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note クラシック音楽の普遍化を達成する

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クラシック音楽の歴史や作曲家、作品について、哲学的な視点から分析し、その普遍性や深さを探求する和田大貴のnoteです。クラシック音楽について語り合えることを楽しみにしています。参…
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2024年11月の記事一覧

marantz model 7

marantz model 7

コントロールアンプ Marantz model 7
初期のセレクトレバーのスリットの端の切り込みが粗削りで角ばっている もの。パネルの色合いは地味である。
フォノイコライザーの簡易セレクターは「RIAA」・「old78」・「old Col LP」 の3種のみが基本であるが、トーンコントロール treble/bassの +-との組み合わせによりアナログは、おおむねのイコライザーカーヴに対応できる仕組

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小林秀雄の裡の転換-小林秀雄のベルクソン論である『感想』から①-

小林秀雄の裡の転換-小林秀雄のベルクソン論である『感想』から①-

小林秀雄の『感想』が、量子論の問題を中心に展開しているように、小林秀雄の関心は、相対性理論よりも量子論にあるようである。

物理学には、物質の究極の単位を突き止めるというところがあるのであろうが、量子論が明らかにしたのは、そのような究極の要素は存在しないという事実だったのではないだろうか。

ギリシャ以来の原子論では、宇宙や物質は、いくつかの要素から成ると考えられており、それは、19世紀末まで変わ

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「スターリン賞」に選ばざるを得ず、ソ連の当局者を困惑させたであろうハチャトゥリアンの曲をきいて-音楽から眺めてみる世界から⑬-

「スターリン賞」に選ばざるを得ず、ソ連の当局者を困惑させたであろうハチャトゥリアンの曲をきいて-音楽から眺めてみる世界から⑬-

民族というものは、「新しくて新しい」問題である。

「古くて新しい」わけでもないし、「新しくて古い」問題でもない。

19世紀以降、すべての差異を塗りつぶして普遍化していくような近代主義が出現してから、それに抵抗して

「そうではない、私たちには、普遍化から守るべき独自性があるのだ」

という形で見出されたもの、それが「民族」という神話なのではないだろうか。

「そうではない」という否定から始まっ

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マーラーの交響曲第5番と「死」というテーマ-20世紀初頭の時代精神をマーラーの裡にみるとき-音楽から眺めてみる世界から⑯-

マーラーの交響曲第5番と「死」というテーマ-20世紀初頭の時代精神をマーラーの裡にみるとき-音楽から眺めてみる世界から⑯-

グスタフ・マーラーの第5交響曲の第4楽章といえば、ヴィスコンティの映画「ヴェニスに死す」で用いられたことでも、有名である。

そこでは、決してかなわぬ美への憧憬として、ほとんど絶望的なまでに甘美な音楽として第5番4楽章は使われていたように思う。

ただ、マーラーの第5番4楽章に、「ヴェニスに死す」よりも

、その原作者であるトーマス・マンの代表作「魔の山」(の末尾)を想い起こさせるものがあると思う

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ひとりの中世人の精神のかたちをあらわすような曲-アレグリの「ミゼレーレ」をきいて-音楽から眺めてみる世界から⑲-

ひとりの中世人の精神のかたちをあらわすような曲-アレグリの「ミゼレーレ」をきいて-音楽から眺めてみる世界から⑲-

クロード・ドビュッシーは、妻が心筋梗塞で倒れた時、まず最初に、財布を奪うことを考えていた。

彼は、文字通り財布を妻に握られていたので、自由に使える金を手に入れりチャンスを虎視眈々と狙っており、妻が倒れたとき、財布を奪ったのである。

しかし、妻は身体が動かないだけで意識はあったので、夫のこの情けない行動の一部始終を見ていた。

彼女が一命を取り留めた後、離婚したのは、言うまでもないだろう。

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【世界遺産×音楽】ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの『交響曲第9番』

【世界遺産×音楽】ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの『交響曲第9番』

お久しぶりです。
4か月も空いてしまいました…🙇‍♀️

今回は、ずっと書きたいと思っていた、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)の傑作、『交響曲第9番』についての記事です☺️

ベートーヴェン直筆楽譜は、ユネスコの「世界の記憶」にも登録されている『交響曲第9番』。

日本では”第九(だいく)”と呼ばれ親しまれており、特に第4楽章の主題は「喜びの歌」として演奏される機会が多

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シューベルト/3つのピアノ曲 ― Drei Klavierstücke D946

シューベルト/3つのピアノ曲 ― Drei Klavierstücke D946

今日11月19日はフランツ・シューベルトの命日。そこで最も好きな作品―「3つのピアノ曲 D946」を取り上げたいと思う。

とても地味なタイトル曲だが、特に2曲目はピアノ曲史上最高ランクに位置する愛おしい作品だ。シューベルトの死の半年前に書かれたこの曲集は、1868年にブラームスによって編集され匿名で出版されたようだ。但し、この3曲の組み合わせがシューベルトの意図なのか、ブラームスの意図なのかは未

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ネルソンス指揮ウィーン•フィル Vn五嶋みどり 素晴らしい演奏会だった!

ネルソンス指揮ウィーン•フィル Vn五嶋みどり 素晴らしい演奏会だった!

ネルソンス指揮ウィーン•フィル@大阪フィスティバルホールを聴いた。

今日はウィーン•フィルを追いかけて大阪まで遠征だ。理由は簡単で、東京の公演では良席の確保が極めて困難だからだ(大阪はそれほどではない)。遠征の甲斐あって、今日は本当に素晴らしい演奏会に立ち会うことができた。

今日の第一の聴きものは五嶋みどりのヴァイオリンだ。今や、この大天才の演奏を聴けるだけで福音と思わなければいけない。
曲は

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シュトゥットガルト•バレエ団「椿姫」を観て 〜 バレエが明らかにするショパン楽曲の意味

シュトゥットガルト•バレエ団「椿姫」を観て 〜 バレエが明らかにするショパン楽曲の意味

シュトゥットガルト・バレエ団公演「椿姫」を観た(11/8東京文化会館)。初めての経験だ。今日はソヒエフ/ミュンヘン・フィルの公演と日程が重なっており、悩みに悩んだが、バレエ公演を優先することにした。やはり、エリサ・バデネス、フリーデマン・フォーゲルなどが出演する公演を観ないわけにはいかない。それに、ショパンの名曲とバレエのコンビネーションという世界への興味には勝てなかったのである。

バレエ「椿姫

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新聞に掲載されました

新聞に掲載されました

ご覧いただき、ありがとうございます!
ピアニストの吉村直美です♪

先月、10月21日に出演しました『原智恵子生誕110周年記念レクイエムコンサート』について、朝日新聞の10月31日付けの朝刊(地域総合東京)に掲載されました。

主催者の若き音楽家を育てる会代表の上田幸伺さんによるお言葉

「記憶を音楽で呼び起こし、次世代に伝えていきたい」

という熱い願いが実現された日でもありました。

レクイ

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【感謝】音楽交流会を終えて

【感謝】音楽交流会を終えて

ご覧いただき、ありがとうございます!
ピアニストの吉村直美です♪

ドイツ繋がりで大変お世話になっている主催幹事の隅田貫様による名司会進行に支えられ、

東京都内で関係者の方々に向けられたピアノソロ演奏とトークをお届けするディナーコンサートに出演いたしました。

🎶♪🎶

企画された当初は、40〜50名ほどのご来場が見込まれておりましたが、当日は、85名の方々がお越しになられ、

貸切りとなっ

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サリエリ先生番外編〜私が漫画を描く訳〜

サリエリ先生番外編〜私が漫画を描く訳〜

今回は漫画ではなく、私がこの漫画を描き始めた経緯をお話したいと思います。

そもそもの始まりは小学校5年生の時に観た映画「アマデウス」でした。天才だけど奔放なモーツァルトを凡人の宮廷楽長サリエリが毒殺する衝撃作です。当時私はピアノのレッスンでモーツァルトを弾いており、ピアノソナタK.545の第2楽章にどハマりしていました。

それからお年玉を握りしめてモーツァルトのCDを買ったりしていた時、母が「

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