた。

当然のようにある程度の感情はコントロールできて、人前で泣くことなんかもってのほかで、感動したり、誰かが世界から消えてしまったり、暗黙泣いて然りとされるシーンだけ、さめざめと泣くようになるのかと。

でも現実はどうだろう。涙が出る時、大抵は理由がどこにあるのかわからない。違うな、正しくは理由がひとつではないからどのことに対して泣いているのかわからない、だ。

悲しい。シンプルにそう言って泣けたらいいのに。どうして泣いているのか、説明なんて必要なければいいのに。

明るくない思考の時、どんな感情や考えにも〝自己嫌悪〟が混ざっている気がする。ザラついた均等にならせない感情。

もしかしたら理由なんてなんでもよくて、自分に嫌われ続ける自分の為に泣いているのかもしれない。

あと少し。もう少しなんだけど。その少しがいつまでも遠く感じる。

全然悲観してない。可哀そうとか思わない、けど、もう少し信じたり願ったり、自分の為にも出来たらいいなって思う。

好きなところを探すより、どうして嫌いなのかを考える。

絡まってしまった箇所を丁寧にほどいて、今までは目を逸らしてしまってた本当の色や形をきちんと見ているの。

最近何だかすぐ泣きそうになる。多分今なら、理由ははっきりわかるんだ。

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